LGBTQ+への理解が広がり、L(レズビアン)G(ゲイ)B(バイセクシャル)T(トランスジェンダー)Q(クィア・クエッショニング)以外にも、グラデーションのように様々なセクシャルアイデンティティが存在することを知っている人は少なくないはず。

本記事では、その中でもまだまだ誤解されやすい「アセクシャル(無性愛)」についての理解を深めるべく、当事者である8人の女性たちが「自分のセクシャリティに気づいた瞬間」についての体験談をご紹介。気づきから、アセクシャルとしての恋愛事情までを紐解いていきます。

アセクシャルとは?

アセクシャルとは、「他者に対して性的欲求を抱かないセクシュアリティ」を意味する言葉で、ほかにエース(Ace)や無性愛と呼ばれることも。テレビや映画でアセクシャルな人物が描かれることは少なく、登場したとしてもアセクシャルな自分を“正そう”としている設定が多いなんてことも…。

恋愛感情を抱き交際に発展したいと感じる人もいますが、アロマンティック(他者に恋愛感情を抱かないこと)でもある、と自身を定義する人もいます。アセクシャルは性的志向の一種であり、しばしば混同されるセリバシー(禁欲主義)とは異なり、自らの意思で選ぶものではありません。

偶然に見つけた記事がキッカケで…

子どもの頃、(兄や姉が)ティーンエイジャーになってデートしはじめる様子を見て、自分も同じ道を通るのだと思っていました。高校時代には、友人たちが男子や彼らと付き合いたいという話をいつもしていて、私にもいつか、誰かと付き合いたいと思うようなトキメキを感じるのだろうと待っていたのですが、そのような瞬間は訪れませんでした。高校時代は勉強熱心になりすぎていただけで、大学に入ったらチャンスが訪れるかもと思いましたが、結局なにも起こらなかったんです。

大学生のときに、「The Asexual Visibility and Education Network(AVEN:無性愛認知教育ネットワーク)」のウェブサイトを偶然見つけ、そこにあった記事をいくつか読んで『自分の感覚とかなり似ている』と思いました。その後もデートしたりセックスしたりということに対して、まだ自分の意思を固めないようにしていましたが、興味を惹かれることはありませんでした。

20代のうちに、自分は“そういうこと”に興味を持てない、つまりアロマンティックかつアセクシャルであることに気付きました。もうすぐ32歳になりますが、誰かと付き合ったことも、身体の関係を持ったこともありません。けど、考えても疲れるだけですし、それに悩んで時間を費やすよりも、やりたいことはほかにいくらでもありますから。[投稿原文]

徐々に芽生えた想いに気づき…

高校時代は男性とも女性とも付き合いましたが、大学生になると、完全にセックスに対する興味を失いました。むしろ不快に思うようになり、誰かとデートしたり身体の関係を持ったりするのが嫌になりました。エッチな気分になることさえありませんでしたね。[投稿原文]

マッチングアプリで運命の出会いが!

15か16歳の頃にはなんとなく気づきはじめていましたが、自分はまだ幼いだけで、そのうち他者に性的な魅力を感じるようになるだろうと思っていました。

それからの5年間ほど、そういった感覚が覚醒するきっかけにならないかとセックスもしてみましたが、無駄でした。どうしても好きになれなかったんです。そのことに気付いた後、身体の関係も含めた付き合いを求めていた当時の彼氏とは、別れなければなりませんでした。

その後、マッチングアプリのプロフィールに自分がアセクシャルであることを明記したら、とてもラッキーなことに、同じアセクシャルである現在の彼氏と出会うことができたんです。

今はとても幸せ。付き合い始めてから2年経っていて、お互い性行為に対して特に嫌悪感があるわけではないので、ときどき試してみたりもします。でも、たとえば私がもう二度とセックスをしたくないと思ったときでも、それが二人の問題にはならないということを確信しているので、肩から重荷が下りたような気持ちです。[投稿原文]

今でも葛藤中

気づいたのは、大学を卒業した後でした。最初は誰かとセックスしたいとみんなが言っているのは、カッコつけるための嘘だと思っていました。

次に、自分はレズビアンなのかもと考えました。でも結局、自分は女性とのセックスもしたくないと思っていることに気付いたのです。そのときは泣きましたね。誰もがロマンティックな関係をなによりも優先させている社会では、自分は誰からも愛されずに孤独に暮らしていくのだろうと思い込んでしまったから。

今でもよく、お酒を飲んではこのことで涙します。自分がkアロマンティックかどうかは断定できませんが、誰かと付き合うのも気が進みません。ほとんどの人が、付き合う場合は身体の関係も必要だと考えていますから。[投稿原文]

共感できないことに気づき…

他者に対して、性的な魅力を感じないと気付いたのはつい最近です。周りの人がそういう話をしていても、まったく共感することができなかったんです。人のことを審美的に、あるいは恋愛的な意味で素敵だなと思うことはあります。

ただ、性的な意味では魅力を感じないんです。身体の関係になることを付き合うことのほぼ必須条件としている人が多いように感じるので、誰かと付き合うのはすごくハードルが高いです。[投稿原文]

ストレートを装って交際中

昔から誰かと付き合うということについての感覚が、他の人となにか違うと感じていました。遅咲きなだけかもと思っていましたが、27歳になった今でもなにも変わっていません。たとえばセレブたちへの憧れも、こんな人と身体の関係を持ちたいという視点ではなく、こんな人と友人になりたいという気持ちの方が常に強かったんです。

こういった感覚を表す言葉があると知ったのは、『(A) sexual』というドキュメンタリー作品を見たときでした。私は自分を「グレーアセクシャル」、すなわち少しだけ“曖昧な部分”があるアセクシャルだと思っています。アセクシャルの中にも、さまざまなタイプがあります。

現在は、ある男性とストレートな関係を装ったお付き合いを5年以上続けています。セックスの経験はありますし、今でもしますがその頻度は他の人たちと比べるとすごく低いです。何年しなくてもまったく気になりません。自慰もしますが、その頻度も高くはありません。ただ、セックスよりは多いです。私のパートナーはストレートなので、性欲も私よりずっと強いです。

お互いのためにオープン・リレーションシップ(お互いをパートナーとしつつも、他の相手とも交際することを認め合う関係)を実践し、彼が私よりストレートな人と付き合えるよう、そして私が自分と同じようにアセクシャルな人と付き合えるようにしようかと話し合っています。[投稿原文]

10代の頃に気づいてはいたけれど…

最初に自分をアセクシャルかもしれないと思ったのは高校生のとき。友人たちはみんなセックスに興味があり積極的でしたが、私はまったくそういう気にはなれなかったんです。でも、ちゃんとしたお付き合いをはじめて定期的にセックスするようになると、ティーンエイジャーとして感じていた何かしらの違和感は消えて、“普通”になったんだと思うようになりました。

去年やっと、自分がアセクシャル寄りであると受け入れることができました。私はただ、性欲が普通の人より非常に弱く、よほどのことがないと性的な行為に関心を持てないんです。

また、人への惹かれ方も“普通”とは異なります。いちゃつきたいというよりは、“芸術作品を愛でるような感覚”で惹かれるんです。今お付き合いしている人との関係を維持するのも、正直言うとかなり大変です。彼は私を尊重してくれますが、愛し合っていながら性欲の強さに大きな開きがあるというのは辛いものです。[投稿原文]

交際関係に違和感を持ち続け…

お付き合いをしたことはありますが、常に違和感を覚えていました。期待されていることを、形だけ真似しているような感覚だったんです。ずっとバイセクシャルなのだと思っていましたが、お付き合いが長引くほど、自分が単純に“それ”に無関心であることがわかりました。

アセクシャルだと気づいたのは、たしか29歳のときです。今でも誰かと付き合うときは形だけになってしまい、心から相手と向き合うのがすごく難しく感じられます。どうしても、本気で付き合うことができないんです。[投稿原文]

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: M(Office Miyazaki Inc.)

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