12日に開幕を迎えた2020−21シーズンのプレミアリーグ。20日に行われる第2節では昨シーズン4位のチェルシーが、王者リヴァプールを本拠地『スタンフォード・ブリッジ』に迎える。ともに白星スタートを切った2チームによるビッグマッチを前に、知っておきたい7つのトピックを紹介する。

1. 28年で80回目の対戦
 イングランド国内だけでなく、欧州の舞台でも対戦の多い両チーム。1992−93シーズンにプレミアリーグが創設されて以降、公式戦で顔を合わせるのはこれで80回目となる。昨シーズンはプレミアリーグのみならず、UEFAスーパーカップとFAカップ5回戦でも対戦。FAカップではチェルシーが勝利し、決勝まで勝ち上がった。しかしUEFAスーパーカップでPK戦を制してトロフィーを獲得したリヴァプールが、リーグ戦でも“ダブル”を達成している。

2. 近年はチェルシーが劣勢
 近年のチェルシーは、プレミアでのリヴァプール戦を苦手としている。プレミアでの通算対戦成績は、チェルシーが20勝、リヴァプールが22勝、14分けと互角に近い。しかし、チェルシーはリヴァプールに対して3連敗中で、最近11対戦でわずか1勝(5分け5敗)。ホームでも最近12試合で3勝3分け6敗と負け越している。また昨季は、38試合制になって以降のプレミアで、クラブワーストタイとなる“ホーム5敗”を記録した。ホーム5敗のうち、最初に喫した黒星がリヴァプール戦。今季のチェルシーが一味違ったチームであるならば、この試合は絶対に落とせない。

3. ゴールは約束された試合
 何はともあれ、ゴールは約束された試合と言っていい。カップ戦を含め、両者の対戦ではここ35試合連続で得点が生まれているからだ。その間に決まった得点数は「99」で、35試合のうち23試合で両チームがそろって得点を挙げている。最後にスコアレスドローに終わったのは、2008年2月に行われたプレミアの試合。チェルシーは、現“テクニカル&パフォーマンスアドバイザー”のペトル・チェフがゴールを守り、フランク・ランパード監督がピッチの中央でチームを仕切っていた時代だ。今季の開幕戦でも、チェルシーは3ゴール、リヴァプールは4ゴールを奪っているだけに、連続得点試合が「36」に更新される可能性は非常に高いだろう。

4. 移籍市場の主役はチェルシーだが…
 新シーズンは開幕したばかりだが、今夏の移籍マーケットの覇者はチェルシーでほぼ決まりだろう。2月にモロッコ代表MFハキム・ツィエクの加入を内定させると、6月にリヴァプールも獲得を狙っていたドイツ代表FWティモ・ヴェルナーの獲得で合意。短いオフの間にもイングランド代表DFベン・チルウェル、ブラジル代表DFチアゴ・シウヴァ、ドイツ代表MFカイ・ハフェルツと契約を交わし、現在はレンヌに所属するセネガル代表GKエドゥアール・メンディの獲得も間近だと伝えられている。この夏だけで、すでに2億3000万ポンド(約312億円)を補強に費やしたとされるが、大型補強がどのような形で成績に反映されるのか。リヴァプール戦は格好の試金石となりそうだ。

5. キックオフ前から火花が散る両指揮官

 大一番を前にして、監督同士の場外バトルが勃発している。事の発端は、2カ月前に行われたプレミアでの直接対決だった。主審の判定を巡ってリヴァプール陣営と口論になったランパード監督は、スラングを交えてクロップ監督を罵ったのだ。ほとぼりも冷めない中、この夏の移籍市場を巡って第2ラウンドがスタート。クロップ監督がチェルシーの大型補強を皮肉ると、ランパード監督はリヴァプールも同じことをしてきたと反論。優勝監督を相手に一歩も引かない姿勢を見せている。かつての“モウリーニョ対ベニテス”を彷彿させる舌戦バトルは新たな名物となるかもしれない!?

6. 勝敗のカギを握る11番
 もちろん試合が始まれば、主役はピッチ上に立つ選手たちだ。中でも注目なのは、両チームの11番、ヴェルナーとモハメド・サラーだろう。ブライトンとの開幕戦でプレミアデビューを飾ったヴェルナーは、自慢のスピードを生かしてPKを奪取するなど、抜群の存在感を見せた。プレミアリーグの公式サイトによると、同試合でのスプリント回数はチーム最多の26回を記録。最高速度も33.4キロメートルでチームトップだったという。味方との息が合わないシーンが何度かあったものの、リヴァプール守備陣にとって大きな脅威となるのは間違いない。一方、サラーはリーズとの開幕戦でハットトリックを達成。これでリヴァプールでの公式戦ゴール数を「97」に伸ばした。「100」の大台到達がかかる一戦で迎える相手が古巣のチェルシーというのも何かの縁だろう。“元チームメイト”でもあるランパード監督の前で偉業達成となるのか。両11番のプレーから目が離せない。

7. 予想オッズは?
 日本時間18日正午現在、英国大手ブックメーカーの『ウィリアム・ヒル』はチェルシーの勝利に「3.2倍」、リヴァプールの勝利に「2.2倍」、ドローに「3.6」倍というオッズを付けている。近年の対戦成績で上回っていることや昨季圧倒的な成績で王者に輝いたことを考えれば、リヴァプールがやや優位と予想するのは妥当だろう。しかし今季のチェルシーの攻撃陣は、無限の可能性を秘めている。チーム内の競争が激しくなった分、出場した選手は今まで以上に気を抜くことは許されない状況だ。過去に数々の名勝負を繰り広げてきた“青赤対決”。今回はどんなドラマが待っているのだろうか。

(記事/Footmedia)