「触らないで」と「もっと触って」イメージするのはどちらも“触る”こと



好奇心旺盛なお子さんをお持ちの方は、おでかけ中も苦労が絶えませんね。興味があるものを見つけたら触らずにはいられないので、行く先々で何度も「触らないで」と言い続けるのも大仕事です。

実は「触らないで」という表現は“触る”イメージが頭の中に浮かんで、余計にその行動を助長してしまいます。

そんなときは「手を〇〇においてね」と手の行き先をはっきり伝えましょう。物を触りに行く回数がずいぶん少なくなりますよ。

脳は否定語を理解できない。やってほしい行動を具体的に伝えよう



「梅干しを想像しないでください」と言われても、頭にすっぱい梅干しが浮かんでしまう現象を“否定命令”と言います。

脳は否定語を理解できず、単語をイメージとしてそのまま取り込んでしまうと言われています。未熟な子どもの脳では尚更でしょう。

子どもへ声をかけるときには、「〇〇してね」とやってほしい行動を具体的に伝えましょう。「走らないで」は「歩こうね」、「騒がないで」は「静かにしてね」のように表現できます。

子どもが楽しくなるような表現を見つけるとガミガミいう必要がなくなる



5歳のJちゃんは好奇心旺盛な女の子です。お出かけ先でも面白そうなものを見つけると触って確認しないと気が済みません。「触らないで」と何度言ってもすぐ展示物に手が伸びます。

子どもの好奇心は大切にしてあげたいけれど、美術館ではそうもいきません。触ってはいけない約束です。

そこで「お姫様みたいにスカートを両手で持って歩きましょう」と伝えました。するとJちゃんの手はスカートに固定され、衝動的に展示品を触ることが減りました。

うまくいくイメージが言葉に表れる。まずはお母さんの気持ちから前向きに



否定命令の代わりに、どうすればいいかを具体的に伝えましょう。

子どもに注意するときに、とっさに具体的な行動に置き換えるのは難しいです。前もって子どもと約束をするときに「ここでは歩こうね」「静かにしようね」と伝えておくことから始めると良いです。

否定命令を使いそうになったら「本当にしてほしい行動は何?」と自分に問いかけてみましょう。お母さんの中でも子どもがうまくできるイメージが作られ、前向きな気持ちになれますよ。

今日の1日1成長



「走らないで」より「歩こうね」子どもの脳に届く言葉で伝えよう

子どもの自己コントロール力も1成長、お母さんの応用力も1成長。

わたなべゆみ(文)わたなべみゆき(編集)日本キッズコーチング協会(監修)http://jakc.or.jp/