守備全般での貢献を示す「UZR」で検証、巨人は二塁と三塁が12球団トップ

 2月1日にキャンプインを迎え、プロ野球は本格的に2021年シーズンが始まる。各球団は昨季の課題に取り組みつつ、3月26日の開幕に向けて臨戦態勢を整えていくことになる。守備面では投手陣の強化とともに、野手陣の安定も欠かせない。各球団の守備の“弱点”はどこにあるのか――。セ・リーグ6球団のポジションごとの“頼もしさ”を守備指標で見てみたい。

 用いたのは、守備全般での貢献を示す「UZR(Ultimate Zone Rating)」。リーグにおける同じ守備位置の平均的な選手が守る場合に比べて、守備でどれだけの失点を防いだかを表す。検証には、セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTAのデータを参照した。同じ値の場合も、1200イニング換算などで差異が出た順位になっている。

○巨人
 投手のほか二塁と三塁は12球団トップの指標だった。中でも吉川尚輝が主に二塁は「18.3」、岡本和真の三塁は「15.3」と大きく失点削減に貢献した。ほかに一塁も「4.4」で2位など全体的に安定していた一方、マイナス指標となったのが捕手と中堅で、いずれも8位。守備の要となるセンターラインなだけに、今季は充実させたい。

○阪神
 近本光司が担った中堅が「20.8」で12球団トップながら、ほかの8ポジションは全てマイナス指標に。特に投手はワーストの12位、一塁と二塁は11位、捕手は9位と不本意な結果となっている。3年連続12球団ワーストの失策数が、守備指標にも如実に現れている。全体的な底上げが必要になってきそうだ。

○中日
 木下拓哉がチーム最多の87試合に出場した捕手は12球団トップ。投手も2位で、バッテリーの守備は安定していた。ビシエドがゴールデングラブ賞を獲得した一塁、京田陽太が全120試合に出場した遊撃も3位と健闘した。マイナス指標になったのは、阿部寿樹が主に守った「二塁」と、打力を優先した起用になっている左翼だった。

ヤクルトは8ポジションでマイナス指標も…左翼・青木の貢献度が突出

○DeNA
 捕手が「0.8」で6位なのがポジション別の順位では最高で、ほかは7位以下となっている。中でも、二塁は「-12.3」で全体10位。遊撃も「-10.3」で9位と重要なセンターラインが不本意な数値となっている。マイナスの値はそこまでだが、左翼と右翼も9位。守備では強みを見いだせない状況となっている。

○広島
 全体的に大きな差がついていない捕手は「1.7」で全体3位。菊池涼介の二塁は「3.0」で5位だった。一方で、一塁と三塁は12球団ワースト。遊撃と左翼は11位で、中堅も10位だった。センターラインを中心に大きなマイナスとなっており、2年連続Bクラスからの脱却には守備の底上げも欠かせないようだ。

○ヤクルト
 エスコバーが主に守った遊撃が12球団ワーストの「-15.3」と大きく足を引っ張っている。捕手も「-5.0」で最下位だった。そのほかでも、中堅は11位、投手と三塁は10位、一塁と二塁は9位だった。唯一プラス指標となったのが、「14.7」で2位の左翼。青木宣親の圧倒的な貢献が目立つ形となった。(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1〜3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。