唯一無二の「ユルさ」にハマるクルマも!

 作りは丁寧だし、壊れないしコスパはいいし、ディーラーだってそこら中にあるから、何かあった時もすぐに駆け込めて安心だし、日本で乗るならやっぱり国産車は魅力的ですよね。世界で見ても、こんなに自国の自動車メーカーがある国はなかなかないんです。

 にもかかわらず、日本でも輸入車はたくさん走っています。なぜ、日本車を買わないの? 輸入車の何がいいの? そう不思議に思っている人も多いかもしれないですね。でもそこには、国産車では味わえない個性があるのは確かです。今回は、なかでもかなりクセ強めで、一度乗ったらハマってしまいそうな輸入車たちをご紹介したいと思います。

1)MINI(各モデル)

 まず1台目は、もう都心をはじめとして国産車と同じくらい見かけるようになりました、MINI。最近はハッチバックよりも、クロスオーバーSUVのMINI CROSSOVERの方が人気のようですね。MINIのいちばんの個性は、やっぱりデザイン。1950年代にアレック・イシゴニスが生み出したBMC(ブリティッシュ・モーター・カンパニー)のミニが先祖となっていますが、2001年にBMWがその意思を継ぎ、新世代のMINIとして誕生させたニューMINIは、なんと、運転席に座った時の視界が祖先であるクラシック・ミニとほとんど同じような感覚でした。

 BMWの開発者が狙ったのは、MINIらしさを受け継いでいくことだと当時語っていた通り、それから20年が経とうとしている今も、新しいMINIのデザインはどこからどう見てもMINIのままです。でもよく見ると、テールランプの左右にまたがってユニオンジャックがモチーフとなっていたり、インテリアも独創的だったり、こればっかりは国産車にはとうてい真似のできないものなんですね。アフターパーツやアクセサリーも豊富で、自分だけの1台が作れる1分の1ミニカーのような楽しさも、MINIの大きな魅力だと思います。

2)ルノー・カングー

 2台目は、両側スライドドアを持ちながら、ゆる〜いオシャレさが人気のルノー・カングー。本国フランスでは郵便配達車として有名なんですが、日本ではファミリーカーとしてはもちろん、スタイリストさんやカメラマン、花屋さんといったオシャレな人たちからも支持されて、ボディカラーもカラフルなラインアップなので、まったく生活臭を感じさせないのがすごいところです。

 本国ではあまり人気がないという観音開きのバックドアも、日本では逆に「ほかにない」と根強い人気。休日にはラゲッジ満載に荷物を積み、このバックドアを全開にして、フリーマーケットに出店するオーナーさんもたくさんいました。つい最近、本国でもカングーのライバルとして販売されているシトロエン・ベルランゴ、プジョー・リフターが日本導入されたのですが、乗ってみるとドイツ車のようにきっちりとした乗り味で、やっぱりカングーのいい意味で「ゆるい」ところがいい味なんだなと実感。カングーはオシャレ系というだけでなく、癒し系の実用車なんですね。

コンパクトなのにスポーティな走りが魅力的なモデルも存在!

3)アルファロメオ(各モデル)

 3台目は、工場での制作過程でなにやら特別な「香水」が仕込まれているという噂まで出ている、アルファロメオ。コンパクトサイズでスポーティな走りのジュリエッタなど、都心でもよく見かけますが、アルファロメオはかなり昔から、一度乗ったら抜け出せないと言われています。

 イタリアらしい情熱的なデザインの個性はもちろん、80年代に誕生したパワートレイン、ツインスパークエンジンは、甲高い音と刺激的な加速フィールが乗る人を魅了する、麻薬のようなエンジンとさえ言われていたほど。音、振動、体感速度、匂いと、まさに五感で走っている感動が全身を包み込みます。しかも、このクルマには怒ったり喜んだり黙ったりの感情表現があるのかと思うほど、こちらに訴えかけてくるのです。そんなクルマはなかなかほかでは味わえず、ハマってしまうのだと思います。

4)フィアット500

 4台目は、キュートな見た目に反してなかなかうまく運転させてくれない、フィアット500。ツインエアという独自の小排気量エンジンと、デュアロジックという2ペダルマニュアルの組み合わせで、最初からスムースに運転するのが至難の技なんです。慣れていないと、発進直後からガックンガックンして「なんじゃこりゃ」とびっくりする人も多いのですが、少しずつコツを掴んでくると、だんだん思い通りに走れるようになって、もっともっと一体感が出てくると、想像以上に気持ちのいい走りができるようになってきます。

 そうなったころにはもう、楽しくて仕方なくなって、すっかり夢中になっている、というのがフィアット500なんです。軽くて元気いっぱい、でも足もとはガッシリとしていて安定感があるので、山道や高速道路でも思いっきり楽しめます。この、だんだん自分の思い通りになっていく感じが、クルマへの愛着を育てるのかもしれないですね。

5)ジープ・ラングラー

 5台目は、ナンチャッテじゃなくて本気のオフロード性能を見た目からも感じさせてくれる、ジープ・ラングラー。なかでも現行ジープモデル最強ともいえるルビコンは、クルマというよりもはや「ギア」。頑丈なカコイのなかに守られているような感覚の室内や、無駄なものがなく視界もスッキリとしている運転席、そこにさりげなく備わる先進の4WD機構操作ボタン。

 自分が今、どんな斜面を走っていて、車体がどんな状態になっているのかなど、必要な情報もメーターパネルやダッシュボードのディスプレイに表示されるから、ドライバーはさしずめ司令官になったような気分です。短い全長や最小回転半径の小ささなど、市街地でもオフロードでも有利になるよう、極限まで考え抜かれていたラングラールビコンなら、どんな場所も走れそうな気持ちになってきますね。しかも見た目だって、かなり「映える」のだからたまりません。

 というわけで、最初から一目惚れで乗る人もいれば、最初はなんじゃこりゃと思ったのにいつのまにか虜になってしまった人もいるのが輸入車の面白いところ。異国のクルマというだけで、日本人の常識とはちょっと違う視点で作られた部分もあるので、新しい世界観に触れられるかもしれないですね。食わず嫌いをしている人も、もったいないですよ。どんなクセが味わえるのか、ぜひ気になる輸入車をチェックしてみてくださいね。