by Ivan Radic

世界最大のECサイトを運営するAmazonは2020年10月28日(水)、これまで進出していなかった北欧・スウェーデンでのサービスを立ち上げました。各国のオンライン市場を支配するAmazonの北欧進出は大きな注目を集めましたが、「誤訳がひどすぎる」「スウェーデンの国旗を間違えている」といった問題が噴出していると報じられています。

Lost in translation: Amazon website launch trips over faulty Swedish | Reuters

https://www.reuters.com/article/us-amazon-com-sweden/amazon-launches-shopping-website-in-sweden-idUSKBN27D0ZR

Amazon hits trouble with Sweden launch over lewd translation | Technology | The Guardian

https://www.theguardian.com/technology/2020/oct/29/amazon-hits-trouble-with-sweden-launch-over-lewd-pussy-translation

9 awkward translation fails on Amazon's new Swedish site - The Local

https://www.thelocal.se/20201028/translation-fails-on-amazons-new-swedish-site

海外メディアのThe Guardianが最初に指摘したのは、Amazonのウェブサイト上で国や地域の選択を行う際に表示されるスウェーデンの国旗が、アルゼンチンの国旗になっているということ。以下の画像を見ると、「Sweden」の横にアルゼンチンの国旗が表示されているのがわかります。



正しいスウェーデンの国旗はこれで……



アルゼンチンの国旗はこれ。どちらにも青色が使われていること以外、特に似ているようには見えません。なお、記事作成時点では国旗の間違いは修正されていました。



また、スウェーデン版のAmazonで使われている自動翻訳の精度が低く、明らかに商品名に適していないひわいな言葉が用いられていることも指摘されています。たとえば、いくつかの製品には「våldtäkt(スウェーデン語でレイプ・性的暴行を意味する)」という言葉が使われていましたが、これは食用油の原料となるセイヨウアブラナを意味する「rape」から誤訳された可能性があるとのこと。「våldtäkt」が使われた製品を見ると、確かにアブラナの柄などが用いられています。



アヒルのヒナを描いたグリーティングカードは「söta-ansikte-kuk」と名付けられていました。これを英語にすると、「sweet-face-dick(かわいい顔のペニス)」という意味になってしまうとのこと。



このニワトリのぬいぐるみは、「手編みのペニス」と名付けられてしまったそうです。他にもニワトリが「ペニス」に置き換えられてしまったケースは複数あるそうで、これは「ペニス」の隠語としても使われる「cock(雄鶏)」の誤訳だとみられています。



また、鋳造方法の一種であるダイカスト(die cast)は、「die(死ぬ)」を直訳して「död(死)」「dödlig(致命的な)」といった言葉に翻訳されてしまったとのこと。その結果、スウェーデンのAmazonには「致死的なUSBケーブル」「殺しのペンケース」といった恐ろしい製品が並ぶことに。



カルバン・クラインの男性用下着は、「トランクス」という意味の他に「荷物入れ」の意味を持つ「trunk(s)」を誤訳したのか、「男性用の荷物入れ」として販売されていました。



さらに、左官用のこては「professionell självhäftande pung(プロフェッショナル用の自己粘着性陰嚢)」という驚くべき名称になっています。



Amazonは一連の間違いについて、「これらの問題を強調し、Amazon.seを変更して改善するのを手伝ってくれた全ての人に感謝します。本日、1億5000万を越える製品と共にAmazon.seを立ち上げたことにとても興奮していますが、まだオープン初日を迎えたばかりであり、Amazonは常にカスタマーエクスペリエンスの向上に取り組んでいます。従って、製品ページに問題が見つかった場合は、ページ上のリンクを使ってフィードバックを提供してください」と述べています。

スウェーデンでは英語を読み書きできる人が多いため、Amazonのひどい誤訳は多くのユーザーにとって嘲笑の的になっているとのこと。スウェーデンのゲーム開発者であるJake Shadle氏は、「多くのスウェーデン人が少なくとも商品説明を理解できる言語(英語)から、ウェブサイトの95%以上でデタラメな機械翻訳を行うという天才的な決断にAmazonの全員が関与しました」と述べました。