幸せな日々を送る子どもたちが、とある日を境に過酷な運命に立ち向かっていく物語を描いた漫画『約束のネバーランド』。『週刊少年ジャンプ』で連載され、コミックス累計発行部数は全世界で2,500万部（2020年9月時点）を超えるほど、高い人気を誇る作品だ。

2019年1〜3月には、原作の1〜5巻にあたる『グレイス=フィールドハウス脱獄編』がTVアニメで放送され、ハイクオリティなアニメーションと高度な心理戦を描く物語に魅了される視聴者が続出。原作のみならず、アニメも国内外を問わず注目を集めた。

人気絶頂の最中、2020年6月に原作は連載を終了したが、同時に朗報も舞い込んでくる。10月からのアニメ1期の再放送、そして2021年1月からは待ちに待ったアニメ2期が放送されることが発表されたのだ。

今後の新展開に先立ち、本作の主人公・エマ役の諸星すみれ、ノーマン役の内田真礼、レイ役の伊瀬茉莉也の3人へ、2度目の取材を決行。アニメ1期を振り返ってもらった。

「3人でマイクに並んでいると安心するんです」と目を合わせながら語り合う姿は、まるでエマ、ノーマン、レイそのもの。3人の絆を存分に堪能してほしい。

※記事内には、アニメ1期で放送された範囲のネタバレを含みます。
撮影／川野結李歌　取材・文／阿部裕華
スタイリング／柏木作夢【内田】 ヘアメイク／福田まい【諸星・伊瀬】、小川千沙【諸星・伊瀬】、西田聡子【内田】

第1期放送で、老若男女を問わず影響力のある作品だと感じた

10月からTVアニメ『約束のネバーランド』（以下、『約ネバ』）1期の再放送が始まります。最初に1期が放送されたのは2019年1〜3月でしたが、放送後を振り返って作品の反響を実感した瞬間はありましたか？
諸星　私は大学に入学してちょうど1年経つくらいだったのですが、今まであまり話さなかった子や授業などで初めて会った子に「『約ネバ』観たよ！」と言ってもらえて。人とのつながりができて、友達が増えました！
内田・伊瀬　（諸星さんの話を聞いて微笑む）
諸星　親戚の集まりのときには、親戚の友人や知り合いの人たちみんなが観ていると話を聞きました。世代も性別も問わず、『約ネバ』を観ている人が多かったので、あらゆる方向から反響がありましたね。
内田　私もいろいろな人が観てくれているなと思っていました。

たしかいちばん最初の告知映像が、声は入っているけどキャストの名前は明かされていなかったんですよね。私自身、男の子役をほとんど演じたことがなかったので、どんな反応をされるのかな……と黙って世の中の反応を見守っていて。私の声だと全然バレていなかったのが記憶に残っています（笑）。
▲2018年5月に公開された、TVアニメ化を知らせるPV。
内田　放送後にはいろいろな方から「ノーマン素敵でした」と言ってもらえて。ここにきて初めて、「小学生男子はこうやってモテ期を迎えるのか！」という思いをさせていただきました（笑）。不思議な感覚でしたね……。
諸星・伊瀬　ふふっ。
内田　あとは、お母さんと一緒に本屋へ行ったとき、『約ネバ』のマンガを見つけて「これおもしろいんだよね」と言われて。すでにノーマン役は決まっていたのですが発表される前だったので、私は「そうね！ おもしろいよね！」とニヤニヤしながらはぐらかしていました（笑）。
伊瀬　あはははは！
内田　お母さんも知ってるんだなと思って、うれしかったです。
伊瀬　私の親友が塾の先生をやっているのですが、小学生から高校生くらいの子たちが『約ネバ』をすごく読んでいるみたいで、「『約ネバ』の人気スゴいよ！」と聞きました。

親友が、何かの話の流れで「先生の長い付き合いの親友が、『約ネバ』のキャラクターの声を担当してるんだよね」と話したら、生徒のみんなが「え!? 誰役なの？」と盛り上がって。「レイって役だったかな？」と答えてから、みんな真剣に授業を受け出したそうです（笑）。
諸星・内田　ふふふ。
クラス中がざわつきそうですね（笑）。
伊瀬　彼女は中学生のクラスを受け持っていたので、普段は騒いで先生の話を聞かないような男の子たちが真剣に授業を受け始めたという話を聞いて、すごく役に立てたなと（笑）。それくらい影響力のある作品のアニメに出させてもらっているんだと実感しましたね。

感情が揺さぶられるシーンの連続。アニメ1期を振り返る

アニメ1期の全12話から、ご自身が演じたキャラが登場するシーンの中で、いちばん印象に残っているシーンを教えてください。難しいと思いますが……。
諸星　決めるのが難しいですけど……、1話はすごく印象に残っていますね。アフレコのときの緊張やソワソワ感をすごく覚えています。

オーディションを受けるために原作を読んだんですが、私も『約ネバ』にすごくハマったので、マンガのおもしろさをアニメで損なわせるわけにはいかない！と思っていました。

オーディションでは、1話のコニー（声／小澤亜李）が出荷される場面を目撃して泣き叫ぶ声を聞いて、白井（カイウ）先生と出水（ぽすか）先生が私をエマ役に決めてくださったと聞いたんです。冒頭のグレイス=フィールド（GF）ハウスの平和なシーンから急に展開が変わり、作品の世界観に引き込まれる。エマの太陽みたいな笑顔が急に変わるシーンなので、ここの切り替えはかなり意識しました。

プレッシャーと緊張を感じながらアフレコに挑んだんですけど、現場がとてもいい雰囲気だったので、のびのびとリラックスして自分の思うように演じられました。
伊瀬　私は、8話でママ（声／甲斐田裕子）から「今までおつとめご苦労さま」と言われて、部屋に閉じ込められちゃうシーン。レイがママを説得するときに「ママ！」って言うんですよ。それが個人的に「かわいい……！」って（笑）。
内田　わかる！
伊瀬　レイのママ呼びに、なんかすっごい萌える（笑）。かわいいよね？
諸星　かわいい……！
伊瀬　閉じ込められているレイを、ドン（声／植木慎英）が助けに来るところもいいですね。ドンが「そこどけ！」って叫んで、ドアをドン！って開けるところ。……あ、ダジャレじゃないですよ（笑）。
一同　あはは！
伊瀬　ドンがドアを“ドン”って……（笑）。

そのシーンでレイとドンが状況報告をし合って行動に移していくシーン、一連のスピード感のある流れが好きですね。「やばいやばい！」とレイが焦っている、あの緊迫感がすごく好き。
内田　私は10話のノーマンが出荷されるシーンが好きで。最後に「ノーマン、行っちゃやだー！」とGFハウスのみんなに囲まれているとき、ケガをしているエマがノーマンを逃がそうとするじゃないですか。そこでノーマンが「バカ！ 無鉄砲にも程があるぞ」と言うんですよ。

1話のコニーが出荷されるシーンで「逃げないと！」と思った瞬間以外は、いつも余裕があってみんなの行く先を考えて前に進んでいく人が、こんなふうに声を上げるんだなと思いました。すごく感情があらわになったシーンだと感じます。
諸星・伊瀬　（大きくうなずく）
内田　どう演じようかなといろいろ考えましたけど……。収録を終えて、「これは何度もできる演技じゃないな」と思ったんですよね。あそこは大好きなシーンです。
『約ネバ』では感情的になるシーンがとても多いと思うのですが、演じていて感情が高ぶったところはありますか？
諸星　内田さんがおっしゃっていたノーマンの出荷シーンはつらかったです。ノーマンの言うセリフに対して、エマが「うん」だけで答えるんですよ。エマ自身、ノーマンに何て答えていいかわからない。お芝居をしていて、「うん」ってちゃんと音にしなきゃと思っているけど、詰まって声が出ないような……。

頑張って「うん、うん」って声を出そうとしていましたけど、最終的に「出なくてもいいや」と考えるくらい、感情を込めて演じていました。「もし声が出てなかったら、内田さんごめんなさい！」って（笑）。あのシーンは、本当にグッときました！
内田　私は、9話の3人で「脱獄しよう」と言っているシーンで、熱いものがこみ上げてきましたね。前を向けばいい方向に行けるのかもしれないけど、どこを見ても八方塞がりな状況で。アニメーションの表情を見ても、演じていても、何でこんなに前を向くのがキツいんだろう……って。いろいろな思いがあふれてくる場面でした。
伊瀬　たしか11話だったと思うんですけど……私は、レイがエマとノーマンのふたりをなんとか生かすためにこれまでどれだけの思いで計画を立て、準備していたかをエマに話しているシーン。

アフレコ前のテストから泣けてしまって、これじゃダメだと思い、「本番は冷静にやらないと！」と思った記憶があります。あのシーンはすごく感情が高ぶりました。

マイクの前に、3人で並んで立っていると安心する

では、ご自身の演じたキャラクターが登場するかどうかに限らず、いちばんお気に入りのシーンや、「このキャラクターのここが好き！」と感じたシーンはありますか？
一同　うーーーん……（数秒考え込む）。
伊瀬　悩みますね……。
内田　6話でドンが「そんなに俺たちはお荷物なのかよ……」と泣くシーンです！
諸星・伊瀬　あーーーー！
内田　あそこのシーンがすごく好きですね。 （申し訳なさそうな表情をしながら）「ドン、ごめん……！」という気持ちになってしまいます。
諸星　ドン役の植木さんが目に涙をためて演じられていて……。

内田さんがおっしゃっていましたけど、“何度もできないようなお芝居”が作品のいろんなところにあるんです！ だから、みんながお互いの演技に神経をピーンと研ぎ澄ませているんですよ。1人ひとりの演技を受け取りながら演じている。

舞台みたいな生感のある現場なので、6話のあのシーンは植木さんが本当にドンに見えました。
伊瀬　うん、本当にドンに見えた……。
諸星　キャラクターと演じている人が一致する瞬間があるんです。

11話でレイが「喰わせられると思うなよ！」と荒ぶるシーンもすごく印象的でした。伊瀬さんと並んで演じていて、「隣にレイがいる！」って本当に思いました。
共演者の演技に、自分の感情も乗せられていく感覚があるんですね。
伊瀬　お互いにすごくいい芝居をかぶせていこうとなるので、感情が積み上がっていきますね。
諸星　私はレイにはブルブルさせられて、ノーマンには制御されている感じで。

レイの言葉で感情がわーってなって震えながら演じていても、ノーマンが「大丈夫！」と言ってくれるだけで我に返ることができました。
内田　3人で並んでいるときはいつも同じマイクの前に立っているので、その定位置につくと安心するんですよね。
伊瀬　（うなずきながら）安心する！
諸星　バランスがすごくいいんです。
伊瀬さんはお気に入りのシーン、いかがですか？
伊瀬　そうですねぇ……最終話ですかね。ノーマンが出荷されて、みんなで脱出するのは無理だと諦めていたレイだけど、崖の対岸へハンガーを使って降りていく子どもたちの姿を見て、じつはエマとノーマンがずっと脱出する準備をしてくれていたと知って呆然とするんですよ。

そのとき、いないはずのノーマンの声が聞こえてきて、パッと横を見るとノーマンの姿があって「見て、僕らがありえないと思っていた光景」と。それに対してレイが「ああ」って答えるんですけど、あのシーンがすごく好きで……。
内田　わかります！ レイにだけノーマンの姿が見えているのが……！
伊瀬　出荷されちゃったから本当はいないのに、「ノーマンがいたーー！」って。アフレコのときも、横を見ると「真礼ちゃんがいる！」ってなった（笑）。
内田　スッとマイクに入っていったんですよ。
伊瀬　そうそうそう！ あのときの真礼ちゃんはノーマンと重なりました（笑）。

3人の“約束”も実現？ 思い出がいっぱいのロサンゼルス

アニメ1期の放送前にインタビューさせていただいた際、諸星さんはまだ未成年でした。
諸星　はい！
伊瀬　（感慨深そうに）そっかぁ！
そのときに「みんなでお酒を飲みに行きたいね」というお話をされていましたけど、実現できましたか？
内田　行けてないですね……。
伊瀬　なんだかんだ行けてないね……。
では、3人で食事に行かれたことは？
伊瀬　あっ、去年の7月に開催されたロサンゼルスの「Anime Expo」のとき！ お酒飲みましたよね！
内田　そういえば！
諸星　私、あのときお酒飲んでないんです……。

ロサンゼルスは21歳にならないとお酒を飲んじゃダメだったので、私は20歳だったから飲めず……。ごはんは一緒に食べましたけど、「なんで21歳からなの……！」って（笑）。
伊瀬　そっかそっか……！
ロサンゼルスでの思い出はありますか？
伊瀬　イベントのとき、ロサンゼルス在住のヘアメイクさんが担当してくださったんですが、私のメイクがかなりアメリカ仕様になったのがちょっとおかしくて。それがロサンゼルスの思い出です（笑）。
諸星　みんな、買い物袋をいっぱい持っていたのも覚えています（笑）。
内田　ウキウキしたよね！
諸星　（両手に買い物袋を持つジェスチャーをしながら）個別に買い物してから、ご飯のときにみんなで集まったんですよね。
ご飯を食べに行ったときはどんなお話を？
伊瀬　他愛もない話でしたね（笑）。作品の話はしなかった気がする。
内田　あまりしていなかったです（笑）。アフレコ中は作品やキャラクターに集中しているので、なかなかゆるい話はできなかったですけど、ロサンゼルスのときはそのぶんハジけていた気がします。

コース料理か何かを食べながら、いろいろ話しました。私は、カクテルのような飲みものを飲んだ記憶があります。
伊瀬　飲んでた！ フローズンカクテルみたいなやつ！
おふたりがお酒を飲んでいる姿を見て、諸星さんは「いいな……」と思ったり……？
諸星　（悔しそうな表情で）思ってました……！ いつか行きたいです！
内田・伊瀬　行こう！

「みんながいれば大丈夫」アニメ2期への意気込み

2021年1月には、待望のアニメ2期の放送が始まります。アフレコはこれからで、まだお話できないことも多いかと思いますが、視聴者のみなさんに向けてぜひ意気込みをお願いします。
▲2019年3月に公開された、2期の放送決定を知らせるPV（公開後、放送時期は2021年1月に変更）。
諸星　私自身、2期がどういう展開になっていくのかまだわかっていない状況ですが、アニメ1期の熱量をそのままに2期へつなげていけるように、もう一度ちゃんと1期を復習しようと。

作品の世界観やエマの強さ、やさしさをもう一度復習してから、1期と同じ熱量……いえ、さらに熱量高く、パワーアップして臨めたらいいなと思っています。

（内田さん、伊瀬さんを見ながら）でも、みなさんがいれば、大丈夫だろうなという謎の自信があります！（笑）
内田・伊瀬　ふふふ（温かい目で諸星さんを見るおふたり）。
諸星　不安は一切ないと言っていいくらいです。この作品が大好きで、演じるのがとにかく楽しみでワクワクしています。期待して待っていてください。
伊瀬　私ももう一度原作をしっかり読み込んで、アニメ1期の『GFハウス脱獄編』も観直して、原作とアニメ1期を思い出しながら、2期のアフレコに挑んでいきたいと思っています。

よりパワーアップしたレイをお届けできるように頑張っていきたいです！
内田　アニメ2期という形で続きを観られることが、何よりもうれしいです。原作自体は今年完結しましたが、アニメ2期でどのような方向に進んでいっても受け入れようと思っています。

GFハウスから脱出したみんなが、どういう道のりを辿るのか・活躍するのか、ぜひご期待ください！
諸星すみれ（もろほし・すみれ）
4月23日生まれ。A型。主な出演作に、『アイカツ！』（星宮いちご）、『シュガー・ラッシュ』（ヴァネロペ・フォン・シュウィーツ）、『ハイキュー!!』（谷地仁花）、『文豪ストレイドッグス』（泉鏡花）、『BNA ビー・エヌ・エー』（影森みちる）、『ハクション大魔王2020』（アクビ）、劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』（パラパラ）など。
内田真礼（うちだ・まあや）
12月27日生まれ。東京都出身。A型。主な出演作に、『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』（カタリナ・クラエス）、『ジュラシック・ワールド/サバイバル・キャンプ』（ブルックリン）、『新サクラ大戦 the Animation』（東雲初穂）、『ゾイドワイルドZERO』（ハンナ・メルビル）、『かくしごと』（六条一子）、『BEM』（ソニア・サマーズ）、『MIX』（立花音美）など。
伊瀬茉莉也（いせ・まりや）
9月25日生まれ。神奈川県出身。A型。主な出演作に、『Yes!プリキュア5』（春日野うらら／キュアレモネード）、「機動戦士ガンダムAGE」（ウェンディ・ハーツ）、『TIGER & BUNNY』（ドラゴンキッド／ホァン・パオリン）、『HUNTER×HUNTER』（キルア=ゾルディック）、『ポケットモンスターXY』（ユリーカ）、『賭ケグルイ』（生志摩妄）、『メイドインアビス』（レグ）、『殺戮の天使』（キャシー）など。

作品情報

アニメ『約束のネバーランド』第1期再放送
2020年10月1日より毎週木曜24：55〜 フジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送開始！
アニメ『約束のネバーランド』第2期
2021年1月より毎週木曜25：25〜 フジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送予定！
※放送日時は予告なく変更になる可能性があります

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、諸星すみれさん×内田真礼さん×伊瀬茉莉也さんのサイン入りポラを抽選で1名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

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2020年9月30日（水）12：00〜10月6日（火）12：00
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