毎年クリスマスの時期になると、北米ではシークレットサンタが現れる。これは米実業家ラリー・スチュワート氏が恵まれない人々に匿名で現金を配ったことに始まり、その意志が今でも受け継がれているのだ。『East Idaho News』『People.com』などが、米アイダホ州のシークレットサンタによる温かいサプライズを伝えた。

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米アイダホ州アイダホ・フォールズ在住のシークレットサンタは、2015年から地元ニュースサイト『East Idaho News』とタッグを組み、援助を本当に必要としている家族や個人に現金などを贈ってきた。今年は昨年の総額約5175万円(50万ドル)を上回る額が用意され、同メディアのリポーター、ネイト・イートンさん(Nate Eaton)がプレゼントを配った。

そのうちの一人、ダイアナ・ボールドマンさん(Diana Boldman、65)はマクドナルドでフルタイムで働く65歳の女性で、出勤前には夫キャメロンさん(65)と一緒に新聞配達をしている。夫妻は毎朝休むことなく150軒をバンで周っており、車の走行距離は38万6千キロ(24万マイル)を超えていた。ダイアナさんは「あと2年働いて退職したい」との夢があるが、キャメロンさんには障がいがあるうえ自身も健康に問題があり、必要に迫られて仕事をしていた。

ネイトさんがダイアナさんが働くマクドナルドをサプライズで訪れたのは先月下旬のことで、フライドポテトを揚げていたダイアナさんに声をかけると緑色の箱を手渡した。

この時の様子は動画に収められており、ダイアナさんは箱に入っているのがガソリンのプリペイドカード約51万7千円(5000ドル)分と約10万3千円(1000ドル)分の小切手だとわかると、「オーマイグッネス! (Oh my goodness)」と声をあげて喜んだ。

しかしプレゼントはそれだけではなかった。ダイアナさんには韓国・現代自動車のSUV「ツーソン」の鍵が手渡され、ネイトさんが店の外に停められた新車に案内した。

ピカピカの車を見たダイアナさんは胸がいっぱいな様子で「オーマイグッドネス」と何度も繰り返し、目に涙を溜めている。それでも最後に「シークレットサンタに『本当にありがとう』と伝えてちょうだいね」と感謝の気持ちを伝え、後に『TODAY』のインタビューを受けてこう語った。

「夫や私よりも、車が必要な人はもっといると思うの。でもあの車は私たちに安らぎをもたらしたわ。だって朝の3時に車のバッテリーが上がって、娘を起こすことがなくなったんですもの。」

またキャメロンさんは「衝撃的だった」という新車のプレゼントやシークレットサンタについて、興奮冷めやらぬ様子で次のように語っている。

「新車をプレゼントされた直後に、妻が涙ながらに電話をかけてきたんだ。『これから新車を登録しに行くわよ』ってね。驚いたよ。」

「あの車は四輪駆動で、早朝の新聞配達の時に凍った道で滑らなくなってね。より安全に配達できるようになったよ。」

「シークレットサンタが誰なのか、想像もつかないけど、もし会うことがあったら思い切りハグしたいね。」

実はこの地域のシークレットサンタが誰なのかを知っているのはネイトさんただ一人で、ネイトさんは「プレゼントを受け取るべき人は、まず地元コミュニティに推薦してもらうんだ。そして厳しい審査をしたうえで決定する。ダイアナさんのような人は大抵、自分から助けを求めたりはしないからね。とにかく謙虚なんだよ」と明かすと、こう述べた。

「こうやって匿名サンタの助けができるなんて、とても名誉なことだと思っているよ。シークレットサンタは名声など望んでいないんだ。彼は人々の生活に恵みがもたらされることを願っているのさ。」

画像は『InspireMore.com 2020年12月24日付「Secret Santa Surprises 65-Yr-Old McDonald’s Employee With A New Car And $5,000.」(YouTube)』『TODAY 2020年12月19日付「Grandmother working at McDonald’s receives big surprise from local Secret Santa」(East Idaho News / YouTube)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)