【AFP=時事】ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)数百人は、バングラデシュの薄汚れた難民キャンプから逃れるため密航請負業者に金銭を渡した時、たった1週間船に乗ればマレーシアで新しい生活が送れると約束された。

 だが実際には、外洋を200日以上も漂う恐怖の旅となった。女性や子どもを中心とした集団が9月7日に到着したのは、マレーシアではなくインドネシア北部の海岸だった。そこで再び難民キャンプ生活を送っている。

 密航業者に殴られ、飢えとのどの渇きと闘い、時には嵐で木製の船が激しく打ち付けられることもあった。多数の遺体が船外へ放り出されるのを、恐怖におののきながら見ていたと、生存者らは話す。

 インドネシア・スマトラ(Sumatra)島の仮設テントでAFPの取材に応じた男性は、「悲惨な目に遭った。(船員は)いつも私たちを拷問し、殴ったり切り付けたりした」と語った。

 今回上陸した集団と、6月にインドネシアに上陸した100人近いロヒンギャの数から推測すると、今年3月ごろに約800人がバングラデシュで大型船に乗り、その後複数の小型船に分かれたとみられる。

 船に乗る前、多くの人が密航業者に最大2400ドル(約25万円)を支払った。業者は彼らを人質にし、数か月にわたりその友人や親族からさらにお金を巻き上げたという。

 難民らはこのようなつらい体験をしたにもかかわらず、健康状態は比較的良好で、密航業者らは難民らを生かしておくよう気を付けていたと思われる。

 だが、難民によれば、1日少量の米とコップ1杯の水が与えられただけだったという。

 難民らを上陸させるため密航業者は通常、大型船から小型船に移す方法を使う。だが、これは非常に危険で、今年に入って200人のロヒンギャが洋上で死亡していると推測されると、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のインドネシア代表、アン・メイマン(Ann Maymann)氏は指摘した。

 7日に上陸したロヒンギャ難民は、近年最大規模だった。

 3年前にミャンマー軍の弾圧によって75万人のロヒンギャが隣国バングラデシュに逃れた。この弾圧は、国際司法裁判所(ICJ)がロヒンギャへのジェノサイド(大量虐殺)をめぐる裁判を開くきっかけにもなった。

 バングラデシュの狭苦しい難民キャンプには、約100万人のロヒンギャが暮らしており、密航業者らは海外の安住の地を約束して彼らから大金を巻き上げている。

 バングラデシュから逃れようとするロヒンギャは、イスラム教徒が多数派であるマレーシアやインドネシアを目的地とすることが多い。

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