ここ数年、「盟主再興」を掲げながらも、かつてのような絶対的な強さを取り戻せずにいるのが、マンチェスター・ユナイテッドだ。

 英国産のタレントを中心にアグレッシブな攻撃的サッカーで勝ちに行く往年のスタイルに回帰した昨シーズンはプレミアリーグで3位と好成績を収め、期待を持たせたユナイテッド。だが、迎えた新シーズンに彼らはいきなり躓いた。

 現地時間9月19日に本拠地オールド・トラフォードで開催されたプレミアリーグ第2節で、クリスタル・パレスに1-3と完敗を喫したのである。まだ新シーズンが始まったばかりとはいえ、ライバルクラブが連勝を収めるなかで、格下を相手に文字通り痛恨の一敗と言える。

 不安定なパフォーマンスが続いている名門には非難の声も少なくない。そうしたなかで、より強く糾弾したのが、クラブOBで元フランス代表DFのパトリス・エブラだ。

 2006年の1月にモナコから加入してから約8年間に渡ってユナイテッドでプレーした名手は、現地時間9月22日に自身のFacebookに1本の動画を投稿。約20分間に渡って、痛烈に古巣を批判した。

「毎年のようにデジャブを見る。マンチェスター・ユナイテッドはSNSでは大きな存在感があるが、現実は違う。獲得に成功した選手がメインターゲットだったとは限らない。買わなかった他の選手が何人もいることを理解しなければならない。少なくとも、メインターゲットを獲得できるとチームは向上する。そして、それは我々が何年もやれていないことだ」
 
 ユナイテッドの補強の在り方を断じたエブラは、驚きのエピソードも披露している。

「アレックス・ファーガソンは全てが迅速だった。ファン・ペルシー、僕、ヴィディッチ、ファーディナンドらにね。ただ会いにきて、話し合うんだ。ファーガソンとデイヴィッド・ギルがモナコにいた僕に会いに来た時は、CIAやFBAの捜査よりもすごかった。

 しかし今はどうだ。僕は、ある一部のトップクラブのディレクターから『なあパトリス、マット・ジャッジ(ユナイテッドの交渉担当チーフ)に電話に出るよう言ってくれないか』と言われるよ。今のユナイテッドは選手と話すために弁護士を送り、数字のことばかりを語る。サッカーの世界から来た人ではなく、ね」

 さらに「仕事を失うことが怖いから話せない人々がいる。だけど、僕は気にしない」と語ったエブラは、強い口調で在籍する選手たちへの想いもこぼしている。

「もし、自分がマンチェスター・ユナイテッドで働いていたら、まずは一部の代理人を排除する。なぜなら、彼らが選手をコントロールすることが大きな問題だからだ。聞いてくれ、選手たち。君の人生なんだ。君が握った運命なんだよ。

 代理人は全員が良い人ではない。一部の人間は選手を金を生み出す銀行のように考えている。だから、君が怪我をしていようが、良いプレーをしていようが、興味がない。いい加減に目を覚ませ! 新しい世代の選手に言いたいよ。もし代理人が君の選択をリスペクトしてくれたら、一生ともに過ごしていくべきだ」

構成●サッカーダイジェストWeb編集部