意外にスポーティ!? ダイハツの屋根なし軽トラック

 オンライン上で2021年1月15日に開幕するバーチャルオートサロン2021に、ダイハツは5台のカスタマイズカーを出展します。そのなかで、メーカー自ら屋根を切り取るという大胆なアレンジで注目されているのが、「ハイゼットジャンボ スポルツァVer.」です。

 開発にあたり、果樹園を走る働くクルマからヒントを得たといいますが、いったいどんな関係があるのでしょうか。

ダイハツが製作したカスタマイズカー「ハイゼット ジャンボ スポルツァVer.」

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 ハイゼットジャンボ スポルツァVer.は、同社の軽トラック「ハイゼットジャンボ」をベースに、完全オープンのレーシング仕様へカスタマイズされています。フロントバンパーをエアロ仕様に作り直しているほか、サイド出しマフラーが採用されました。

 アメリカのラグナ・セカサーキットとかけた「ラグナ青果」ステッカーをはじめ、ボディの随所に貼られたステッカーが、レーシーな気分を盛り上げます。

「YOKOHAMA」や「RAYZ」などのステッカーが貼られていることからもわかるとおり、アドバンA050のセミスリックタイヤやレイズ製鍛造ホイール、KTV Ultimate製の車高調などが採用されているほか、スポーツ走行にも対応可能なフルバケットシートと4点式シートベルトが奢られています。

 ダイハツの担当者は、開発の狙いについて「平日は果樹園ではたらく若者が、休日はみんなで草レースを楽しむ。そんな面白いクルマができたらいいな、と思いました」と説明。仕事もプライベートもフルに楽しめる一台に仕上がっています。

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 ダイハツの担当者が果樹園の事例を例に挙げたとおり、ハイゼットジャンボ スポルツァVer.のデザインは、果樹園で実際に使われている屋根を切った軽トラックから着想を得たといいます。

 軽トラックの屋根を切る理由としては、果樹園のなかで効率的に果物を収穫するだけでなく木や果実を傷つけないことが目的となっていますが、車検にはとおるのでしょうか。

 千葉県にある自動車工場のスタッフに、果樹園の屋根なし軽トラックについて聞いてみたところ、「果樹園などで見かける屋根のない軽トラックが車検にとおることはないと思います。

 もともとあった屋根を切っていると思われますが、そうすると車両の高さや強度が変わってしまい、車検証に記載されている寸法とは違ってしまいます。そうなると、その時点で車検には通りません。

 もしナンバーの付いた屋根のない軽トラックが公道を走っていたとしたら、車検が切れてそのままになっているか、構造変更をして、いわゆる『改造車』として登録しているのではないでしょうか。

 農家の人たちは、恐らく自分でクルマの屋根を切断しているのだと思います」と説明。屋根のない軽トラは、基本的に果樹園のなかだけで走ることを想定し、改造されたクルマのようです。

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 ダイハツは今回のバーチャルオートサロン2021で、軽オープンカー「コペン」をベースに、運転する楽しみをより感じられるカスタムを施した「コペンスパイダーVer.」を出展。こちらも、電動ルーフを取り去ってスポーティテイストを強化したカスタマイズカーとなっています。

 ハイゼットジャンボとコペンという対称的な二台をベースに、スポーティなカスタマイズカーを仕立てたダイハツですが、ハイゼットジャンボをはじめとした軽トラックはMRレイアウトを採用していることから、素性の良さには定評があります。

 そのため、ハイゼットジャンボをスポーティにしたカスタムは一見意外な組み合わせに見えますが、じつは相性の良い組み合わせなのかもしれません。