愛玩動物である猫にはさまざまな品種が存在し、人間による品種改良を経て最大限のかわいさを獲得した種も存在します。しかし、イギリスのノッティンガム・トレント大学の研究チームが2020年12月に発表した論文によれば、一部の猫は品種改良によって表情の変化が乏しくなっているそうです。

Frontiers | The Application of Geometric Morphometrics to Explore Potential Impacts of Anthropocentric Selection on Animals' Ability to Communicate via the Face: The Domestic Cat as a Case Study | Veterinary Science

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2020.606848/full

Cats with smooshed faces can't express emotions, and it's all our fault | Live Science

https://www.livescience.com/smooshed-cat-faces-stunt-emotions.html

ノッティンガム・トレント大学の博士研究員であるローレン・フィンカ氏らの研究チームは、コンピューターアルゴリズムを使用して2000枚以上もある猫の顔写真を分析し、さまざまな表情をスコア化しながら比較しました。

その結果、顔が小さく平たい種は完全にリラックスした状態でも痛みを感じているような表情を見せていることがわかりました。例えば、折れ曲がった耳が特徴のスコティッシュフォールドは、実際に痛みを感じているブリティッシュショートヘアの顔よりも、表情から読み取れる痛みのスコアが高かったそうです。

この結果から研究チームは、ペルシャやヒマラヤンなど、頭が小さく顔が平たい種を選択的に繁殖させた品種は、恐怖や不安、痛みを表情に固定され、感情や感覚を顔の表情で正確に伝えることができなくなるとしています。



さらに研究チームは、人間は猫が痛みを知らせるようなしかめ面を見せるのを好む傾向があり、その傾向に基づいて品種改良を重ねてきた可能性を示唆しています。

なぜ人間が猫のしかめ面を好むのかについて、フィンカ氏は「猫には申し訳ない話ですが、私たち人間は生まれつき、他人の痛がる仕草を見ると、『育てたい、養護したい』という欲が刺激されるのです」と説明しています。



しかし、フィンカ氏は「猫がずっとしかめ面をしていると、飼い主は猫が本当に痛みを感じているかどうかを気づくことができなくなる可能性があります」と述べ、品種改良によって飼い主と猫のコミュニケーションがうまくいかなくなる可能性を指摘しています。

フィンカ氏は「猫を飼う場合は、猫について事前によく調べましょう。動物とのコミュニケーションを考慮することが重要です」と述べました。