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 年末年始になると、何かとお酒を飲む機会が増えますよね。今年はおうちで楽しむことが多くなりそうなので、お酒選びをどうするかで悩むかもしれません。普段からワインを嗜む人は好みの銘柄が決まっていると思いますが、ワイン初心者にはハードルが高いと感じるはず。

 ワインを飲み慣れていない人が手っ取り早くハズさないワインを選びたいなら、“人気”をチェックするのがひとつの手。そこで、今回はご存知サントリーが取り扱う欧州各国でNo.1の実績を持つブランドのワインをご紹介しましょう。

世界150か国以上で愛飲される「フレシネ」で乾杯

「フレシネ コルドン ネグロ」(1700円・税抜)は、黒い摺りガラス瓶が目印

 乾杯といえばやっぱりスパークリングワイン。スパークリングワインのなかでも世界で一番売れているのが「フレシネ」です。手摘みで収穫したぶどうを使用し、1974年にはスペインで初めて空気圧搾法を採用。この圧搾法によって、クリーンで雑味のない果汁を抽出しています。

 フレシネは「カヴァ」と呼ばれる種類のお酒で、スペインの特定地域でシャンパンと同じ瓶内二次発酵で作られています。昔は洞窟(カヴァ)で熟成されていたことからそう呼ばれるようになりました。最低でも9か月、フレシネ コルドン ネグロの場合は18か月以上眠らせてから出荷されています。

レモンやシトラスなど柑橘系の香りが特徴

 フレシネ コルドン ネグロは柑橘系の香りが感じられ、泡立ちがきめ細やかでクリーミー。辛口で酸味があり、後味にはほんのり甘みも感じられます。とにかくクセが少ないスパークリングワインなので、食前酒としてはもちろん、食中酒としてもぴったりです。

バゲットにのせる焼き鳥は缶詰でOK。手の混んだ料理だけでなく、簡単なおつまみとも合わせやすいのが魅力

 ちなみにおすすめのマリアージュは、魚介のカルパッチョ、ローストチキン、パエリア、ピザといった洋食のほか、天ぷらやカキフライにも合うとのこと。バゲットの上に焼き鳥をのせて、オリーブオイルをかけるだけの簡単おつまみとの相性もいいです。

日本で一番売れているポルトガルワイン「マテウス ロゼ」

「マテウス ロゼ」(970円)は、おしゃれなデザインボトルも特徴。もともとは第一次世界大戦の兵士のフラスコ(水筒)がモチーフだったそう

 世界120か国以上で販売されるポルトガルワインの「マテウス ロゼ」は、ポルトガルから輸出されるワインの約4割を占めています。日本で飲まれるポルトガルワインのなかで一番売れている銘柄で、スーパーで見かけたことがある人もいるはず。

豊かな香りとフルーティーな口当たりが特徴の微発泡性ロゼワイン

 近年、世界的にロゼワインがブームで、その火付け役ともいえるのがマテウス ロゼだと言われています。1942年に創業されたポルトガルのワイナリー「ソグラペ社」が手掛けており、2015年には世界ワイン・アンド・スピリッツ・ジャーナリスト協会(WAWWJ)が選ぶ「世界トップワイナリー 100」で1位に輝きました。

おすすめは生春巻きなどのオリエンタルフードとの組み合わせ

 マテウス ロゼは、ラズベリーやキャンディのような甘い香りが立ち、味わいもやや甘め。泡立ちは控えめでまろやかなので、優しい印象を受けます。ロゼというと、以前は食前酒のイメージが強いお酒でしたが、シーフードやサラダのような軽めの食事はもとより、中華やタイ料理に合わせてみるのもアリだそう。華やかさのあるロゼなので、家呑みのレベルをグッと引き上げてくれそうです。

日本で50年以上愛されてきた「リープフラウミルヒ<マドンナ>」

「リープフラウミルヒ<マドンナ>」(1250円)は日本で50年以上愛されてきたロングセラーブランド

 ドイツと聞くとビールのイメージが強い国ですが、ワイン造りも盛んです。ドイツのファルケンベルク社は1786年創業の220年を超えるワイナリーで、フランクフルトの南西にあるヴォルムスという町にあります。この地域では聖母教会の修道僧の作るワインが格別で「リープフラウミルヒ(聖母の乳)」と呼ばれ、その聖母教会のぶどう畑を受け継いだのがファルケンベルク社でした。

普段、デイリーワインとして辛口の白ワインを愛飲している人にも、フレッシュ感のあるマドンナの味わいはオススメ

 実際に飲んでみると、ぶどうの果実をしっかり感じるフルーティーな香りと味わいです。適度な酸味も楽しめるので、ワインを飲み慣れていない人もおいしく飲めそう。まさにデイリーワインという感じがあって、個人的にもお気に入りの1本です。

中華料理×白ワインとなるとスッキリ辛口のものを合わせるのかと思いきや、実はマドンナのような甘いワインとも相性がいいとは知らなかった

 どちらかというと甘めだったので料理とは合わせづらいかと思いきや、意外にもピリ辛の料理との相性がいいんです。エビチリやカレーなどの辛みをマドンナの軽やかな甘さが上手く包み込んでくれます。

フランスで19年連続1位の「バロン ド レスタック

「バロン ド レスタック ボルドー ルージュ[赤]」(1350円)の「レスタック」は、創業者のファミリーネーム「カステル(CASTEL)」を逆さにして作った造語。逆立ちしてでも飲みたくなるようなブランドにしたいという想いが込められている

 フランス国内で圧倒的人気を誇るのが、カステル社の「バロン ド レスタック」です。19年連続で年間販売数量1位を誇り、リーズナブルに高品質な味わいが楽しめることが人気の理由。ボルドーワインといえば高級酒のイメージだったのを、同社が変えたといっても過言では有りません。1949年にボルドー地方で創設され、いまではモロッコやチュニジアにもぶどう畑を所有しています。

心地よいタンニンとまろやかな口当たりで料理を引き立ててくれる

 バロン ド レスタックのラベルにはフランス語で「オーク樽で熟成させた」と明記されています。カステル社の樽熟成庫には常時約5万個の樽があり、これは欧州最大級。試飲すると、最初はカシスのような赤い果実の風味があるのですが、あとからほどよい樽香が広がり、1500円以下で買えるワインだとは思えないクオリティの高さです!

赤ワインに肉料理を組み合わせるのは王道の組み合わせ。赤身肉やデミグラスソースとのマリアージュを楽しもう

 “キング・オブ・ボルドー”と呼ばれる濃厚な赤ワインに合わせたいのは、やっぱり肉料理。ローストビーフやハンバーグなどと組み合わせれば、完璧なマリアージュが楽しめます。

「タヴェルネッロ」は世界一のイタリアワインブランド

「タヴェルネッロ オルガニコ サンジョベーゼ」(1030円)のラベルは、スウェーデンのデザイナーチーム「MOTHERLAND」が手掛けている

 美食の国イタリアで30年以上愛される「タヴェルネッロ」。その名前の由来は、イタリア語の「小さな居酒屋」にあります。同ブランドを作ったのはイタリア最大手のワインメーカー・カヴィロ社で、そのぶどうの生産量はイタリア全土の生産量の10%にも及びます。タヴェルネッロにはさまざまなワインがありますが、今回は有機栽培ぶどうを使用した「タヴェルネッロ オルガニコ」を紹介しましょう。

チャート上ではライトボディとミディアムボディの中間で辛口となっているが、果実味のおかげか“やや辛口”くらいの印象

 タヴェルネッロ オルガニコ サンジョベーゼは、チェリーやプラム、すみれの花のような甘い香りがあり、甘いスパイスのようなニュアンスがあります。最初は果実味を感じるのですが、まろやかな渋みや酸味もあり、飲み飽きない軽さのあるワインです。

 オイスターソースや中華風の味付けの料理にもよく合うほか、タレの焼き鳥との相性も抜群。ワインの甘いニュアンスに、甘みや旨みのあるタレが程よくマッチします。

中華料理だとついビールや紹興酒に手を出しがちだが、自宅で赤ワインとのマリアージュを試してみよう

 ワインといえば合わせる料理として、洋風のものを連想しがちですが、ワインは個性が豊かだからこそ幅広い料理に合う懐の深いお酒。今年の年末年始はおうちでいろんなワインと料理のマリアージュを楽しんでみては?

●DATA

サントリー 食卓で世界を旅しようキャンペーン

http://suntory.jp/28466/

●著者プロフィール

今西絢美
「おいしいものナビゲーター」として、調理家電や食に関する記事を執筆。フードツーリズムマイスター、利酒師の資格も持つ。ウェブサービスやアプリのトレンドも絶賛追跡中。コンテンツ制作会社「TEKIKAKU」取締役。