現地時間8月8日、ユベントスは昨夏に招聘したマウリツィオ・サッリ監督を更迭。10日前にU-23チームの指揮官に就任したばかりだったアンドレア・ピルロの昇格を発表した。

 7日に開催されたチャンピオンズ・リーグ(CL)のラウンド・オブ16第2レグでリヨンに屈して、クラブ最大の目標は成し遂げられなかったとはいえ、3年契約を締結して解任には小さくない違約金も必要となる人事だけに、ユベントスの仰天人事は大きな物議を醸すことになった。

 ではなぜ、イタリアの絶対王者はリスクを負ってまで、サッリを更迭したのか? 地元紙『Corriere della Sera』は、選手たちとの不和が原因になったと伝えている。

 同紙のレポートによれば、一部の選手たちとサッリの関係性は、就任当初から冷え切っていたようだ。

 初陣となった昨年7月にシンガポールで開催されたインターナショナル・チャンピオンズ・カップ(プレシーズンマッチ)のトッテナム・ホットスパー戦で、内容の良くなかったチームに対して、ナポリ時代に2度も優勝争いに敗れていたサッリは、「どうして、こんなチームに2度もスクデットを奪われたんだろうか」と皮肉り、ロッカールームの空気を「カオスなものにした」という。
 
 さらに“サッリボール”と評される独特のパスサッカーを定着させるためにサッリは、練習時に「2タッチでプレーしろ」と強要。これに対して、大黒柱であるクリスチアーノ・ロナウドが才能を阻害されていると感じ続けていたというのだ。

 また、超が付くほどのヘビースモーカーであったことも災いになる。『Corriere della Sera』ブラジル代表MFのドグラス・コスタら一部の選手たちは、サッリがロッカールームの傍で惜しげもなくタバコを吸い続けたことにフラストレーションを溜め込んでいたと報じている。

 何よりも調和を重んじてきたユベントス。それだけに選手との軋轢が生まれ、チームを乱してしまったサッリの解任はやむを得ない決断だったのかもしれない。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部