【AFP=時事】レバノンの首都ベイルートで4日に起きた大爆発は、穀物用のサイロを吹き飛ばし、貴重な小麦はすすやがれき、セメントまじりになった。国内最大のサイロを失い、市民はパン不足を恐れパニックになっている。

 大爆発で港も破壊されており、レバノンは食料の85%を輸入に頼っていることから、食料不足はさらに悪化するとの懸念も広がっている。

 小麦を原料とする主食の薄いパンは現在政府の補助があり、900グラムあたり2000レバノン・ポンド(約140円)で販売されている。

 小麦、トウモロコシ、大麦が約1万5000トン貯蔵されていたサイロの他に、近くの製粉所も破壊された。また、爆発時に少なくとも1隻の船から小麦の積み下ろしが行われていたが、この小麦も使い物にならなくなってしまった。

 国内のパン製造業者と消費者は、貯蔵量12万トンのサイロがなくなったため、小麦不足が何か月も続き、パンを作るのが難しくなり、最終的にはパンが値上がりすると懸念している。レバノンは爆発前から深刻な経済危機に陥っており、市民の購買力は既に落ち込んでいる。

 大爆発の翌日、ベイルートのハムラ(Hamra)商業地区にあるパン店には、大勢の客が押し寄せた。店の従業員はAFPに対し「貧しい人が腹を満たすにはパンしかない。座ってナイフとフォークでステーキを食べているわけじゃないんだ」と述べた。

 当局は懸念を払しょくするため、国内には1か月分の小麦の貯蔵があり、今週中に北部トリポリ(Tripoli)と南部サイダ(シドン、Sidon)の港に、新たな小麦が到着する予定だと説明した。

 だが、2014年から17年にかけてベイルートで穀物貯蔵施設を経営していた農業起業家の男性は、これらの港には貯蔵施設が足りないと指摘する。製粉所の経営者らは、小麦をトリポリから80キロ離れたベイルートまで移送するには、1トン当たり6ドル(約630円)余分なコストが発生すると計算している。

 レバニーズ・フードバンク(LFB)といった団体はここ数か月、困窮した家庭に食料を届ける活動を行ってきた。大爆発で現在大打撃を受けている製粉所やパン店も、LFBに寄付をしていた。あるパン店は大爆発の前には1日500袋のパンを寄付していたが、小麦不足から寄付をこれ以上増やすことはできないとLFB伝えてきたという。

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