「仕事中は常に最高のパフォーマンスを発揮したい」と願っていても、仕事のパフォーマンスには浮き沈みがあるのが当然であり、時には何をしてもうまくいかないスランプに陥ってしまうこともあります。そんな仕事のスランプから抜け出すための方法について、リーダーシップや職場環境の専門家であるレイチェル・クック氏が解説しています。

How to Pull Out of a Work Slump | Modern Mentor

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◆1:何が変わったのか、何が欠けているのかをハッキリさせる

もしスランプに陥ってしまった場合、「自分から何が欠けてしまったのか」を特定することが大事だとクック氏は指摘。たとえば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが発生した後にスランプに陥ってしまったクック氏は、仕事用の服を着ること・移動・会議室での会話・ボディランゲージなどが失われてしまったと自己分析したとのこと。

さらに分析を進めたクック氏は、「本当に自分が失ったと感じたのは移動や服、会議室についてのことではなく、『人とつながる感覚』である」ということに気づいたそうです。リモートワークにより人との有機的なつながりが失われたことがスランプの原因だったとクック氏は述べ、スランプに陥った際はまず「何を失ってしまったのか?」を考えるべきだと主張しています。



◆2:失われたものや体験を再現する

スランプに陥った自分が「何を失ってしまったのか」を特定したら、次は自分が失ってしまったものを再現することが、スランプから脱却する足掛かりになるかもしれないとのこと。クック氏の場合、パンデミックによって失われた「人とのつながり」を再現することに焦点を当て、さまざまな方法を考えたそうです。

クック氏はリモートワーク中に「私的な用件または仕事に関する用件で人とつながる」というルールを設け、通話やボイスメールなどの形で連絡を取るようにしました。従来とまったく同じ形というわけではないものの、できるだけ以前のやり取りに近い方法を再現することでクック氏は人とのつながりを感じられるようになり、スランプの脱出に役立ったと述べています。

◆3:これまでにない新しい方法を試す

スランプから脱出する方法は失われたものを特定し、それを再現することだけではありません。時には「快適さや確立したルーチンを壊し、何か新しい物事にチャレンジする」ことが、スランプを抜け出すきっかけになることもあります。

クック氏の場合、従来は会議室などを借り切って顧客と終日のミーティングや対話プログラムを行っていましたが、新たなチャレンジとして「1回のミーティングや対話プログラムを90分間に制限する」という方法を始めたそうです。仕事のやり方を変えることは大きな影響をもたらしますが、幸いにもクック氏の新しいやり方はうまくいっているそうで、パンデミックが落ち着いた後もこのやり方を継続するつもりだとのこと。



◆4:ちょっと休憩する

クック氏によれば、スランプの最も大きな原因は「バッテリーの消耗」とのことで、オーバーワークや不安の増大、多くの物事を並行して同時進行させるといった作業によりスランプを感じることは少なくないそうです。特にCOVID-19のパンデミックは人々の生活を大きく変えており、「オンライン授業になった子どもの面倒を見ながらCOVID-19対策に考えを巡らせ、これまでとは違うリモートワークの方法を試行錯誤する」といった作業は人々を疲れさせ、スランプにさせてしまいます。

そこでクック氏は定期的な散歩をしたり、オーディオブックや音楽を聞いたり、友だちに電話したりするといった息抜きを毎日行うようにしたとのこと。こうした息抜きは心のバッテリーを充電し、スランプから抜け出すために有益だとクック氏は述べています。

◆5:スランプに困っている誰かと話す

一見すると妙に思えるかも知れませんが、「スランプに苦しんでいる誰かを助ける」ことが、自身のスランプ脱出に役立つこともあるとクック氏は主張しています。たとえばクック氏の友人はリモートワーク中に「Zoomの山」といえる状態に苦しんでおり、自宅のイスに座ったままひっきりなしに行われるZoom会議で消耗し、オーバーワークからスランプに陥っていたとのこと。クック氏が友人に「過去5日間でどれほどの会議に出席して、そのうちいくつが有益だった?」と尋ねたところ、友人は36個の会議に出席したものの、有益な会議はそのうち11個に過ぎなかったと回答しました。

クック氏は友人のオーバーワークを解消するため、スケジュールを効率的に管理する方法を一緒に模索しました。その中でクック氏は、「自分も友人と同じようにオーバーワークでエネルギーを消耗している」と気付けたそうで、友人を助けることを通してスランプを脱出する手がかりを得ることができたと述べています。