OPPOは価格性能比の高さと中国全土に張り巡らせたリアル店舗網に強みを持つ。写真は同社のスマホの最新機種「Reno4 Pro」(OPPOのウェブサイトより)

中国のスマートフォン大手のOPPO(オッポ)が、今年の販売目標を大幅に引き上げたことがわかった。9月7日、OPPO副総裁の劉波氏が(部品メーカーや販売代理店などの)取引先に宛てた内部通知のなかで、2020年7〜12月期のグローバル販売目標を1億台に修正するとともに、中国市場の販売目標を30%以上引き上げたことを明らかにした。

市場調査会社のデータによれば、2020年1〜6月期のOPPOのグローバル出荷台数は4660万台。そのうち中国市場向けが2590万台だった。今回の目標修正で2020年の通年のグローバル販売目標は1億4660万台となり、2019年の出荷実績より28%増加する計算だ。

「OPPOが大胆に目標を引き上げた裏には、華為技術(ファーウェイ)の市場シェアを奪取したいという思惑がある」。市場調査会社カナリスのアナリストを務める賈沫氏は、そう分析する。

ファーウェイはアメリカ政府の制裁強化の影響で、9月15日以降は半導体やソフトウェアの安定調達が困難になる。このためファーウェイのスマホの出荷台数は大幅に減少し、「市場に構造的な変化をもたらす可能性がある」と、賈氏は予想する。

国内はOPPOやvivo、海外はシャオミに商機

アメリカ商務省が5月15日に発表した禁輸措置により、ファーウェイが設計した半導体を受託製造していた台湾積体電路製造(TSMC)や中芯国際集成電路製造(SMIC)は、9月14日までの猶予期間が過ぎるとファーウェイ向けの製品出荷ができなくなる。8月17日には制裁がさらに強化され、ファーウェイが外部の半導体設計会社から(ファーウェイ向けにカスタマイズされた)チップを調達する抜け道も塞がれた。

ファーウェイは2019年のスマホ出荷台数が2億4100万台に達し、世界シェアは17.6%で第2位、中国市場のシェアは38.5%で首位だった。しかし半導体の供給が完全にストップすれば、部品在庫が底をついた時点で生産停止に追い込まれてしまう。


本記事は「財新」の提供記事です

「スマホの生産量を短期間で増やす能力があるメーカーにとって、ファーウェイの苦況はシェア拡大の好機だ」。前出の賈氏はそう指摘する。中国市場ではリアル店舗の販売網が充実しているOPPOやvivo(ビボ)が優位なポジションにあり、海外市場では進出先の多くがファーウェイと重なる小米(シャオミ)のチャンスが大きいという。

(財新記者:屈慧)
※原文の配信は9月8日