●曲もMVも『ひぐらし』らしさ満載! その中に込めた彼女のこだわりとは

亜咲花(あさか)。1999年10月7日生まれ。愛知県出身。アミュレート所属。2016年10月に17歳の高校生アニソンシンガーとしてTVアニメ『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』EDテーマ「Open your eyes」でデビュー。TVアニメ『ゆるキャン△』OPテーマ「SHINY DAYS」、TVアニメ『ISLAND』EDテーマ「Eternal Star」、TVアニメ『『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』OPテーマ「この世の果てで恋を唄う少女」などを歌唱


10月8日に放送された『ひぐらしのなく頃に』第2話の放送を観て、驚いた人も多かったのではないだろうか。なぜなら、『ひぐらしのなく頃に 業』というタイトルが正式に発表され、そしてオープニングテーマ「I believe what you said」をアニソンシンガー・亜咲花が歌唱すること。そのシングルが早くも10月14日にリリースされることが、一気に発表になったからだ。

彼女にとって初となる"自身が好むホラージャンル"のアニメの主題歌となった本作。そのリリースを『ひぐらし』らしい発表によって驚き冷めやらぬなかで迎える亜咲花。そんな彼女のこだわりや喜びといった想いをお届けする。

○●STAY HOME期間から、亜咲花を支え続ける大事な存在とは?

――今年は春先にSTAY HOME期間がありましたが、亜咲花さんはその間どのように過ごされていましたか?

ちょうどその期間に喉のポリープの手術をしたんですけど、手術後しばらく自分が武器にしていた声がカスカスになっていたのもあって、心が折れてしまっていたんです。そんななかリハビリでの通院のときに、ワンちゃんの鳴き声に惹かれて人生で初めてペットショップに入りまして。そのワンちゃんに一目惚れして飼い始め……プーちゃんって名前をつけたんですけど、心の穴をプーちゃんがすっぽり埋めてくれました。

――お仕事を再開されてからも、大きな存在ですか?

相当大きいです! 家に帰ったらワンちゃんがお出迎えしてくれるって、最強に嬉しいじゃないですか!? 忠誠心もすごいし、どんどん愛情も湧いて「この子を最後まで育てなきゃな」という責任感も生まれて……プーちゃんとの幸せな生活を送るために、私は今、頑張っております(笑)。

――その手術後初のリリースとなるシングルは、発表からリリースまでに非常にスピード感がありますね。

そうですね。かなり特殊な公開のされ方だと思うんですけど、こういう新しいやり方もやってみていいのかな? って。ほぼゲリラに近い形で発売になるので、「いいわー、神曲! ポチッ」みたいに、悩まずに衝動買いしてほしいです(笑)。

――今回は表題曲が『ひぐらしのなく頃に 業』のオープニングテーマとなっています。決まったときのお気持ちはいかがでした?

半泣きだった気がする……(笑)。デビュー前から観ていた大好きな作品『ひぐらし』の楽曲を歌うことが出来るなんて! 自分が楽曲を歌うことの喜びと、ひぐらしの新作が出ることの喜びの、アーティストとオタクの心が、交互に引っ込んでは出て引っ込んでは出て、みたいなのが続いていました(笑)。それに、自分が好きなホラーというジャンルに関われたことも嬉しくて。亜咲花の曲でゾクッとするような曲って歌ったことがなかったので、今回歌にホラー要素を入れられたことも、快感でしかないですね。

○●『ひぐらし』らしさと「”亜咲花×志倉”曲」らしさの両立

――その表題曲「I believe what you said」を受け取られたとき、どんな印象を持たれましたか?

まず、作詞・作曲された志倉千代丸さんの色を強く感じました。ただ、元々は完成版よりもキーが少し高めでしたが、亜咲花が歌うということで低い方が合うのではないかということで、キーを少し下げてもらいました。

――最初から、曲中のいろいろな部分に『ひぐらし』らしさを感じられていましたか?

はい。イントロも、画面がシャーッて……砂嵐とまではいかないけど、画質が悪いんだろうな、みたいなビジョンがパッと思い浮かんで。でも最初いただいたときの音は、まだHD対応なイメージだったんですよ。それで「もっと画質を悪くしたい!」と思っていたら、編曲された悠木真一さんも同じことを考えていたのか、しゃがれた感じの音が入っていて。ちょっとこもった感じがするイントロのビブラフォンのメロディも、すごく不気味でいいんですよね。

――そのうえで、デジタルの要素やギターも盛り込まれています。

そうなんです。『ひぐらし』はもちろん、今まで私が志倉さんと紡いできた「”亜咲花×志倉”曲」の感じも、要素として踏まえてくださっています。

――まさに、亜咲花さんが歌う意義のある『ひぐらし』曲になった。

はい! 完璧な感じに仕上がりました!

――ビジョンの明確さは、歌声から非常によく感じられました。例えば、サビ前の「あざ笑った」のひと言だけが急に鋭くなりますよね。

あはは(笑)。そこはすごくこだわりました。そこまでは無表情といいますか、感情を全くあらわにしてないような感じで歌っていっているんですけど、この部分では、がなり声を入れて”初めてここで感情が芽生えた”かのように歌いまして。サビ前ならではの引っ掛かりにもなる、音楽が歩み出す起点にしたんです。

――そのメリハリも、まさに『ひぐらし』の作品性にピッタリだと思います。

よかったです! 嬉しい……! あと、作品性というお話だと、志倉さんの歌詞のすごさを改めて感じたところがありまして。

――どの部分ですか?

2番に出てくる「まるで麻酔のように落ちる意識が」というフレーズの、”麻酔”という単語です。最初はあまりピンとこなくて深追いせずにサラッと歌ってしまったんですけど、ポリープの手術で全身麻酔をしたことで「気づかない間に全てが始まっているんだ」という比喩表現だったんだと、よりはっきりとわかったんですよ。

――なるほど。体感を通じて。

はい。本当にここは、天才的な言い回しだなぁって感じて……今だったらたぶん、これまで以上に『ひぐらし』のキャラクターたちに対する警告になるような歌い方をするような気がしています。

――MVもショートバージョンが解禁されていますが、廃墟を舞台にしたとてもダークなものになっていますね。

とにかく廃墟の雰囲気が、ガチなやつで! 映像だけでも伝わるかもしれないんですけど、生の空気を吸うと、本当に長年人がいないんだな……というのが伝わってくるんですよ。特に大浴場が、いちばん怖かったです。

――その廃墟での黒い衣装だけではなく、白い衣装の亜咲花さんも登場しますよね。

そうなんです。二面性を表現するために、廃墟だけで撮る黒亜咲花と、外で自然に囲まれてた白亜咲花のふたりが出てくるんですよ。白亜咲花は、表情が柔らかめでちょっと切ない感じもあったりするんですけど、黒亜咲花のほうはとにかく白亜咲花を鋭く睨みつけていて。

最終的には、あの状態から白亜咲花を追いに行くために外に出るんですけど、気づいたら白亜咲花がいなくなっていて「あれ? 私が見てたものはいったいなんだったんだ……?」という、ちょっと不思議な終わり方をするんです。そういうホラーチックなところも『ひぐらし』をどこか彷彿とさせる、作品に寄り添ったMVになっています

●11月のオンラインライブは、タイトルに冠した”時代”と向き合い前に進むためのものに

○●“別れ”をモチーフにしながら、アウトプットをガラリと変えてきたカップリング2曲

「I believe what you said」DVD付盤


「I believe what you said」アニメ盤


――さて、カップリング曲についてもお聞かせください。今回は2曲とも作詞されていますが、まず「SCREEEAM!!!」は、非常に激しいロックナンバーで。

今回は表題曲がサウンド的にもかなり強めのものなので、カップリングにもそれに負けないような勢いのある曲が1曲欲しくて、ハードロック気味のライブ定番曲になるようなゴリゴリの曲をお願いしました。なので歌詞のほうも、サウンドの強さに負けないものにしなきゃと思って練っていきました。

――テーマは、どのようなものに?

この時期にちょうど知り合いが恋人と別れてしまって、すごく落ち込んでいたんですけど、その姿を見ていたら「そういえば私って、誰かを励ますような曲って書いたことないな」ということに気づきました。なので、初めて人を励ますとか、背中を後押しするという歌詞を書いてみようと思いました。

聴いてくださっている方の中にもいろいろな別れを迎えた人もいると思うので、そういう状況になった人たちを励ましたり支えたり、「もっとしっかりしなきゃダメだよ!」と喝を入れられるような曲を作ろう! というテーマで作った曲です。

――背中を押すというよりは、蹴ってくれるようなイメージがありました。

はい。やっぱり心が弱っていたり不安を持っていたりする人って明るい方向に考えられなくなっていくことが多いと思うので、「押すだけじゃちょっと足りないな」ということで、強めの単語を選びました。もしかしたらちょっと強すぎる要素があるかもしれないですけど、もし何かに迷っている人がいたら、この曲を受け取って元気を出してほしいですね。

――そしてもう1曲「Last Friday Night」は、直接的な恋愛要素の強い、オシャレなポップナンバーです。

一見すると爽やかな曲なんですけど、失恋を描いたラブソングに仕上がっていまして。女の子って特に別れたあとは、自分の自尊心とか自己肯定の気持ちをすごく大事にしがちで、強がっちゃうと思うんですよ。そういうときに友達に慰めてもらうんだけど、それからちょっと時間が経つと「やっぱり、ちょっと寂しいな……」って我に返っちゃう……という過程を全部歌詞にしています。

――サビは全て「どうもありがとう!」で終わりますが、締め方にはそれぞれ違う気持ちを込められたように感じました。

やっぱり1番は、別れてすぐなのでちょっと怒っている感情もあるので嫌味っぽくて。2番は励ましてくれたお友達への素直な感謝の気持ちが込められています。でも、ラスサビでの「こんな私を愛してくれて どうもありがとう!」は、別れた相手への感謝もあるけど、次の人生に行くための区切りとして自分に言い聞かせてもいる……という意図も込めたんです。だから、ちょっと妥協して歌っている感じといいますか。

――言うことで、踏ん切りをつけた。

そうそう! 引きずるのはこの言葉で最後にして、人生をもう1回頑張ろうかな? みたいな感じです。この曲は完全に女の子に向けた曲で、「頑張って立ち直ってね」というメッセージを込めたものなので、シチュエーションをきゅっと狭めた想像しやすい曲になっているのかな、と思います。

――となると、特に女性からの反応が楽しみですね。

ですね! 亜咲花の女の子ファンの方もありがたいことに徐々に増えているようなので、そういう意味でも女の子たちに共感できる歌詞を書いてみたいという気持ちもちょっとあったりしたので……届くといいなと思っています(笑)。

○●これを機会に、亜咲花のライブを気軽に観てもらえたら嬉しい

――さて、シングル発売と同時に、11月20日のオンラインライブ開催も発表されました。今回”ERA”というタイトルにしたのは、なぜですか?

“ERA”というのは「時代」という意味の言葉なんですけど、逆に今の状況をポジティブに考えて、「これと向き合っていこうね」という意味も込めました。

――ちょうど手元にライブグッズがありますけど、だからロゴも7セグのデジタルの……。

そうなんです。これもタイトルにちなんで提案させてもらって。それに、デジタル時計みたいな感じだったら、普段着しやすいかな? って。

――そのままでもいいですし、シャツのインナーとかにもすごく合わせやすそう。

絶対いいですよね! 「亜咲花のライブTシャツって結構普段着しにくい」ってファンの皆さんから結構言われることが多くて(笑)。今回は「これだったら、普段着できるでしょ!」というのも込みでデザインをしていただいています。私のイメージカラーの青もちゃんと使っていただいていますし……これは、自信作です!

――その他、ライブの中でやろうと考えられていることはありますか?

手術からの復活後初のワンマンでもありますけど、ニューシングルを引っさげてと言ってもいいぐらいの時期ですし、やっぱり『ひぐらし』の放送中にやらせてもらうので、この3曲はマストで歌うんじゃないのかな……と思っていただければ(笑)。

――シングルを聴いた上で参加してね、と(笑)。

そうですよ! それに今回はオンラインライブなので、TVにつなげて観てもらってもいいし、ペンライト持って一緒に歌ってもらってもいいし……自分のテリトリーの中で、自由に楽しんでほしいですね。

――会場キャパの心配もありませんから。

そう! それ、さっき気づいたんです。SOLD OUTがないって、すごくいいなって。やっぱり普段のライブだと来られなかったという方もいるでしょうし、地方だから行くのが厳しいという方もいたと思うので、この機会に亜咲花のライブとか歌を今まで以上にいろんな人に聴いてもらえたらいちばん幸せだなと思っています。本当に「観よっかな?」ぐらいの気軽な感覚で、参加していただきたいです!

●「I believe what you said」

発売日:10月14日

※初回封入特典(DVD盤付、アニメ盤共通)

亜咲花オリジナル生写真(プリントサイン入り)※全5種類のうち1枚をランダム封入

【DVD付盤(CD+DVD)】

価格:2,200円(税抜)

※初回生産分限定ランダム封入:亜咲花直筆サイン入りCD(盤面に本人サイン)

※亜咲花撮り下ろしジャケット

※DVDにはMusic Video、メイキングを収録

【アニメ盤(CD)】

価格:1,600円(税抜)

※TVアニメ「ひぐらしのなく頃に 業」キャラクターデザインを手がける渡辺明夫による描き下ろしジャケット

<CD>

1.「I believe what you said」

2.SCREEEAM!!!

3.Last Friday Night

4.I believe what you said -off vocal-

5.SCREEEAM!!! -off vocal-

6.Last Friday Night -off vocal-

<DVD>

「I believe what you said」Music Video、メイキング

(C)2020竜騎士07/ひぐらしのなく頃に製作委員会