肌の乾燥や頭皮のかゆみをはじめ、冬の寒気によって心身の不調に悩まされる人も少なくないはず。

乾燥と並んで、冬の代表的な皮膚トラブルのひとつが「風焼け」。風焼けとは、寒い日や雪の日に屋外で過ごした後に顔が真っ赤になって乾燥し、肌がカサカサになってしまう状態のこと。風焼けすると、真冬であるにもかかわらず、まるで顔が日焼けしたように感じられるそう。

あまり聞きなれない「風焼け」が招く症状と対処法について、<プリベンション>が皮膚科医に質問。正しい知識を身につけて、しっかり予防してみて。

【INDEX】


そもそも「風焼け」ってなに?
風焼けと日焼けの違いは?
風焼けを治す方法
とにかく保湿する
日焼け止めを塗る
刺激や香りの強いスキンケア製品を使わない
肌をいじらない
ヒドロコルチゾン配合クリームを塗る
風焼けを防止する方法
刺激の強いスキンケアを控える
外出する前に保湿剤を使う
加湿器を使う
シャワーで肌をクールダウンする

そもそも「風焼け」ってなに?

「風焼けとは、気温や湿度が低い環境や風にさらされて、表皮(皮膚の上層部)が弱くなったり、ダメージを受けたりすることです」と話すのは、認定皮膚科医でニキビケアのオンラインサービス<キュロロジー>の創設者でもあるデビッド・ロールシャー医学博士。

これにより肌の保護機能が損なわれるため、顔の赤みや乾燥を引き起こしたり、カサカサでうろこ状の肌になってしまうのだとか。また、かゆみや火傷のようなヒリヒリとした感じが生じたり、皮膚が敏感になったり、皮が剥けてくることもあるそう。

「表皮の血管も拡張(これが赤みの原因に)する傾向があります」と説明するのは、カリフォルニア州で活動する医学会「コースト・ダーマトロジー」の認定皮膚科医のマイケル・カサージアン博士。

「多くの場合は数日で改善しますが、症状がより深刻な場合は、治まるまでにさらに時間がかかることもあります」

また冬は外で過ごすだけでも風焼けのリスクが増加するそう。

「スキーやスノーボードは風焼けになり得るもっとも一般的なアクティビティのひとつです。ランニング、長距離のサイクリングやバイクツーリング、ボートといった野外アクティビティを冬場に行うことでも、風焼けを起こす可能性があります」

風焼けと日焼けの違いは?

ちょっと聞いただけでは、風焼けと日焼けは似たようなものと思うかもしれないけれど、その違いを理解しておくことが大切。

「風焼けはどちらかというと、刺激反応の面がより強いです。風によって皮膚の保護バリアが破壊されるため、通常皮膚の強化と保湿を担っている機能が低下します。これが乾燥や炎症、赤みを引き起こすのです。一方、日焼けの原因は紫外線です。皮膚細胞に直接吸収される紫外線が細胞にダメージを与えることで、シミが増えたりエイジングが加速するだけでなく、皮膚ガンのリスクも増加します」

問題は、風焼けと日焼けは同時に生じる場合があるということ。そのため、どちらの対策を取ればよいのか、見極めが難しいことがあるそう。

「自分では風焼けだと思っていたのに、実は日焼けだったということはよくありますが、風焼けと日焼けは同時に起こることが多いんです。症状は日焼けの方がより深刻で回復にも時間を要しますが、私はどちらも完全に予防できる対応をとるのが最善だと考えています」

風焼けの治癒方法

風焼けになってしまった場合、最短時間で風焼けを治癒する方法をロールシャー博士とカサージアン博士がアドバイス。

保湿をする

症状緩和のカギは、乾燥をやわらげてくれる保湿剤。「元来肌にふくまれる脂質、セラミドが配合された保湿剤を探すのがおすすめです」とロールシャー博士。セラミド配合の保湿剤は、刺激を受けやすい敏感肌の人には特に良いとか。

もし肌が極端に乾燥するタイプで、より濃厚なクリームを試してみたいという場合は、保護バリアを形成するワセリン入りのものが良いそう。また、ヒアルロン酸とグリセリンも水分が肌に浸透しやすくなる保湿成分のため、一度試してみる価値はあるとか。

これ以外に、アロエ、大豆、オートミールなどもコンディションを整えてくれることが期待できる成分とのこと。

日焼け止めを塗る

「風焼けは、肌に本来備わる光線からのバリア機能の低下を招きかねません。この機能が低下すると、肌は紫外線をより吸収して、ダメージを受けやすくなるのです」

言い換えれば、風焼けは肌がすでにダメージを受けている状態だということ。有害な紫外線を避けるために、外に出る前には必ず顔に日焼け止めを塗ることを忘れないで。

刺激や香りの強いスキンケア製品を使わない

カサージアン博士いわく、アルコールや大量の香料が入っている製品、古い角質を取り除くための美顔器やジェルは、肌の再生プロセスを鈍らせ症状を悪化させるだけとのこと。肌にやさしく、無香料のスキンケア製品を使うのがおすすめ。

肌をいじらない

「皮膚が剥がれてきてしまっても、指で触ったり剥がしたりはしないこと。感染や瘢痕(はんこん/傷跡)、色素沈着を防ぐためにも、保湿を続けてください」とカサージアン博士。

「また、口唇ヘルペスができやすい人はより深刻な症状とならないよう、風焼けを起こした際には必ず医師の診察を受けてください」

ヒドロコルチゾン配合クリームを塗る

「ヒドロコルチゾンは拡張した血管を最大限収縮させ、赤みやかゆみ、炎症を抑えます。少なくとも2〜3日は、ヒドロコルチゾン含有量1%のOTC医薬品(市販薬)クリームを、風焼けの患部に塗るようにしてください」とカサージアン博士。

ただし、ずっとそれだけに頼るのは厳禁。ヒドロコルチゾンクリームは皮膚の菲薄化(ひはくか)を促す場合があるため、通常医師は長期間の塗布を避けるように推奨しているもの。クリームを2〜3日塗っても症状が改善しない場合は、必ず皮膚科医に相談を。その際は、風焼けの症状を緩和する抗炎症薬を処方してくれる医師に診てもらうことが◎。

風焼けを防止する方法

風焼けを防ぐための最善策は、冬の間は肌を乾燥させる原因から距離を置くこと。そうすれば、風焼けを招く原因に直面しても、肌はより影響を受けにくいはず。

刺激の強いスキンケアを控える

「レチノールを配合したOTC医薬品、レチノイド(トレチノインなど)を含む塗り薬、角質を除去するマイクロ皮膚剥離やケミカルピーリングといった治療法が含まれます。少なくとも太陽光や風を浴びる数日前から、控えた方がいいでしょう」

外出する前に保湿剤を使う

保湿剤は乾燥した肌をケアするだけでなく、定期的に使うだけでも肌を乾燥から防いでくれます。屋外で長時間過ごす予定がある場合は、潤い作用のある保湿剤を使うことを忘れずに。

保湿剤には、ヒアルロン酸やグリセリンなど、吸湿性の高い保湿成分(ヒューメクタント)や、ワセリン、シアバター、スクアランといった、水分蒸散を防ぐための保湿成分(エモリエント)が入っているものを選びましょう。

加湿器を使う

ロールシャー博士いわく、部屋で加湿器を使うようにすると、室内にいる間も肌から水分が蒸発しにくくなるのだそう。

シャワーで肌をクールダウンする

また、博士から「お湯の温度で肌を傷めないように注意しましょう」とのアドバイスも。低めの温度で肌にやさしい石鹸を使えば、肌が乾燥することも、必要な皮脂を洗い流すこともないそう。

乾燥の季節に意識したケアをして、健康的な肌を目指して!

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: Mari Watanabe(Office Miyazaki Inc.)

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