先週末に閉幕した今季のJリーグ。最終順位を見て最も気になるのは、それぞれのクラブの年間予算との関係だ。予算規模に相応しい順位と、現実との間に生じたギャップに目が行く。

 以下は今季の最終順位と、Jリーグが開示した各クラブの2019年営業収支の順位だ。

●2020年順位
1)川崎△+2   
2)G大阪△+6    
3)名古屋△+1  
4)C大阪△+7  
5)鹿島±0    
6)東京△+1    
7)柏△+3     
8)広島△+4    
9)横浜FM▼−3
10)浦和▼−8  
11)大分△+6   
12)札幌△+1   
13)鳥栖△+3    
14)神戸▼−13   
15)横浜FC△+3
16)清水▼−7    
17)仙台▼−2    
18)湘南▼−4    

●2019年営業収益順位(百万円)
1)神戸 11440
2)浦和 8218
3)川崎 6969
4)名古屋 6912
5)鹿島 6768
6)横浜FM 5884
7)東京 5635
8)G大阪 5513
9)清水 4291
10)※柏 4150
11)C大阪 3786
12)広島 3737
13) 札幌 3599
14)※湘南 2978
15) 仙台 2711
16)鳥栖 2561
17)大分 1866
18)※横浜FC 1522

(※柏、湘南、横浜FCの営業収支は2019年の決算が終了していないため、営業収益は2018年度のものを適用)

 両方の順位を重ね合わせれば、予算(営業収支)と成績の関係は一目瞭然となる。予算と成績がピタリと一致しているクラブは鹿島アントラーズ。いずれも5位で、予算に相応しい順位を残したクラブとなる。

 次に、予算を上回る成績を収めたクラブを見てみたい。それぞれの差が大きなクラブの順にランキング化してみた。

1)C大阪+7
2)大分、G大阪+6
4)広島+4
5)柏、鳥栖、横浜FC+3
8)川崎+2
9)名古屋、東京、札幌+1

 これはいい意味でのギャップだ。少ない予算のわりによく健闘したクラブ。工夫、努力が讃えられるべきクラブになる。約37.8億円の予算で4位に食い込んだC大阪はその最たるクラブで、とりわけこの世の中において、優勝チームと同じくらい高い価値を感じる。

 約55.1億円の予算で2位に入ったG大阪もさることながら、それ以上に特筆すべきは、わずか約18.6億円というJ1最低の予算で、11位に食い込んだ大分だろう。9位だった昨季に比べるとインパクトは弱いが、相変わらず、讃えられるべき成績だ。低予算の地方クラブでも、やり方次第ではJ1の中位あたりまで進出できるという可能性を示した、これはいいサンプルになる。横浜FC、サガン鳥栖しかりである。

 一方、16位(2016年)→J2・3位(2017年)→15位(2018年)→13位(2019年)という低迷状態から一転、今季3位にジャンプアップした名古屋グランパスだ。今季のJリーグを最も驚かせたクラブになるが、基本的には金満クラブ。予算と照らし合わせれば、ここが定位置で、これまでが酷すぎたとなる。来季は優勝争いに食い込んでほしいものだ。

 悪い意味でのギャップ。予算に見合わない成績を残したクラブは以下の通りだ。

1)神戸−13
2)浦和−8
3)清水−7
4)湘南−4
5)横浜FM−3
6)仙台−2

 1位は断トツで神戸だ。予算はJリーグ56クラブ中最大の約114.4億円ながら成績は14位に終わった。アジアチャンピオンズリーグ(ACL)で準決勝に進出。蔚山に敗れたものの、不運な判定が絡んだこともあり、世の中には、神戸はよく戦ったというムードが形成されている。三木谷会長もツイッターで「正直、ジャッジには疑問が残りますが、本当に最後までよく戦いました」と、それに同調するようなメッセージを発している。

 だが、神戸は予算的には、アジアを制しても不思議はないクラブであることを忘れてはならない。不運に見舞われたとはいえ、蔚山戦も内容で大きく勝っていたというわけでは全くなかった。