中国のポータルサイト・百度に18日、日本の平均年収が20年前からほとんど変わっていない理由について紹介する記事が掲載された。

 記事は、日本の国税庁による調査データで、1999年の日本の平均年収が461万円だったのに対し、20年後の2019年における平均収入が436万円と25万円少なくなっていると紹介。「この状況は世界的に見ても珍しい」とし、中国の北京市ではこの20年間で平均年収が8倍近くになっており、ほかの地域も北京市ほどではないものの、20年で平均年収が下がる現象は起きていないと伝えた。

 その上で、日本で20年にわたり平均年収がほぼ横ばい状態、さらにはやや減少する事態が発生した理由として3つの点を挙げて説明している。まず1点めは非正規雇用者の増加とし、日本では1994年に労働者派遣法が改定され、「年功序列、終身雇用」という日本企業の伝統に風穴が開いて以降、企業が人件費コストを下げる目的で続々と契約社員やパートタイム従業員といった非正規の雇用契約を結ぶようになり、今では非正規雇用者の比率が全体の50%を占めるようになったと紹介。非正規雇用者が増えたことで、平均年収の増加が止まったとの見方を示した。

 2点めでは、製造業の競争力減退を挙げた。日本のいわゆる「失われた20年」は、中国をはじめとする新興国が急速に成長してきた20年であり、製造業の分野では新興国の追い上げによってかつて日本が持っていた優位性が徐々に失われ、激しい競争に晒されることになったために、従業員の給料もおのずと伸び悩む結果になっているとした。

 そして3点めには、日本人の性格的な部分に言及。日本では「従順」や「忍耐」が一種の教養とされ、給料が上がらないからといって騒ぎ立てれば「他人から無教養な人間だとみなされることになる」と説明したうえで、従業員がストライキやデモを起こして給料増を強く主張するケースが少ないことも、収入が頭打ち状態になっている要因の一つであると論じている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)