厚生労働省が2018年に行った「国民健康・栄養調査」によると「ここ1か月、睡眠で休養が十分にとれていない」と回答した日本人成人の割合は21.7%。寝付けなかったり、反対になかなか起きられなかったりと、睡眠に不満を抱えている人が多いという結果になった。筆者は肩凝りが酷く、赤ちゃんのようにバンザイのポーズでしか寝られないのが悩みだ。加えて極度の暑がりなので、この季節でも暑くなって夜中に目覚めることもしばしばだ。
 快眠をサポートしてくれる寝具を探していたところ、「熟睡用たわし」という衝撃的な商品を発見した。「絶頂睡眠」や「睡眠用うどん」で有名なドライヘッドスパ専門店悟空のきもちが販売するまくらで、2018年の発売以来3万個以上の売上だそう。実際に使う機会があったので、その特徴と魅力を紹介しよう。

●たわしのチクチクが頭皮を刺激して快眠に導



 熟睡用たわしの特徴は何といっても、まくら全体にびっしりと生えた短い毛。実物のたわしよりは柔らかい手触りで、毛の先端にも丸みを感じるが、撫でるとまるで髪を短く刈った頭を撫でているかのような感触だ。この毛が頭皮をほどよく刺激し、「悟空のきもち」の施術を再現したような心地よい睡眠に導いてくれるという。

 実際に使ってみると、最初の数10分は頭皮や首筋に感じるチクチクとした刺激が気になって眠れる気がしなかった。しかし、慣れると頭皮にイタ気持ちいい感覚がじんわりと広がり、気付いたら寝落ち。筆者は一日でチクチクに慣れたが、使用者のなかにはどうしても気になって眠れないという人もいるようだ。そんなときは、専用カバーやタオルでまくらを包むと刺激がやわらぐ。

●貫通穴で体圧を分散するから寝疲れしにくい



 筆者が最も気に入ったのは、その形状だ。前作の「睡眠用たわし」が一般的なたわしと同じ形なのに比べ、熟睡用たわしは「丸形たわし型」を採用。中心に開いた貫通穴のおかげで頭が安定し、包み込まれているような心地よさを感じる。加えて、まくらの中材にはソフトで沈み込みやすい「中空材」を使用。頭や肩、首にかかる体圧を分散し、寝疲れしにくい設計になっている。

 デスクワークと体に合わない寝具のせいでバンザイのポーズでしか寝られなくなっていた筆者だが、熟睡用たわしを使ったら体圧分散効果のおかげで自然なポーズで就寝できた。また、貫通穴に後頭部がすぽっとはまるのも筆者にとってはうれしいポイント。というのも、筆者は寝相が悪く、朝起きるとまくらが床に落ちていたり、変な姿勢になって寝違えたりといったことが多かった。その点、熟睡用たわしは貫通穴のおかげで頭が安定するので、朝までまくらと一緒にぐっすり眠れた。

●「頭寒足熱」を再現する冷却効果で目覚めもスッキリ



 これからどんどん寒くなるので、寝具もとにかく暖かいものを選びたくなる。しかし、頭まで温めると熱が篭り、寝られなくなったり、朝起きたときにボーッとしたりしてしまう。熟睡用たわしは本物のたわしの特徴である圧倒的な通気性を再現。普通のまくらと比較して−5℃温まりにくいという高い冷却性を実現した。

 筆者は体温が高く、冬でも暑くて布団を除けてしまうことがしばしば。おまけに髪の量が多いのですぐに熱くなるまくらを放り投げることもあったが、熟睡用たわしならその心配はない。加えて、目覚めて寝返りをうつと、寝ているときは感じなかったたわしの毛が刺激になり、すぐ覚醒できるのもうれしい効果だった。

●「たわし」だから当然じゃぶじゃぶ洗える



 まくらは顔に直接触れるので、当然清潔を保ちたい。とはいえ素材によっては手洗いNGだったり、乾燥させにくかったりするので、ついついケアを怠ってしまう。ところが、熟睡用たわしはシャワーや手でじゃぶじゃぶ洗ってOK。さらに干しやすいように、吊り下げ用の紐まで付いている。

 安いまくらに慣れていた筆者にとって、9800円という値段は強気に感じたが、使ってみると「たわし」でしか味わえない心地いい刺激とすっきっりした目覚めがクセになり、いまではすっかり手放せなくなっている。人気商品のため手元に届くのに少々時間がかかる場合もあるが、不眠に悩んでいる人は試す価値があるだろう。(TEKIKAKU・山崎理香子)