ガンプラと呼ばれる人気アニメ「機動戦士ガンダム」のプラモデルを巡り、「せどり」と称した転売行為が相次ぎ、ホビーショップからも困惑の声が出ている。

背景には、せどりを指南する人たちの影響も一部であるようだ。ガンプラ発売元のバンダイ側に、転売対策について取材して話を聞いた。

せどりを指南する動画が次々投稿で、ホビーショップは困惑

ユーチューブなどで検索すると、「ガンプラせどり」を指南するとした動画が次々にヒットする。せどりとは、古本用語で使われ、本来は掘り出し物を転売して利益を得るという意味だ。

それらの動画を見ると、ガンプラのうち限定版やコラボもので、アマゾンの販売が切れたものが狙い目だなどと、せどりのポイントを解説してある。さらに、箱の色や表記などで、プレミアが付く古いガンプラか見分けがつくなどとアドバイスしていた。

動画ではほかにも、価格の推移やメーカー情報のチェックなども解説している。これらの指南者は、始めてすぐに月収30万円に到達したなどと豪語し、自らが運営するせどり講座では、このぐらい稼ぐ人が続出しているなどと真偽不明のPRもしていた。

ガンプラの転売が最近増えているとして、こうしたせどり指南の動画が出回っていると紹介するツイートが、2020年9月6日ごろから話題になった。あるホビーショップは、スマホで価格動向などを調べている客をプラモコーナーで見つけたら、店から出て行ってもらうと明かして、4000件ほどもリツイートされていた。

転売行為が相次いでいるのは、ガンプラの新商品も同様のようだ。

年内には解決に目途?その理由は...

バンダイスピリッツでは、エントリーグレードのモデルを9月4日から事業部運営の施設「ガンダムベース」で先行販売を始めたが、770円(税込)の定価より3倍前後の高値で、メルカリなどで転売されている。

ガンダムベースの東京店では、山積みになったエントリーグレードのモデルが飛ぶように売れ、1人1日5個までの制限をかけたものの、4日のうちに品切れになった。翌5日に再入荷したが、7日にはまた品切れになり、公式ツイッターでは、「再入荷の予定はございます」と繰り返したが、それでも転売行為は続いている。

ツイッター上などでは、「転売は買う人が居るから成り立つ」と擁護する声もあったが、愛好者らからは苦言が相次いでいる。「欲しい物が普通に買えなくなるのが迷惑」「せどりとか言ってるけどただの転売だろ」「最近ガンプラの転売酷いよね」などと書き込まれていた。

バンダイスピリッツの広報担当者は8日、転売が相次ぐ状況について、J-CASTニュースの取材にこう説明した。

「ガンプラ発売40年で、絶版の1アイテムや限定版などを除き、2500種類すべてを今でも生産していて買うことができます。40年前の300円のでさえそうです。今までこういう問題は起きていませんでしたが、昨今のコロナ禍による巣ごもり需要が国内外で伸びてきて、生産できる上限以上になっています。転売が増えているとしたら、こういう時期だからということもあると思います」

こうした転売に対する今後の対策については、こう言う。

「現在、昨年発表した静岡の生産工場増築を進めており、年内には稼働できそうな見込みになっています。そうなると、生産能力が今の1.4倍に上がります。生産体制を整えた結果、商品がお客さまの手元に届くようになると思います。エントリーグレードといった新商品は、コンビニやイベントなど様々な形で今後販売し、12月からは一般販売も始まりますので、もうしばらくお待ち下さい。限定版などにつきましては、いつかは品切れになりますが、それはガンプラだけに限らないと思います」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)