「回転寿司チェーンのラーメンが美味いらしい」という噂は、一度は耳にしたことがあるだろう。

近場に店がなく、あまり回転寿司屋に行く機会のない筆者のような人間でさえ、テレビ番組やネットニュースで自然と情報が入ってくるくらいだ。日頃から回転寿司チェーンを利用している人にとって、「回転寿司チェーンのラーメンが美味いらしい」という噂は、もうとっくに検証済みの"真実"かもしれない。

しかし、しかしである。「寿司屋でしょ?」と口を挟みたくなるこの気持ちは抑えられない。

もちろんダイバーシティは尊重しよう。それでも、日本中どこでも美味しいラーメンが食べられるこの時代に、「なぜ寿司屋でラーメン?」と疑問を感じずにはいられないのだ。もっと言うと、「どうせ味も"そこそこ"なんでしょ?」と、心のどこかで侮っているのである。我ながら、そんな自分が嫌で仕方がなかったようだ。

12月某日、ふと気付けば、はま寿司のテーブル席でラーメンの到着を待っていた。

○そもそも「北海道紀行」が気になる

はま寿司「北海道紀行」の味噌ラーメンを実食。美味しいらしいとよく聞くけど、本当なのか?

なぜ、はま寿司を選んだのか。それは比較的にアクセスしやすい場所にあったから、そして「北海道紀行」なる北海道フェアが行われていたからだ。

今回頼んだのはラーメンなのだが、これも実は「北海道紀行」の限定メニュー。タッチパネルでピピピッとオーダーしたのは、「濃厚! 北海道味噌ラーメン」「北海道 辛味噌ラーメン」「北海道 味噌バターコーンラーメン」の三種。これを今回は噂の検証がてら食べ比べてみようという狙いだ。

さて、そろそろ「もうお前の話はいいよ」と怒られそうだが、丼が届く間、もう少々お付き合いいただきたい。

実は筆者は北海道生まれ。この手の北海道フェアや北海道物産展を見ると、自然と体が反応してしまうという一種の癖がある。個人的な意見だが、北海道の海の幸や乳製品は別格だ。「上京してから魚の味の違いに驚いた」という道民の声を何度聞いたことかわからない。だからこそ「北海道フェア=絶対に美味しい思いができる」とDNAレベルでザワつくのだ。

というわけで「せっかくなら北海道を感じられる回転寿司チェーンにしよう」という魂胆ではま寿司を選んだわけだが、果たして吉と出るか、それともーー。

そもそも、どうやってラーメンが運ばれてくるんだろう。レーンに乗るのか? 寿司と一緒に回転させて、スープはこぼれないのか? などと考えながらレーンを凝視して待つこと数分。「お待たせしました〜」と、店員さんがお盆で丁寧に運んできてくれたではないか。そりゃそうか。そしてこれは……美味そうだ!

「濃厚! 北海道味噌ラーメン」

まずは「濃厚! 北海道味噌ラーメン」(税別380円)から。見た目はしっかりしたラーメンである。チャーシューやネギはもちろん、煮玉子まで乗っている。なかなか本格的だ。サイズ感は、一般的なラーメン屋の「半ラーメン」くらいの大きさだろうか。

では、麺が伸びる前にいただきます。

注文時はサラッと読み飛ばしていたが、「濃厚! 北海道味噌ラーメン」と名の通り、本当に"濃厚"な味である。こってりした濃厚スープにおろし生姜がアクセントとして主張。より複雑で味わい深いものにしながらも後味をスッキリ、シャープにまとめている。

聞くと、味噌は北海道で100年超の歴史を持つ岩田醸造の赤味噌と白味噌を絶妙なバランスで使用しているらしい。

麺はもちろん、弾力のある縮れ玉子麺。味噌ラーメンといえばコレである。スープがよく絡んで実に美味い。煮玉子は味が染みていてトロトロ。絶妙な半熟具合もお見事である。ラーメンチェーン顔負けの完成度だ。ネギもシャキシャキで最後まで美味しくフィニッシュ。

「北海道 辛味噌ラーメン」

続いては「北海道 辛味噌ラーメン」(税別460円)にトライ。思ったより……赤い。スープを一口すすってみると……辛い! いきなりガツンとくる辛味だ。え、本当にちゃんと辛いぞ? てっきり、「お子様でも美味しく召し上がれます」みたいなラインで設定しているものと高をくくっていたが、とんでもない。本当に、ちゃんと、辛い。

しかし、辛さの奥に甘みや旨みを感じる。重層的でコク深い味わいと辛み。これは病みつきになりそうだ。

チャーシューもジューシーで申し分なし。ゴムみたいにぐにゃぐにゃしていたらどうしよう……などと案じたものだが、このラーメン戦国時代に、そんな不安を抱くこと自体がもう古いのかもしれない。もう、ハッキリわかった。「寿司屋のラーメン(笑)」などと侮っていたら痛い目をみる、と。それほどレベルが高い。

「北海道 味噌バターコーンラーメン」

ラストは「北海道 味噌バターコーンラーメン」(税別460円)。味噌バターコーンラーメンと言えば、かつて札幌名物として北海道ラーメン界の頂点に君臨していたと言っても過言ではない。今でこそ北海道にもいろんなラーメンがあるが、"味噌"と"バター"と"コーン"がひとつの丼に集まるなんて、まさにドリームチーム。その価値は決して色褪せないのだ。

バターが溶けた濃厚味噌スープに、シャキシャキのコーンが溢れんばかりに浮かぶ。この相性の良さは、もはや何かしらの化学反応が起きているとしか思えないほどに絶妙だ。バターの風味豊かな甘さは、「北海道 辛味噌ラーメン」でヒリヒリした舌を優しく包み込んでくれるようだ。

ひとりで3杯は正直不安だったが、あっという間に完食。こんなにも濃厚なのに食べ飽きることはなかった。もうだいぶ序盤で気付いていたが、「回転寿司チェーンのラーメンが美味いらしい」という噂は真実だった。少なくとも、はま寿司のラーメンは美味い! と結論付けていい。

今後、回転寿司チェーンを利用するときは、「寿司はもうばっちり堪能した!」というタイミングで、締めとしてラーメンを注文してみよう。回転寿司の楽しみ方として、ニュースタンダードになりそうな予感である。いや、もう気付いている人は気付いているのだろうけども。

お会計ボタンを押し、駆け付けた店員さんが「はい、ではお皿を数え……ま……す……?」と、戸惑いを隠しきれていなかったことはここに記しておこう。寿司も食べずにラーメンだけ、しかも3杯も食べて帰る客など初めてだったのだろう。しかし、これだけラーメンのクオリティが高ければ、そんな客もどんどん増えて行くだろう……といったらさすがに大袈裟か?