1989年〜1996年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された漫画『ドラゴンクエスト ダイの大冒険(以下、『ダイの大冒険』)』(原作:三条陸、作画:稲田浩司)。人気RPG『ドラゴンクエスト』の世界観をベースに、魔王軍の脅威に対し、少年勇者・ダイとその仲間たちの戦いを描いたバトルファンタジーだ。

強大な敵とのバトルシーンは、一瞬も目が離せない手に汗握る展開。さらに友情、成長、絆、愛など、涙なしには語れないドラマも特筆すべき内容で、コミックスの累計発行部数は4700万部超を記録。まさしくジャンプ黄金期を支えた不朽の名作が、2020年10月、新たにTVアニメ化を迎える。

ライブドアニュースは今回、2020年版『ダイの大冒険』に大注目。キャラクターに命を吹き込むキャスト陣、最新CG技術とのハイブリッドで作られた映像を生み出すスタッフたちにインタビューを行い、新生したアニメ『ダイの大冒険』の魅力をシリーズでお届けしていく。

シリーズ第1回に登場するのはもちろん主人公、ダイを演じる種崎敦美。幼少時に原作に触れ、それ以来大好きという揺るぎない「原作愛」と、それゆえのプレッシャーについて語ってもらった。

※表題の「種崎敦美」の「崎」は正しくは立つ崎(たつさき)になります。
撮影/西村康 取材・文/岡本大介

いつも女にうつつをぬかす、お調子者のポップが好き

原作の連載期間は1989年〜1996年でしたが、種﨑さんはどのタイミングで作品を知りましたか?
最初に『ダイの大冒険』を知ったのは1991年版のTVアニメでした。当時何歳だったのか覚えていないんですけど、まだ物心が付く前というか、本当に幼少期だったと思います。

たしか姉と一緒に観ていて、「『アバンストラッシュ』(必殺技)がカッコいいな」とか「私も魔法が使えないかな?」とか「私の額にも紋章浮き出ろ!」とか、そんなことを思っていた記憶がありますね。
ストーリーよりも技や魔法のカッコよさに惹かれていたんですね。
「男の子かよ!」っていう感じですけどね(笑)。でも、ポップ、マァム(CV:小松未可子)、ヒュンケル(CV:梶裕貴)の微妙な関係性もちゃんとわかりつつ楽しんでいたはずなので、ちゃんと女の子でもありました。
当時いちばん好きだったキャラクターや技を覚えていますか?
私の中では昔からポップがいちばんでしたね。好きな魔法も、もちろん「メドローア(ポップが使う極大消滅呪文)」です! 「ルーラ」や「トベルーラ」にも憧れます!
ポップのどんなところが好きでしたか?
ギャップです。ポップって最初は弱くて臆病なんですけど、どんどん成長していくじゃないですか。精神的な弱さを持ちつつも、それを振り払って強い敵へと立ち向かっていく姿は本当にスゴいと思いますし、そこがカッコよくて。

あと、どれだけ強くなっても物語中ずっとお調子者で、いつも女にうつつをぬかしているのもポイント高いです(笑)。
たしかに、それもポップのギャップのひとつですよね。
そうなんです。私、他の作品でも「女にうつつをぬかす」系のキャラクターはなぜか好きになっちゃうんですよ。そういうキャラって、絶対にうつつをぬかしたままでは終わらないじゃないですか。その瞬間のギャップにやられちゃうんですよね。
ポップに限らず、いろいろな面を持った人間くさいキャラクターがお好きなんですね。ちなみにポップでお気に入りのシーンはどこですか?
たくさんあるんですけど、序盤だとやっぱりクロコダイン戦です。怖くて一度は逃げ出してしまったポップが、勇気を出してダイを助けに登場するところ(単行本3巻)。

ここからのポップは、何かが起こるごとにダイを励ましたりして、親友になっていくんですよね。その始まりとも言えるシーンなので外せません。ほかにも印象的なのは、バラン戦で命を落としたのに無意識のうちにダイを助けたりとか(単行本12巻)、挙げればもうキリがないです。
ではポップに限らず、シリーズを通じていちばん好きなシーンは?
でもやっぱりポップになっちゃいますね。これはだいぶ後半の展開になっちゃいますけど、ポップとハドラー(CV:関智一)の関係性です(単行本28巻)。くわしくは話せないですけど、ここでのふたりの会話がたまらなく好きで。

そこからのハドラーのシーンが全話を通していちばんの名シーン、名セリフだと思っています。じつはポップじゃなくてハドラーでしたね……。

主人公役はその作品をいちばん愛していないといけない

本当に大好きなんだという気持ちがヒシヒシと伝わってきます。そんな中で主人公・ダイを演じることになりましたが、オーディション時の気持ちはいかがでしたか?
とにかくこの作品が大好きなので、もちろんダイを演じられたら最高なんだけど、どんな形であれ出演できるのならモンスターAとかでも全然嬉しいなって思っていました(笑)。
オーディションはダイだけを受けたんですか?
いえ。じつはダイとマァムの2役を受けました。
そのときの手応えや自信は?
……うーん、どうだったか(笑)。でも、正直な気持ちを言うと、とくにダイに関しては「無邪気な少年をやらせたらこの人でしょ!」っていう声優さんが業界にはたくさんいらっしゃいますから。ダイはすごくやりたいけど、少年役の経験が浅い私だとちょっと難しいのかなと思っていたんですよね。
そうだったんですね。でも見事にダイ役を射止められましたね。ご自身ではどんなところが起用につながったと感じていますか?
わかりません(笑)。ただ、もしかしたらですけど、作品への強い気持ちがいい方向に出たのかなと……。

普段あまりに強い気持ちを持ってオーディションに臨むと、熱くなりすぎて空回りして、いい結果にならないことが多いのですが、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』は違ったのかも。

私、主人公役はその作品をいちばん愛していないといけないと思っていて、その気持ちだけは(自信が)あったんですよ。
あふれ出る作品愛がスタッフ陣に届いたのかもしれませんね。
そうだったら嬉しいです。じつはオーディション前に唐澤(和也)監督が作品への熱い思いを語ってくださって、それも大きかったと思います。

監督は「僕はクロコダインが好きで、彼に憧れて体を鍛えているんです」とニコニコしながらおっしゃっていて、「(この人と)絶対に一緒に作りたい!」と思いましたから。
監督さんやスタッフさんも含め、皆さん原作愛にあふれているんですね。
はい。それはもう間違いないです!

原作よりシリアスに。アニメはダイの成長も速く感じられる

種﨑さんがダイを演じるうえで大切にしていることはどんなことですか?
最初に考えていたのは、「あまり考えすぎないこと」です。ダイはずっとデルムリン島で仲間のモンスターたちとのびのび育ってきた野生児ですから、思考よりも感情をそのまま表現しよう、と。

でも、いざ収録が始まると、スタッフさんから「まだおとなしいから、もう少し元気よく」とディレクションをもらったんです。
そうだったんですか。
私の中では「考えすぎずのびのびと」演じたつもりだったんですけど、心のどこかでまだ抑えていたみたいで、それが「おとなしい」につながったのかなって。

だから「考えすぎない」のではなくて、「何も考えない」ことにして演じてみたんです。そしたら「ああ、ダイだね!」って言ってもらえました。
たしかに物語冒頭のダイはそのくらいの雰囲気かもしれません。
そうなんですよね。アニメ第1話の『小さな勇者、ダイ』には、島にやってきたニセ勇者一行に向かって敬語を使うシーンがあるんですけど、そこもまだ敬語を使い慣れてない感じで、とディレクションをいただきましたし、デルムリン島を出る前までのダイは幼さや野性味のある、まだまだ成長前である感じで、とのことでしたのでそこは意識していました。
実際に演じられてみて、ダイはどんな少年だと感じていますか?
島でのびのび育ってきたからなのか、何にでも素直に反応しますよね。曲がったことは許せないし、大切なもののためなら猪突猛進で、どこまでもまっすぐな子だなと思います。

島を出てからはわりとしっかり物事を考えたり、ツッコミが的確だったり、ドライなジト目とか……戦いの部分ではもちろん、それ以外のところでも、いろんな意味で成長速度がすさまじい子だなぁと思います。
そんな無邪気なダイも、物語を通じてどんどんと成長していきますよね。
そうですね。すでに完結している作品なので、ダイがこの先どんなふうに成長したり挫折したりするかはすでにわかっているんですけど、今回のアニメならではの演出や表現をどのように声で伝えていけばいいのか、そこはいつも考えていますね。
「今回のアニメならではの演出や表現」とは、たとえばどんなところで感じますか?
基本的なストーリーやセリフなどはもちろん原作通りなんですけど、序盤の話数を収録していて感じたのは、けっこうシリアスというか落ち着いた演出が多いなということなんです。

原作の序盤って、個人的にはもっとコミカルではちゃめちゃな印象があったんです。それこそ「勇者ご一行のドタバタ冒険活劇」みたいな(笑)。そこから始まって、ストーリーが進むにつれてだんだんとシリアスなバトルファンタジーになっていく。

でも、アニメでは最初からわりと物語中盤以降のシリアスな雰囲気が漂っているんですよね。なので、ダイの成長に関しても原作に比べると個人的には「少し早い?」って感じていたんです。
なるほど。だからこそダイの成長をどう見せるかがポイントになるんですね。
はい。そのことについて一度監督にお尋ねしたら、「原作後半の雰囲気を序盤から入れて作っていて、絵柄やノリを後半に合わせているので、それに伴って表現をリアル寄りにしています」と言われまして。「ああ、なるほど」とすべてがスッと腑に落ちました。
たしかに『ダイの大冒険』と聞いて、後半のシリアス展開の印象を強く持っているファンも多いと思います。
連載期間は7年ですけど、劇中での時間はたったの3ヶ月ということもあり、新しいダイを作るにあたりいろいろと模索した結果だとお聞きしました。

シナリオも設定もすべてにおいて原作者先生としっかり話し合うことをいちばん大事にしながらここまで練りに練ってこられたそうで、私も信頼して素直に乗っかる形で、2020年版ならではのダイを演じさせてもらっています。
原作にはない、2020年版ならではのセリフやシーンもあるのでしょうか?
ほとんどは原作通りなんですけど、先ほどの理由から細かいギャグシーンがカットされていたりして、そこを自然につなぐために違うセリフが用意されていることはありますね。
原作ファンなだけに、新規セリフに違和感を持つことは?
ないですないです。ただ一度だけかな、語尾のニュアンスにちょっと引っかかったことがあって、「今のダイとポップの関係性ならこういう言い方のほうがしっくり来るのでは?」とご提案させていただいたことはあります。

スタッフの皆さんもすぐに検討してくだり、「そちらで行きましょう!」と答えてくださって。本当に語尾のちょっとした部分だったんですけど、しっかりと受け止めてくださるので、スタッフの皆さんと一緒に作品作りをしているという実感があって嬉しかったです。

『ダイの大冒険』は教科書に載せるべき作品

思い入れの強いファンが多い作品だけにプレッシャーも大きかったと思いますが、今では自信を持って「ダイを演じています」と言えるんですね。
う………その。
(笑)。まだそこまでの余裕はなさそうですね。
そうですね。ダイを演じることになって、嬉しいのと怖いのがずっと半々なんですよ。「頑張らねば!」と前のめりになっては「待て待て、いったん落ち着こう」の繰り返しで(苦笑)。

もちろんお芝居の最中はそんなことを考える余裕もなく、ただただ必死なんですけど、ひとたびブースから出るとつねに永遠ループなんです。
それでは視聴者の皆さんがどんな反応をするのか、楽しみ半分、不安半分ですね。
そうなんです! あまりにドキドキしすぎて、きのうはほとんど眠れませんでした。皆さん受け入れてくださると嬉しいんですけど(取材は9月上旬に実施)。
イベントで公開されたダイジェスト映像には「アバンストラッシュ」など必殺技を叫ぶシーンも収録されていますよね。子どもの頃の夢が叶って気持ちよかったですか?
それがあまりに必死だったので収録時には何も感じず、改めて映像で観ても「あー、叫んでるなー」っていう感じで……(笑)。
これから少しずつ実感していくのかもしれませんね。では今後、ダイとして楽しみにしているシーンはありますか?
ダイとして、であれば楽しみなのは、まだちょっと先になるんですけど、バランとのシーンです。ネタバレになるのでくわしくは言えないんですけど、今から楽しみです。
最後になりますが、改めてアニメの見どころについてお聞かせください。
今回のアニメは原作を最大限にリスペクトしつつも、2020年ならではの新しい映像作品としてスタッフ、キャストともに一丸となって作っているんです。

なので、原作ファンの方にはぜひその違いを楽しんでいただきたいなと思いますし、今回初めて『ダイの大冒険』に触れる方は、世の中にこんなにアツい作品があるんだと、ぜひとも知っていただきたいと思います。知らないと人生損をするくらいに素晴らしいお話ですので!
熱量がスゴいです。本当に原作愛にあふれていますね。
私、わりと本気で『ダイの大冒険』は教科書に載せるべき作品だと思っていますから(笑)。いろいろな楽しみ方ができる作品だと思うので、皆さんもぜひ楽しんでください。
種﨑敦美(たねざき・あつみ)
9月27日生まれ。大分県出身。A型。2009年に声優デビュー。主な出演作に『残響のテロル』(三島リサ役)、『響け!ユーフォニアム2』(鎧塚みぞれ役)、『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』(双葉理央役)、『BEASTARS』(ジュノ役)など。

作品情報

TVアニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』
10月3日(土)よりテレビ東京系列で毎週朝9:30から放送中
※放送開始日・放送日時は編成の都合などにより変更となる場合がございます。
公式サイト
https://dq-dai.com/
Twitter(@DQ_DAI_anime)
https://twitter.com/DQ_DAI_anime

© 三条陸、稲田浩司/集英社・ダイの大冒険製作委員会・テレビ東京 © SQUARE ENIX CO., LTD.

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、種﨑敦美さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2020年10月10日(土)12:00〜10月16日(金)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/10月19日(月)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから10月19日(月)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき10月22日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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