NHKのBSでは試合が終わると「Jリーグタイム」が始まる。各地で行われた試合を次々とダイジェストで紹介する番組だが、登場する解説者は現地に行けていないので、画面越しの印象を話すに止まる。各試合の開始時刻はほぼ同じ。よってすべての試合に目を通すことは不可能だ。こう言ってはなんだが、番組の制作にお金が掛かっていない印象だ。解説はどうしても総花的になる。深く検証していく態勢にはなっていない。

 サッカーは開始前より、終了後の方が語ることは断然多い。プレビュー原稿も書けば、レビュー原稿も書くライターなのでよく分かる。試合後の方が書くべきことは断然多い。

 誰かと語りたくなる瞬間でもある。自分の意見を他人の意見と付け合わせしたくなる。「僕はこう見たけど、キミはどう思う?」。サッカー好きなら誰もが抱く想いがこれだ。まさに、サッカーらしさを象徴する疑問に支配されることになる。何を隠そう、僕はその「?」に答えようと、議論が活性化することを願い、毎度、試合後のレビュー原稿に向かっている。

 ただしそれがアップされるのは早くても翌朝だ。テレビにはスピードで敵わない。テレビに頑張って欲しいと思う理由だ。ファンが欲しているのは検証番組なのである。スタジアムで仲間と観戦しにくいこのご時世では、なおさらだと思う。試合を見た後、誰かと無性に喋りたくなるのがサッカーだ。それと同じだけ人の話も聞きたくなる。サッカーのツボはここにある。