周知の通り、スペイン2部のサラゴサに所属していた香川真司は今月3日に、双方合意の上で契約を解除。現在はフリーとなっている。

 来年6月まで契約を残し、あくまで残留を望んでいた香川が退団に合意せざるを得なくなったのは、「EU圏外選手」の登録枠から漏れたことが大きかった。スペイン2部では2人のみとなっているこの枠は、新戦力のガブリエル・フェルナンデスとレンタルから復帰したライー・ナシメントに付与。結果、日本代表MFは事実上の構想外となってしまったのだ。

 ただ、サラゴサのこの選択が疑問視されている。スペイン紙の『Marca』は10月27日、「クラブが賭けたライーは、(退団した)カガワよりわずか4分しか多く出場していない」と見出しを打った記事で、22歳のブラジル人FWが戦力になっていないことを伝えた。

 記事は、香川との契約解除に際し、「チームには、より良い現在と未来、そして成長の可能性を持っているプレーヤーがいる」と語ったラロ・アランテギSDの言葉を紹介。「ライーにEU圏外選手の枠を与え、日本人に損害を与えるほうを好んだ。だが、未来はまだわからないとはいえ、現在がサラゴサにないのは明らかだ」と皮肉った。

 そして、チームが低迷し、多くの選手のパフォーマンスが悪いにもかかわらず、ライーが、たった4分しかプレーしていないと指摘。「これはルベン・バラハ監督が、戦力として見なしていない証拠であり、この若手に賭けるいう物議を醸す決定は、カガワとの契約を打ち切るための口実に過ぎなかった」と厳しく糾弾している。

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 さらに、『Marca』紙は、「ファンはすでにこの動きが、非常に奇妙だったことに気づいている」とも。実際、試合数が少ないとはいえ、ここまで2勝2分け2敗の14位と調子の上がらないチームに、「なぜカガワを放出したんだ」という批判の声もあがっている。

 退団が決まった際には、「クラブの決定は理解できないし、苛立ちも感じる」と語っていた香川。スペインでのプレー続行を目指し、サラゴサの施設でトレーニングを続けているという31歳は、この状況に何を思うだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部