コロナ禍にあって、いま注目されているのが自販機だ。

客と店員が対面しなくてもいい、接触の心配もない。基本的に24時間営業なので、混雑する時間帯も少なくて、3密も回避できる。

いまや自販機でさまざまなものが売られているというが、千葉市稲毛区にはマカロンの自販機があると聞いた。

物珍しいことには妙に敏感な、Jタウンネット記者は、早速、マカロン自販機を目指して車を走らせた。カーナビ任せの運転で、ようやく目的地にたどり着いたのは、閑静な住宅街の一角だ。そこで発見したのは、ピンクの配色が目にも鮮やかなマカロン専門店「ノコボンボン」だ。


マカロン専門店「ノコボンボン」(写真は、すべてJタウンネット記者撮影)

いかにも甘い香りが漂ってきそうな外観だが、店の周囲はひっそりと静まり返っていた。Jタウンネット記者の目的は自販機なので、店には入らず、自販機に近寄った。「ほんとうにマカロン自販機?」と、かなり半信半疑の眼差しで凝視すると......!

下の写真を、じっくりご覧いただこう。


マカロン自販機には10種類のビンが並ぶ

自販機の最上段には、コカ・コーラ、スプライト、午後の紅茶など清涼飲料が並べられてはいるが、注目すべきは最下段だ。そこには10本のビンが並べられている。右から、チョコとバニラ、いちごみるくとチョコ、キャラメルと抹茶などと、1本の瓶に各2個のマカロンが入れられている。

「マカロン2つ入り500円、食べ終わったビンはお好きなようにお使いください」という貼り紙もあった。間違いなく、マカロン自販機だ。ちなみに、中段には、マカロンラスクやメレンゲ菓子が並べられていた。

Jタウンネット記者は1000円札を数枚入れ、とりあえず何本かのビンを買った。残念ながら、左右の一番端に並んでいた、チョコとバニラ、チョコとピスタチオは、売り切れになっていた。チョコが一番人気なのだろうか。

一口食べて、「甘〜い!」


マカロン2つ入り500円

自宅に戻ったJタウンネット記者は、試食してみることに......。

ビンは、マカロンがちょうど2つ入るほどの大きさで、口も大きいので取り出しやすかった。彩りを楽しみながら、食べるのもおもしろそうだ。皿の上に盛ると、ちょうど下のような感じになる、2つ入り500円だから、6個で1500円である。何人かで分けて食べるには、ちょうど手ごろな量かもしれない。


色も味も、相当に個性的だ

まず一番目立つ、ピンク色のいちごみるくから食べてみよう。中身は「ホワイトチョコにいちごを加えたガナッシュ」ということだ。ガナッシュとは、生チョコのクリームのことらしい。

一口食べて、「甘〜い!」。かなり濃厚な甘さだった。濃いめのコーヒーを飲みながら、味わうといいかもしれない。

次に、青っぽい、派手なグリーンにそそられて、チョコミントに手を出してみた。刺激的な甘さだった。苦味はあまりない。コーヒーはやはりブラックの方がいいだろう。

薄いパープルのカシスも試してみた。「カシスのジューシーさが味わえる」という解説どおり、ベリー系の味と香りが独特だった。

抹茶は、生地にもガナッシュにも抹茶がふんだんに使われているという。抹茶の香りが相当に強かった。

どれもが、それぞれ個性的な味わいで、マカロンというお菓子の奥の深さを垣間見たような気がした。いったいどんな人が作っているのだろう?

Jタウンネット記者は、マカロン専門店「ノコボンボン」に電話で聞いてみた。

売れ筋は、バニラとチョコ


毎日24時間、マカロンを販売

答えてくれたのは、店主の静間郁美さんだ。

「フレンチマカロンというと、ややおしゃれなお菓子というイメージがありますが、実は伝統的で身近なお菓子なのですよ」と静間さん。

「ノコボンボン」のオープンは、2019年12月。以前は洋菓子店に勤めていたというが、結婚後は、専業主婦だったという。

「マカロン専門店というのは他にあまりないようなので、差別化を考え、マカロンだけに絞ろうと思いました。一人でやるつもりだったので、マカロンだけならなんとかやれるだろうとも思って......」と、静間さんは語る。こうやってワンオペのマカロン専門店はスタートした。

小学生の娘さんの発案で、自販機での販売を検討し、2020年2月から、自販機を設置した。自販機導入にあたって、いちばん大変だったのは、マカロンにぴったりのビンを探すことだったという。

夏はマンゴーやレモンなど、季節のフルーツをとりいれた商品を企画したりしているが、自販機での売れ筋は、バニラとチョコだという。

自販機での売れ行きを聞くと......、

「マカロンは1日平均約20ビンくらい売れています。お店の方は、月曜、木曜は定休日、日曜も隔週お休みで、その他の日も基本的に15時までと、営業時間も限られていますが、自販機は毎日24時間、雨の日でも文句も言わずに働いてくれます。お店が休業中も販売してくれるので、本当にありがたいですね」

お客さんはどんな人が多いのか、聞いてみた。

「この辺りは住宅街なので、車や自転車で来られる方が多いですね。リピーターのお客様が多いような気がします。そういえば、中学生か高校生の男の子が自転車で買いに来られる姿を、ときどきお見かけしたことがありますね」

洋菓子店に一人で入ることを照れ臭く感じる男の子も、もしかしたらいるかもしれない。

その点自販機なら、男の子が500円を握りしめマカロン1ビンを買いに来たとしても、けっして恥ずかしくはないだろう。千葉市稲毛区では、マカロン男子が出没し始めているらしい。