回顧録『A Promised Land』でもミシェル・オバマ夫人との関係について綴っているバラク・オバマ前大統領。大統領夫人として数々のプロジェクトを成功させ、夫をサポートしていたミシェル夫人だけれど、夫の大統領選出馬には賛成していなかった。回顧録の中でオバマ前大統領はこう綴っている。「選挙に立候補すると打ち明けると、彼女は厳しい表情で私を見てソファから立ち上がった。『なんてこと、バラク。どこまでやれば十分なの?』。私が答える前に彼女は寝室に引き取りドアを閉めた」。大統領に就任してからも「目には見えないがミシェルが常に緊張し、孤独を感じているのがわかった」。

最近、雑誌『ピープル』のインタビューを受けたオバマ前大統領。「夫婦関係が緊張状態にあったことは、表には出てこなかったが大統領任期中を物語るものだ。それがホワイトハウスにいたときの私たちの真実の姿だ」と語っている。「ミシェルは私の仕事の重要性を信じていた。でも私が何を成し遂げることができるのかについてはそれほど楽観的ではなかった。彼女は私よりも政治に懐疑的で、家族が払わなくてはならない犠牲に対してもっと敏感だった」。

前大統領は「ホワイトハウスには大きな喜びがあった。他のものとは比べられない恩恵があることは常に意識していた」とコメント。でも「ミシェルはそこに潜む緊張やプレッシャー、ストレス、すべてにおいて正しく行動し、常にオン状態でいなくてはならない必要性を感じていた」。その緊張感が夫婦の関係に影響し、危機的とも言える状態にあったと示唆している。

それを脱することができたのはホワイトハウスを去ったとき。「任期が終わりようやく2人とも大きく息をつくことができた。ミシェルがそれまでどういう心境だったのかを打ち明けてくれるのには少し時間がかかった」と語る前大統領。「任期後、ミシェルの今後の可能性が開けた。でももっと大切なのは彼女が息をつき、リラックスできるようになったことだ」。

ファーストレディになる前は弁護士としてキャリアを築き、若者の社会活動を支援する非営利団体「パブリックアライズ」の事務局長やシカゴ大学病院の副院長など組織のトップとして活躍してきたミシェル夫人。その彼女でもファーストレディという立場は重圧だったよう。先日、前大統領はジョー・バイデン次期大統領の政権にスタッフとして参加する可能性について聞かれると「それはない。ミシェルが出て行ってしまうからね」。笑いながら答えていたから前大統領らしいユーモアだと思われていたけれど、あながち冗談でもないのかも。