しゃっくりは突如として発生し、自分でコントロールして止めることもできないため、困らされた人も多いはず。しゃっくりを止めるための科学的方法は存在するのか、どうすればしゃっくりを止めることができるのかを、科学ジャーナリストのTibi Puiu氏が解説しています。

How to get rid of hiccups, according to science

https://www.zmescience.com/science/how-to-get-rid-hiccups-052352/

しゃっくりは医学用語で「吃逆」(きつぎゃく)とも呼ばれ、横隔膜 や外肋間筋が無意識に収縮することで、急速な空気の吸入が起こり、発生するもの。このとき、声帯が閉じ空気の流れが遮断されるために、「ヒック」というようなしゃっくり特有の高い音が発生します。

突如としてしゃっくりが始まり戸惑った経験がある人も多いと思われますが、多くの場合、しゃっくりは「食べ物を急いで食べ過ぎた」「急いで飲み過ぎた」ことで空気の流入が遮断されたことをトリガーとします。しゃっくりの発生は年齢を問わず、それこそ胎児さえ経験するとのこと。8週間目の胎児は少なくとも1日に1回はしゃっくりを行うことが、調査で判明しています。

なぜ人間がしゃっくりをするのかは科学的に明らかではなく、哺乳類が胃の中に入りすぎた空気を抜くための(PDFファイル)仕組みだと主張する人がいれば、人類の祖先がエラ呼吸していたことの名残だと考える人もいますが、結論は出ていません。

そして、しゃっくりを止めるための民間療法は世界各地に存在しますが、それらのほとんどは科学的ではない、つまり、対照実験などで効果が証明されたものではありません。2013年のレビューでも、「しゃっくりの特定の治療法を推奨するには証拠が不十分」という結論が下されています。

一方で、「息を止める」「紙袋を使って呼吸する」といった方法は、一定の効果がみられるとのこと。息を止めることで体内の二酸化炭素濃度が上がり、かつしゃっくりの動きのパターンを阻害できると考えられています。このことから、次にしゃっくりが出た時には紙袋を口に当てて呼吸するほか、「10秒間息を止めてゆっくりと息を吐き出す、という行動を3〜4回繰り返す」という方法をPuiu氏は推奨。もししゃっくりが止まらなかった場合は、20分ほどこの呼吸を繰り返すことが勧められています。

また、「指で舌先をつまんで引っぱる」という行動により迷走神経を刺激し、横隔膜の収縮を和らげるという方法や、横隔膜を優しく押す方法、ものを飲み込む時に鼻を左右から押さえる方法などもあります。なお、過去の症例には性交後にしゃっくりが止まった事例や腸マッサージにより止まった事例などもあるとのこと。



多くの場合、しゃっくりは時間がたてば止まりますが、中には1922年から1990年までの68年間にわたってしゃっくりが出続けた人も報告されています。ただし、長引くしゃっくりは、別の疾患の症状である場合もあるため、48時間以上しゃっくりが続く時は医師にみてもらうのがベターです。

そして、しゃっくりを起こさない予防策としては、「食べ過ぎや飲み過ぎをしない」「炭酸飲料・お酒・辛い食べ物を避ける」「急激な温度変化を避ける」「ストレスを感じたり感情的になったりする状況を避ける」などが挙げられています。