南アフリカのビーチにて11月16日、ウミウシ類の“アオミノウミウシ”が大量に打ち上げられているのを近くに住む女性が発見した。女性はこの生物が有毒であるとは知らなかったが、「刺されそうな気がした」と本能的に勘を働かせて接触を回避したという。『news.com.au』『The Sun』などが伝えている。

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眩いばかりの美しい青い身体に両側に翼のように伸びた突起から「ブルードラゴン」とも呼ばれる“アオミノウミウシ”が、南アフリカのケープタウン近くにあるフィッシュホークビーチに大量に打ち上げられた。

アオミノウミウシは肉食性でクラゲのような浮遊性刺胞動物に取りついて移動し、それらを栄養源としても捕食している。とくに猛毒で知られる“カツオノエボシ”を好んで食しており、クラゲの毒の刺胞を自らの体に取り込んで濃縮、さらに強い毒で刺す「盗刺胞」で外敵から身を守る。そのためアオミノウミウシに刺されると吐き気、激しい痛み、嘔吐、急性アレルギー性接触皮膚炎などの症状に襲われるという。

発見者のマリア・ワグネルさん(Maria Wagener)は長年このビーチの近くに住んでいるが、アオミノウミウシを見たのはこれが初めてだそうで、当然この生物について何の知識も持っていなかった。しかし「なんとなくこの生物は刺すような気がしたの」と本能で幸運にも接触を回避したマリアさんは、発見した当時をこのように振り返っている。

「私はいつも打ち上げられたヒトデを海にかえしているんですが、これはなんとなく刺してくる気がしたんです。」
「何かこの生物を持ち上げられるようなものがあったら、そうしてあげたと思うけど。絶対に、直接は触らなかったわ!」

マリアさんによるとこの日、見つけただけでも20匹のアオミノウミウシがビーチに打ち上げられており、実際にはもっと多くの個体が打ち上げられたと見られている。

このビーチには普段から“ブルークラブ”や“カツオノエボシ”、そして同じくカツオノエボシを好んで食す“アサガオガイ”なども流れ着いているといい、獲物から毒性を得ている生物も多い。マリアさんは本能で危険を回避したようだが、実はビーチを見てみると“アオミノウミウシ”が危険であるというヒントはそこら中に散らばっていたのである。

マリアさんは自身のFacebookにて、アオミノウミウシについてその特徴を以下のように説明している。

「この生物はウミサソリに似ていて、大きさは約2.5cm(1インチ)ほど。上が青色で、お腹の部分は白色をしているの。」
「白い砂浜の上だったから、とても簡単に見つかったわ。」

アオミノウミウシは背側が真っ青な一方で、腹部側は白っぽい銀色をしており、海を泳ぐ際には背を向けて漂っている。それは海の色に同化させ、お腹側を空に同化させることによる擬態だそうだ。

マリアさんはこの大変美しく不思議な生物との出会いを、フィッシュホークビーチのFacebookページに画像とともにシェアした。

すると写真は瞬く間に人々の目を惹き、「なんて美しいの! こんな生物がいるなんて」「本当に素晴らしい写真だ。神秘的だね」「本当に綺麗な青色、でも絶対に毒がありそうな色だわ」「こんな生物初めて見たよ!」と驚きとその美しさを称えるコメントが相次いでいる。

画像は『Fish Hoek Beach 2020年11月16日付Facebook「Unusual sea life on the beach today」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 YUKKE)