海外では踏切に遮断機のバーを備え付けていないことが多いが、このほどアメリカで電動車いすの男性が列車が迫り来る踏切内で立ち往生し、命を落としかけた。彼を間一髪のところで救出したのは地元の女性警察官だった。『lodinews.com』『New York Post』などが伝えている。

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米カリフォルニア州サンホアキン郡ローダイ市で12日の午前8時頃、ローダイ警察のエリカ・ウレア巡査(Erika Urrea)が地元をパトロール中に踏切内で立ち往生している電動車いすに乗った男性(66)を発見した。

電動車いすの車輪がレールに挟まって彼は身動きができずにいた。列車が迫りつつあることに気づいたウレア巡査は、すぐさま警察車両を停車させて男性のもとに駆け寄り、電動車いすごと動かそうとした。しかし電動車いすを移動させることができず、ウレア巡査は男性の腕を掴んでそこから引きずり出そうとした。

その間も列車は警笛を激しく鳴らして2人に迫りつつあった。ウレア巡査は電動車いすから男性を引っぱり出したものの、男性はレールのすぐ脇に倒れ込んでしまった。

ウレア巡査はなおも男性を安全な場所へ移動させるため腕を引いたが、男性は大柄だったことから手間取ったという。その瞬間、列車は男性のすぐ脇を通過し大きな衝突音を立てて電動車いすを弾き飛ばした。

後に公開された警察のボディカメラの映像から、ウレア巡査が警察車両から降りて男性を救うまでたった15秒ほどしかなかったことが明らかになった。ローダイ警察のスティーブ・メイナード巡査長(Steve Maynard)は今回の事故について次のように述べている。

「北へ向かう列車はかなりのスピードで近づいて来ていました。ウレア巡査は男性をそこから退避させるために急いで彼のもとに向かいました。彼女に与えられた時間はわずか数秒しかありませんでした。しかし電動車いすを動かすことができなかったため、男性をそこから引き下ろして退避させたのです。」

男性は救出後、すぐに地元の病院に運ばれ、両足に重傷を負ったものの現在は安定した状態にあるという。ローダイ警察のFacebookには、自らの命を危険にさらしながら男性を救出したウレア巡査に「あなたはヒーローだ」「あなたを祝福し続けます」といった称賛と感謝の声が寄せられた。

またウレア巡査は勤続14年のベテランだが、謙虚な心の持ち主なのか男性の救出についてのコメントは差し控えているようだ。

画像は『New York Post 2020年8月13日付「California cop saves man whose wheelchair got trapped in train tracks」(Lodi Police Department)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)