エマニュエル・マクロン大統領の発言を受けて、イスラム圏でフランスへの反発が強まっている問題は、ひとりのサッカー選手を巡る噂話にするにはデリケート過ぎるテーマだろう。

 マンチェスター・ユナイテッドに所属するフランス代表のポール・ポグバが、報道に対する抗議声明をインスタグラムに投稿した。クラブは選手を擁護し、報道を非難している。

 イスラム教の預言者の風刺画を生徒に見せた教員が殺害された事件を受け、マクロン大統領が表現の自由を守るなどと発言したことで、イスラム圏ではフランス製品の不買運動や抗議デモが相次いでいる。

 一部のメディアは、この流れでイスラム教徒のポグバがフランス代表でプレーしないことを決めたと報道。これがポグバの怒りを買った。インスタグラム投稿で、ポグバは英紙『The Sun』の該当記事のスクリーンショットを掲載。「受け入れられないフェイクニュース」と加工し、同紙を批判した。

「また『The Sun』がやった。100%根拠のないニュースだ。一部の『メディア』が僕の名前を使い、フランスの現在の繊細な出来事に関して完全にフェイクの見出しをつけ、宗教や代表まで持ち出して、がく然とし、怒り、ショックを受け、苛立っている」

 ポグバは「あらゆるかたちのテロや暴力に反対だ。僕の宗教は平和と愛のひとつであり、尊重されなければいけない」と強調。「残念ながら、一部のメディアの人間は、責任を負わずに記事を書き、報道の自由を悪用して、書いたり伝えたりことが事実か確認もせず、ゴシップの連鎖を生み、他人の命や生活に影響しても気にしない」と続け、法的措置も辞さない構えを示した。

「(The Sun紙に)またやってくれたな。しかも今回は非常に真剣なトピックだ。恥を知れ!」
 
 また、ユナイテッドは声明で選手の投稿を紹介。スポークスマンが「ポールは自分の宗教やあらゆる宗教への尊重を支持しており、あらゆるかたちの暴力に反対している」と、ポグバを支持した。

「これらの話はまったく根拠がない。ポールは自国でプレーすることに完全にコミットしている」

 なお、The Sun紙はその後、ツイートでポグバに謝罪。その他の一部英紙も報じていたと強調したうえで、記事を「適宜アップデートした」と発表した。該当記事は現在、ポグバが噂を否定したというタイトルに変わっている。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部