与田祐希が殻を破った。

身長152cm、福岡県の小さな島生まれ、乃木坂46内でもおっとりとした小動物系…。そんな与田が、男たちを蹴り飛ばし、金属バットを振りかざし、白目を剥いて怒鳴り散らす。まもなく封切られる映画『ぐらんぶる』で見せる姿だ。

グループを離れ、初の単独映画出演となる本作で、クールで強い女子大生・千紗という体当たりな役どころに挑んだ与田。乃木坂46では長らく3期生の先頭に立ち、多方面で活躍する。本作の撮影期間は、奇しくもグループの一大イベントである全国ツアーと重なった。しかし与田は、「お仕事をやらせていただけるのは、本当にありがたいことです」と、どこまでも謙虚で感謝の気持ちを忘れない。

「努力・感謝・笑顔」を信条とする乃木坂46イズムが、彼女にもまた受け継がれている。女優としての大きな挑戦に踏み出した与田から、それがたしかに伝わってきた。

撮影/曽我美芽 取材・文/木口すず 制作/iD inc.

正直、「私にできるかな…」という不安が大きかったです

乃木坂46を離れ、おひとりでの映画出演は本作が初めてです。最初に出演のお話をもらったときは率直にどんなお気持ちでしたか?
緊張やプレッシャーが大きかった、というのがいちばんでした。出演のお話をいただいてから原作も読ませていただいたのですが、さらに不安も出てきて…(笑)。
与田さん演じる千紗は、いわゆる“クーデレ”で、男性陣にもまったく臆せず接する女の子。金属バットを振り回したり、白目を剥いたりと、かなり体当たりな役どころですもんね。
なかなか人間って、人の頭を踏んづけたり、バットを振り回したりしないですよね(笑)。
原作を読んだ率直な感想はいかがでしたか?
漫画はとても面白くて楽しくて、素敵な作品だなと思いました。でも、いざ自分がこの作品に出ると考えたときに、正直「私にできるかな…」と。
マネージャーさんからは最初どんなふうにお話があったのでしょう?「できそう?」と心配されていたのでしょうか?
いえ、とてもサラッと原作を渡されました(笑)。「与田、映画に出ることになったから、これ読んでおいてね」って。それで漫画を開いてみて、「…なるほど…?」と思いました(笑)。

でも同時に、楽しみだなという気持ちが湧いてきたのも本当です。だから、とにかくいろんな意味でドキドキしながら、撮影に入りました。
普段の与田さんとは全然違う女の子だったので、すごく驚きましたが、でも迫力があって素敵でした。
ありがとうございます! いざ現場に入ったら、共演者のみなさんが優しく接してくださいましたし、英(勉)監督もいつも「もっと自由にやっていいよ」と、アドバイスもたくさんくださって。

英監督が本当に優しい方なこともあって、現場の空気がとても温かかったんです。作中とはまた違う雰囲気なんですけど、空き時間もみんなで和気藹々と仲良く過ごしているような、楽しくてアットホームな環境でした。撮影中も、ずっと笑いが絶えなかったです。
ファンの方々も、今回の出演はかなり驚かれたと思います。
そうですね。きっと予告映像が上がったり、情報が解禁されていくにつれて、みなさんビックリされたのではないかなと思います(笑)。でも、楽しみにしていただけたら嬉しいです。

ただキックするだけでも、案外難しいんだなって(笑)

本作は“全力脱衣系”青春グラフィティとして制作され、竜星 涼さん、犬飼貴丈さん、朝比奈 彩さん、小倉優香さん、石川 恋さんらが出演されています。現場のムードメーカーだったのは?
W主演の竜星さん(伊織役)と犬飼さん(耕平役)のおふたりが、やっぱり中心になって現場を引っ張ってくださっていたと思います。あとは時田役の鈴之助さんと寿役の岩永(洋昭)さんのおふたりも、すごく力強かったです(笑)。

女性陣は女性陣で固まって過ごしていて、「女子会しよ〜!」とも言っているんですよ。今はなかなかできない状況ですが、いつか『ぐらんぶる』女子会も実現できたらなと思っています。
とても素敵な現場だったことが伝わってきました。
はい。私は何から何まで初めての経験で本当に試行錯誤でしたし、周りの役者の方々のお芝居を見て学ばせていただきながらでしたが、すごく自由に、千紗としてのびのびと演じさせていただくことができました。
とくに印象に残っているシーンは?
大変だったのは、伊織や耕平を殴ったり蹴ったり、あとは暴れたりするシーンです。今までそういうことをしたことがなかったので、加減が難しかったりして。キックひとつにしても、足の上げ方から角度まで現場で教えていただきました。ただ蹴るというだけでも案外難しいんだなって思いました(笑)。

竜星さんと犬飼さんは、そうしたシーンでも「遠慮しないで、本気でやってくれ!」と、リードしてくださって。おふたりと一緒のシーンが多かったので、おふたりのお芝居を見ることで千紗としての気持ちをより明確に作れましたし、ちょっとしたしぐさで悩んだときには「どうしたらいいですかね?」と相談もさせていただきました。

ふざけるシーンとシリアスなシーンのギャップなども、すごく勉強になりました。
「バモス!」を合言葉にたびたび出てくるダンスシーンも、強烈なインパクトがありました。現場でご覧になっていて、いかがでしたか?
私が現場にいなかったときの撮影がスゴかった!と噂に聞いていたので、どんなものなのか楽しみにしていたんです。最後のほうでは私も踊りに加わっているんですけど、いざ現場に入ったら、噂通り強烈でした(笑)。スゴいパワーですよね。

お仕事ができること、挑戦できることに感謝しています

乃木坂46のメンバーのみなさんは、「この作品に出るの!?」と驚かれていませんでしたか?
それは全然! 撮影期間もほかのお仕事でメンバーにはよく会っていたのですが、映画のお仕事をしているとみんな知っていたので、「どう、うまくいってる?」「頑張ってね!」と応援してくれていました。
出演にあたり、不安や心細い気持ちをメンバーに話したりはしましたか?
とくにメンバーの誰かに相談した、ということはなかったです。ただ、ひさびさに乃木坂46として歌番組やライブをしているときに、「あ…私、アイドルなんだな」と感じました(笑)。バットを振り回したり、白目も剥いたりしないし、キラキラしてる…と我に返りましたね。千紗とは全然キャラが違うので。
『ぐらんぶる』の撮影は去年の夏頃。女優業と乃木坂46の活動、ふたつを両立するのは大変だったのではないでしょうか?
全国ツアーもあったので、けっこういっぱいいっぱいだった気もします。だけどどっちも手を抜くことはできないし、100%以上で頑張らなきゃ!という気持ちがあったので、気づいたら駆け抜けていました。

だからか、「大変だな」と思う余裕さえなかったと思います。それに何より、楽しい!という気持ちがいちばん大きかったですね。
与田さんがそうしてお仕事に全力で打ち込めるモチベーションは、どこからきているのでしょう?
お仕事をやらせていただけるということが、本当にありがたいことだと思っています。その感謝の気持ちをちゃんと持っていなければいけないし、乃木坂46のメンバーであるということも背負わなければいけないし。ただ、必死にやるしかない、と。

私は3期生ですが、やっぱり乃木坂46って1期生、2期生の先輩方が積み上げてきて、私たち3期生や4期生が、どんどんつないでいかなければいけない大事な時期にいるので。甘えてはいられないな、という気持ちがあります。
「きついな、大変だな」と感じたときに、支えてくれたり、頼ったりできる存在は誰でしょうか?
誰というよりは、本当にその場その場ですごくメンバーから助けられています。メンバーにしろスタッフさんにしろ、ふとしたときに手を差し伸べてくれる誰かが常にいる。これって、本当にありがたいことだなって思うんです。

だからこそ私は前を向けるというか、頑張らなきゃ!と思える。乃木坂46にいるから、気持ちが強くなれますね。
メンバーには女優業に力を入れている方も多いですが、与田さんご自身はどんな気持ちで女優のお仕事に取り組んでいますか?
私はお芝居の経験があるわけではないし、まだわからないこと、できないこと、難しいこと…と課題だらけです。でも頑張りたい、という意欲はすごく持っています。だからこうやって挑戦させていただけることに感謝して、ちゃんと次につながるように学んで、形として残せたら、成長できたらいいなと思っています。
女優業で目標やお手本にしている方はいますか?
目標なんて全然おこがましいんですけど…綾瀬はるかさんは、乃木坂46に入る前からよく作品を拝見している方で、素敵だなと憧れがあります。

“乃木坂46らしさ”を次の世代でも受け継いでいく

今年5月に20歳の誕生日を迎えられました。「20代のうちにこんな自分になりたい!」という理想像は見えていますか?
それがまだ全然、想像できていないんです。でも年齢的には大人になるので、ちゃんと落ち着いて堂々とした人になりたいかな…。「この人になら頼れる!」みたいな人っているじゃないですか? そういうふうにちゃんと頼ってもらえるように。

自分はたくさん支えられているなと感じることばかりなので、これから先は私もしっかり誰かを支えられるくらい、大人な人間になりたいです。
4期生も入ってきてグループが進化していくなかで、「これから乃木坂46をこんなグループにしていきたい」という理想はありますか?
先輩方の卒業があったり、後輩たちが入ってきてくれたり、メンバーや環境、グループの雰囲気はどんどん変わっていくと思います。そのなかでも、乃木坂46の仲のよさ…“乃木坂46らしさ”っていうんですかね? それはちゃんと先輩から受け継げるように。そしてどんどんどんどん成長していけるように、頑張りたいです。
グループのなかでの与田さんの役割は、どのように捉えていますか?
え〜っ、役割ですか!? 難しい…(スタッフさんから「“子ども”ポジションじゃない?」と言われ、)やめて! 私もう、大人なんですって!!(笑)

それは逆に、私がお聞きしたいです(笑)。これから探していけたらいいかな。でもそうですね…、やっぱりみんなに安心をあげられる人になりたいです。
『ぐらんぶる』はまさに青春映画ですが、今はなかなか満足に青春を送れていない学生の方も多いと思います。
今まで当たり前だったことができなくなっていて、学生さんは大事な行事や楽しみにしていたことがなくなってしまったり、悲しくなるようなこともありますが…。

でも、これから先、きっといい方向に進んでいくことを願って。みんなが前を向いて、できなかったことにもまたいつか挑戦できる日が来るのを楽しみに、一緒に頑張りたいです。
与田祐希(よだ・ゆうき)
2000年5月5日生まれ。福岡県出身。O型。2016年、乃木坂46の3期生オーディションに合格。翌年、グループ18枚目のシングル『逃げ水』で、Wセンターに大抜擢された。女性向けファッション誌『MAQUIA』(集英社)や『bis』(光文社)ではモデルとしても活躍中。また2018年放送のTVドラマ『モブサイコ100』(テレビ東京系)ではヒロインも務めた。2020年に発売された2ndソロ写真集『無口な時間』(光文社)は、発売3日で累計20万部を突破している。

出演情報

映画『ぐらんぶる』
8月7日(金)全国ロードショー
https://wwws.warnerbros.co.jp/grandblue
キャスト:竜星涼 犬飼貴丈 与田祐希 朝比奈彩 小倉優香 石川恋 / 髙嶋政宏
監督:英勉
原作:井上堅二・漫画:吉岡公威『ぐらんぶる』(講談社アフタヌーンKC刊)

©井上堅二・吉岡公威/講談社 ©2020映画「ぐらんぶる」製作委員会

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、与田祐希さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2020年8月3日(月)12:30〜8月9日(日)12:30
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/8月10日(月)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから8月10日(月)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき8月13日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
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