日本のみならず世界中で一向に無くなることがない児童虐待。メキシコでは両親の虐待によって負傷し、入院先の病院で医師に「死なせて欲しい」と訴える7歳の女児がいた。この女児は、怪我の治療後に家に連れ戻されることを恐れていたという。『Crime Online』『Newsweek México』などが伝えた。

メキシコのプエブラ州で先月21日、怪我をした7歳の女児が近所の人によってラス・マルガリータス病院に連れてこられた。女児は“ヤズ(Yaz)”と呼ばれており、身体のいたるところに内出血があるうえに肺が圧迫されるなどしてしぼんでしまう肺虚脱を起こし、背中に火傷の痕、腕と手にはタバコが押し付けられたような火傷があった。

当時ヤズちゃんは、両親から殴打されるなどの虐待を受けていたところ、見かねた近所の人が彼女を病院へ連れて来たのだった。ヤズちゃんは日頃から両親の暴力を受けており、しかも医師は性的に虐待を受けていたことにも気づいた。

ヤズちゃんは重傷のため今も入院中だが、怪我の治療が終わった後に家に連れ戻されることを恐れて、医師に「私を治さないで。死なせてちょうだい。家に戻ってまたパパとママに殴られるのはイヤだ」と訴えたそうだ。

のちに病院から警察に通報が入ったことで、ヤズちゃんの母親アレハンドラ・ヴィリディアナ・エヌ(Alejandra Viridiana N)と父親のラファエル・エヌ(Rafael N)が今月3日に逮捕された。

実はヤズちゃんが病院に運ばれたのは、これが初めてではなかった。今年2月には脚に切り傷があったため入院し、4月には腸の損傷のため手術を受けて入院している。脚の切り傷について、ラファエルは「母親の失態によるものだ」と話していたという。

また今年1月にヤズちゃんは叔父によって性的暴行を加えられたことで、警察では逃走した叔父の行方を追っている最中だった。今回ヤズちゃんの両親の逮捕を受け、警察では今年6月に偶発的な窒息で亡くなったとされる、ヤズちゃんの妹で当時3歳だったミッツィちゃん(Mitzi)の件についても調べを進めるという。

今回の痛ましい事件について、女性の権利の活動家であるフリーダ・ゲレーラ氏(Frida Guerrera)は、憤りを露わにし「1月に女児が性的暴行で苦しんでいる時点でプエブラ当局が適切な対応をしていれば、女児は入院することもなく彼女の妹も亡くなってはいなかったでしょう」とSNSに投稿しており、州の制度のあり方に疑問を呈した。

またゲレーラ氏はヤズちゃんの家族にインタビューをしているが、母親のアレハンドラもラファエルの暴力による被害者だったと明かしている。

画像は『Newsweek México 2020年8月28日付「FGE detiene a padres de Yaz, la niña presentaba pulmón colapsado y quemaduras en su cuerpo」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)