新型コロナウイルスの影響で、国内線の利用者数が大きく落ち込むなか、わずか13kmの「日本一短い航空路線」北大東〜南大東線の利用者数が大きく増加しています。ただここにはカラクリが。どういったものなのでしょうか。

2019年の約1.4倍利用者増の北大東〜南大東線

 JAL(日本航空)グループが発表した2020年6月度のマンスリーレポートによると、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、国内線の利用者数は前年同月比21%と大きく落ち込んでいます。

 しかし一方で、前年より利用者数の増加が見られた路線もいくつか存在します。


RACのDHC8-Q400CC型機(2020年、欅まつや撮影)。

 そのひとつが、JALグループで沖縄を拠点とする地域航空会社、RAC(琉球エアコミューター)運航の北大東〜南大東線です。所要時間15分、空港間の距離にしてわずか13km、場合によっては数分で到着することもあるという「日本一短い定期航空便」の通称を持ちますが、ここがコロナ禍で利用者が大幅増加しているのです。

 2020年6月の北大東〜南大東線の座席利用率は70%を超えているほか、利用者数にいたっては前年6月の778人の約1.4倍となる1117人。この増加率は、JALグループ国内線のなかでも1位です。

 なぜこのようなことが起こったのでしょうか。同路線の広報担当者によると「これにはカラクリがある」そうです。

北大東〜南大東線 利用者大幅増加のカラクリ

 同路線の広報担当者によると、この路線の飛行機の使い方には大きな特徴があるそうです。

「この路線は火、水、木曜は那覇→南大東→北大東→那覇、月、金、土、日曜は那覇→北大東→南大東→那覇というように、曜日ごとに回り方を変える三角運航を行っており、各区間に独立した便名を付けています。そしてこれに加え、平時は那覇→南大東→那覇の直行直帰便を飛ばしています」(RAC/JTA 広報担当者)


那覇空港(2019年、乗りものニュース編集部撮影)。

 そして、この特徴が今回の北大東〜南大東線の搭乗者数増加につながっているそうです。

「2020年6月は、新型コロナの影響で那覇→南大東→那覇の直行直帰便であるRAC861便、862便が運休、減便し、一時は三角運航便のみになりました。その影響で、火、水、木曜に南大東から那覇に行く、もしくは月、金、土、日曜に那覇から南大東に行くお客様は、必然的にいったん北大東空港を経由する必要があります。これが、北大東〜南大東線の搭乗者数が増えたカラクリです」(RAC/JTA 広報担当者)

 そのため那覇〜南大東、北大東線を合わせた利用者数を見ると、2019年は3237人だったのに対し、2020年は3040人とむしろ減っているとのことです。

 なお、RACではCA(客室乗務員)のマスクや手袋着用のほか、夜間整備の際に機内消毒を行うなどの衛生対策を講じているほか、公式ウェブサイトなどで「機内の換気や空調整設備の清潔性」について紹介。新型コロナに対してもRAC機が高い安全性を持つことをアピールしています。