新天地での上々デビューを称えた一方、輝きを放てなかったビジャレアルでの実情に注目

 ヘタフェに加入した日本代表MF久保建英は現地時間11日、リーガ・エスパニョーラ第18節エルチェ戦(3-1)に途中出場し、2ゴールに絡む活躍を見せた。

 スペインメディアは新天地での鮮烈なデビューを飾ったことに脚光を当てた一方、輝きを放てなかったビジャレアルでの”苦悩”にも焦点を当てている。

 久保は昨夏にレアル・マドリードからビジャレアルに期限付き移籍したが、ウナイ・エメリ監督の下で思うように出場機会を得ることができず、今月8日にレンタル打ち切りと同時に、ヘタフェへの期限付き移籍が決定。一度もトレーニングできないままエルチェ戦のメンバーとして帯同していたなか、1-1で迎えた後半19分にぶっつけ本番でデビューの瞬間が訪れた。

 右サイドに配置されると同24分、果敢なドリブルからペナルティーエリアに侵入して放ったシュートは相手GKに弾かれたものの、FWハイメ・マタが押し込んで勝ち越しゴール関与する。さらに同39分、久保が右サイドで仕掛けてゴール前にクロスを供給すると、走り込んだFWアンヘル・ロドリゲスが倒されてPKを獲得。これをアンヘルが自ら決めて3-1と勝負を決めた。

 新天地デビュー戦での活躍はスペインメディアでも大きく取り上げられ、「AS」紙は「This is Kubo!(これぞクボ!) 二つの電撃プレーでヘタフェを勝利に導いた」と称賛。「マルカ」紙も「これ以上のデビューは不可能だった」と高く評価していたなか、「El Confidencial」紙は新天地デビュー戦の活躍を「期待以上のものとなった」と称えた一方、輝きを放てなかったビジャレアルでの実情にも注目している。

 ビジャレアルでの久保は、UEFAヨーロッパリーグ(EL)で1得点3アシストの成績を残した一方、リーグ戦では13試合でピッチに立ってきたが、先発出場はわずか2回でノーゴールノーアシスト。最終的には出番を失う形でヘタフェへの移籍を果たしたなかで、同メディアはエメリ監督がかつて、久保について発した言葉に注目している。

「El Confidencial」紙は指摘「久保はエメリからのいくつかの言葉で悩まされた」

「マスコミの圧力で日本人のマネジメントを吟味することに疲れたのか、監督は素直すぎた。『彼(久保)はピッチの外ではスターだが、ピッチの中でもスターでなければならない 』と言った。また、『良い子なので成長したいと思っているが、ステップを加速させたい人が多い。しかし、その加速は良くない。適応し、すべての位置で成長する必要がある」とも語っている」

 指揮官のこうした発言もあり、「久保はエメリからのいくつかの言葉で悩まされた」と同メディアは指摘。ヘタフェへの再レンタルを決断した直接の原因かは定かではないが、結果的に久保はプレー機会確保のために移籍を懇願したとされている。

 新天地では上々のスタートを切った久保。これまでよりも出場機会が望めそうなヘタフェで、さらなる輝きを放てるだろうか。(Football ZONE web編集部)