人気アニメ「鬼滅の刃」のテレビシリーズから続く物語となる映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が、10月16日に公開される。映画の公開を前に、主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)の仲間として共に活躍する嘴平伊之助(はしびらいのすけ)のキャラクターとその魅力を改めて振り返りたい。

 吾峠呼世晴の大ヒット漫画を原作としたアニメ「鬼滅の刃」は、人を喰らう鬼がすむ大正時代の日本が舞台。主人公の少年・炭治郎が家族を殺した鬼を討つため、鬼となった妹の禰豆子(ねずこ)を元に戻すために、“鬼狩り”の道へと進む姿を描く。

 伊之助は、炭治郎と同期の鬼殺隊士。常に上半身裸かつ猪の頭を被っている不思議な風貌で、「猪突猛進!」と叫びながら暴走する好戦的な性格の持ち主。炭治郎、そして同じく同期の我妻善逸(あがつまぜんいつ)とは任務の最中で出会い、その後仲間として行動を共にしていくことになった。伊之助は人との関わり合いのなかで生きてこなかったため、常軌を逸した粗野なふるまいをし、当初は仲間とコミュニケーションを取ることも難しかったほど。しかし、人の温かさや思いやりに触れ、本人が表現するところの“ほわほわ”という感情が生まれ、情緒が育まれてきた。

 猪の頭をはずすと実は美しい顔立ちをしているが、素顔になることはほとんどない。伊之助の触覚は大変鋭く、視界に入っていないものでも居場所を捉えることができる。弱肉強食の自然の中で生き抜いてきたためか闘争心が異常に強く、人間離れした身体能力を持っている。戦闘では刃こぼれした刀を用いた二刀流スタイルが特徴。テレビシリーズの山場となった那田蜘蛛山での戦い、その後の訓練では自身の実力不足や高すぎる壁に心が折れかけたこともあったが、隊士として、そして人間として一回り成長を果たした。劇場版では、短期間で40人以上が行方不明になった“無限列車”を舞台にした新たな任務に、炭治郎らと共に挑むことになる。

 声優を担うのは「ソードアート・オンライン」キリト役、「食戟のソーマ」幸平創真役などの松岡禎丞(まつおかよしつぐ)。劇場版における伊之助の活躍について、松岡は「いつもの伊之助ではあるんですが、あいつはなかなか突拍子もないことをするんです。愛すべきバカが全開で発揮されているので、そこを観てほしいです」と見どころに言及。

 「みんなで精いっぱい演じて作ったので、収録が終わったときは『出し切った』という気持ち良さがあったんです。でも実は、途中で喉がチクチクしていたんですよね……。喉がチクチクするのは僕のレッドサインなんですよ。これ以上やると、明日から数日声が出なくなるぞという身体からの警告なんです。案の定……『無限列車編』のアフレコの次の日は声が出なくなりました」と限界まで熱を込めたアフレコを振り返っている。(編集部・小山美咲)