タコは食材として人気がある一方で高い知能を持っていることでも知られており、一部の科学者は認知能力の高さや動物福祉を理由に「タコの養殖をやめるべき」と主張しています。ポルトガルの研究チームが発表した新たな論文では、「タコが一緒に狩りをしている魚を殴る」ことがあると報じられました。

Octopuses punch fishes during collaborative interspecific hunting events - Sampaio - - Ecology - Wiley Online Library

https://esajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ecy.3266

Octopuses Like to Punch Fish, New Research Suggests

https://gizmodo.com/octopuses-like-to-punch-fish-new-research-suggests-1845929379

Octopuses Observed Punching Fish, Perhaps Out of Spite, Scientists Say

https://www.sciencealert.com/octopuses-observed-punching-fish-perhaps-out-of-spite-scientists-say

異なる種が協力して狩りを行うケースは自然界でもいくつか確認されており、コヨーテとアナグマ、ハタとウツボといった組み合わせが共同で狩りをするケースが存在します。ポルトガルのリスボン大学でタコについて研究するEduardo Sampaio氏は、「タコと魚はお互いの形態と狩猟戦略を利用して一緒に狩りをすることが知られています」と述べています。

タコはハタをはじめとする一部の魚と共同で狩りをする場合があるそうで、時には1時間以上にわたって一緒に狩りをするとのこと。タコと狩りをする魚は海底を調べて潜在的なエサを探す役割を担い、獲物が見つかると魚はタコにそれを教え、機敏なタコが獲物を捕まえるという役割分担があるそうです。

ところが、2018年から2019年にかけて紅海でタコと魚の相互作用について調査していたSampaio氏らの研究チームは、「タコが一緒に狩りをしている魚を殴る」という行動を観察したと報告しました。「タコは特定の魚のパートナーに対し、1本の腕を素早く爆発的な動きで伸ばします。私たちはこれを『パンチ』と呼びます」と、研究チームは論文で説明しています。

実際にタコが魚を殴る様子は、以下のムービーで確認できます。

タコの周囲を数匹の魚が泳いでいます。

すると、いきなりタコが1本の腕を魚に伸ばしてたたくような仕草をしました。これが研究チームの言う「パンチ」です。

別のタコや魚を映したムービーでも……

パンチ

またパンチ。タコが魚を殴る様子は一度だけではなく、8回も観察されました。さまざまな場所で別のタコが魚を殴っていたことから、研究チームは「タコのパンチが異なる種間の相互作用において具体的な目的を果たしていることを示唆しています」とコメントしています。

「生態学的な観点からすると、パートナーの魚を殴るという行為は行動者(タコ)に少しのエネルギーコストを課し、それと同時に標的となったパートナーの魚にもコストを課します」と研究チームは指摘。相手だけでなく自分自身にもコストがかかる「パンチ」をタコが繰り出す理由について、共同で行う狩りにおける不平等が原因の可能性があると述べています。

研究チームはタコと魚の狩りについて、「複数のパートナーが参加するため、投資とリターンのバランスが崩れる可能性がある複雑なネットワークが作成されます。これにより、パートナーを制御するメカニズムが生まれる可能性があります」と説明しています。タコが魚を殴るのは、狩りの最中に魚の動きを制御したり、狩りに貢献していない魚を群れから追い出したり、獲物を独占するために魚を遠ざけたりする理由があると推測しているとのこと。

しかし、研究チームが観察したタコが魚を殴った事例のうち少なくとも2回は、獲物を確保する試みに関連していないように見えたそうです。タコが狩りと直接関係ないパンチを繰り出す理由については、「単に魚への意地悪のためにパンチしている」「次の狩りで魚の協調行動を促進するため、事前に攻撃して支配を試みている」という2つの理論的なシナリオが考えられると研究チームは主張しました。