新型コロナウイルスの影響などにより、毎年大晦日に恒例だった鉄道の終夜運転を取りやめる発表が相次いでいます。一方で、例年通り終夜運転も実施し、3が日のみ運行していた特別列車の運行日を拡大する会社もあります。

終夜運転「やめます」相次ぐなか「やります」 そのワケは?

 2020年11月27日(金)、関西私鉄の京阪電鉄、南海電鉄、阪神電鉄、阪急電鉄などが相次ぎ、今シーズンの大晦日における列車の終夜運転を取りやめると発表しました。たとえば京阪電鉄では、男山(京都府八幡市)山上の初詣スポットである石清水八幡宮へのケーブルカーも、終夜運転を実施しないとしています。

 関東では、JR東日本が首都圏12の路線で終夜運転を実施し、伊豆や房総、富士山方面の初日の出鑑賞に便利な列車も運行する予定です。しかし私鉄においては、東急や小田急、相鉄、東武が終夜運転の取りやめを表明しています。もともと終夜運転は近年、実施路線や本数などが縮小傾向にありましたが、その動きがさらに加速する可能性があります。


京阪8000系電車。沿線に多くの社寺が点在する京阪電鉄も、2020年度シーズンは大晦日の終夜運転を取りやめる(画像:京阪電鉄)。

 一方で、終夜運転を「例年通り実施」としているのが、福岡の西日本鉄道です。太宰府天満宮の初詣に応えるべく、大晦日の終電後から元日の始発まで、西鉄福岡(天神)〜太宰府間で約20分から30分の間隔で列車を運行するということです。

「太宰府天満宮は当社の電車以外の交通機関に乏しく、周辺の渋滞を防止する目的で、太宰府市さんや天満宮さんとも協議のうえ運行計画を決めました」(西鉄)

 さらに年明けは、両駅間を直通する臨時急行「初詣号」の運行を例年より拡大します。これまでは正月3が日のみでしたが、2021年は1月9日から11日の3連休についても同様に運行するとのこと。密を防止するため、時期をずらす「分散参拝」を促す狙いがあるといいます。

 太宰府天満宮を始め全国の社寺が、今シーズンの初詣については分散参拝を呼び掛けています。たとえば、関東屈指の人出を誇る成田山新勝寺などでは、本堂の入場規制なども行っていく構えです。西鉄が元日から10日も過ぎた時期にも「初詣号」を運行するように、今シーズンの初詣の在り方は大きく変化する可能性があります。