ペナントレースも終盤に入ってきたが、日本ハム・斎藤佑樹の登板機会はゼロ。まさに崖っぷちだ。チームがBクラスに低迷する中、先発、救援と食い込むチャンスはあった。だが、ファームで1勝3敗、防御率7.54では1軍昇格は厳しい。

3年目以降は7年間で計4勝と結果を残せず、「なぜ戦力外にならないのか」と辛らつな声も上がる中、プロ10年目の今季もファーム暮らしが続いている。来年の戦力構想に入る可能性は低いだろう。

対戦した打者が語る「攻略法」

斎藤の投球には「このスタイル」で勝負するという覚悟が見えづらい。130キロ後半から140キロ前半の直球では真っ向勝負はできない。打者の手元で球を動かし、ゴロを打ち取る投球術にシフトチェンジしているのだが、制球がままならないためことごとく痛打される。淡白に打たれるので印象も悪い。対戦した打者は「内角にそんな来ないし怖さがないのでどんどん踏み込んでいける。ベルトより高めの失投がくるのできっちり仕留められるかですね」と語る。

アマチュア時代に早実で3年夏に全国制覇、早大で六大学リーグ史上6人目の通算30勝、300奪三振を達成した栄光は過去のもの。高校時代にライバルだった田中将大(ヤンキース)や前田健太(ツインズ)、坂本勇人(巨人)、柳田悠岐(ソフトバンク)は球界を代表する選手に上り詰めている。そのコントラストは残酷だ。

斎藤が日本ハムを退団して現役続行という選択肢を模索した時に獲得する球団は現れるだろうか。

あるスポーツ紙デスクの見方は...

大手のスポーツ紙デスクは「イースタンの登板試合を見る限り、今のままではどの球団も厳しいでしょう。投手陣の層が薄く、最下位に低迷するヤクルトも獲得を検討すると思えない。独立リーグの球団ならプレーできる可能性は十分にありますが、本人にその気があるかどうか。NPBとは給料も待遇も全く違うシビアな環境からはい上がる性格ではないと思います。それならスパッと野球を辞めて違う道を歩むのではないでしょうか」。

秋風が吹く時期になると、ファーム暮らしが長い選手たちは自分の置かれた立場を感じ取り、戦力外通告を受けることを覚悟している。斎藤は最近の数年もこの時期に進退を騒がれていたが、球団の期待もあり残ってきた。来年に日本ハムのユニフォームを着られなかったら――その決断が注目される。