かつて日産から発売されたおもしろい限定車とは!?

 新型車が発売されてしばらくすると、販売のテコ入れのため装備が充実してお買い得な特別仕様車や、カタログモデルをベースに特別に仕立てられた限定車を、各メーカーとも発売するのが一般的です。

GT-R 大坂なおみ選手 日産ブランドアンバサダー就任記念モデル

 そうした特別仕様車や限定車のなかには、ユニークなモデルも存在。そこで、かつて日産から発売された人名を冠した特別仕様車を3車種ピックアップして紹介します。

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●スカイライン ポール・ニューマン・バージョン

スカイライン ポール・ニューマン・バージョン

 歴代スカイラインのなかにはニックネームが付けられているモデルが多数あります。3代目が「ハコスカ」、4代目が「ケンメリ」、5代目が「ジャパン」といった具合です。

 そして、1981年発売の6代目は「ニューマン」と呼ばれますが、これはCMやカタログのキャラクターに、往年の俳優ポール・ニューマン氏を起用したことに由来します。

 ポール・ニューマン氏は生前、自身もモータースポーツに傾倒するほどのカーガイで、かつては日産「280ZX」に乗ってレーシングドライバーとして活躍したり、アメリカのCARTやインディカーレースでは「ニューマンハース」チームを率い、2006年に公開のアニメーション映画「カーズ」では伝説のレーシングカー役の声優を務めました。

 そうした縁もあって、日産はポール・ニューマン氏を1981年発売の6代目スカイラインのPRキャラクターに起用したと思われますが、この6代目には1983年に、2リッター直列6気筒SOHCターボエンジンを搭載した「ハードトップ 2000GT-E・S」をベースにした特別仕様車「ポール・ニューマン・バージョン」を設定。

 外装にはポール・ニューマン氏のサインが記されたデカールとエンブレムが装着され、内装にもサイン入の本皮巻3本スポークステアリングや、8ウェイ電動マルチバケットシートなどを装備し、ほかにもブロンズガラス、195/60R15タイヤ&アルミホイールを標準装備していました。

●グロリア ジャックニクラウス・バージョン

グロリア ジャックニクラウス・バージョン

 1959年にプリンスから高級セダンの初代「グロリア」が発売され、1962年には2代目が登場し、1966年にプリンスは日産と合併します。

 3代目となるグロリアは1967年発売で、日産とプリンスの合併後初の新型車として注目を浴び、4代目以降は「セドリック」と姉妹車として代を重ねていきました。

 そして、1979年に発売された6代目は、国産車で初のターボエンジンを搭載した記念すべきモデルとして、いまも歴史に名を刻んでいます。

 この6代目グロリアは、高級車らしく静粛性の高さを訴求した「サイレント・グロリア」をキャッチコピーに採用し、当時プロゴルフ界で帝王といわれたジャック・ニクラウス氏をイメージキャラクターに起用。

 ジャック・ニクラウス氏はプレー中に「心の静けさを感じる」という自身のスタイルからの抜擢です。

 そのつながりから、1981年にグロリアのみで「ジャックニクラウス・バージョン」が展開されました。

 もともとは特別仕様車という扱いではなく、ベースは2リッター直列6気筒ターボエンジンを搭載した4ドアハードトップで、外観はシックな2トーンカラーに、ジャック・ニクラウス氏のサインを記したエンブレムやデカールを装着。

 内装ではハイエンドのオーディオセット、後席用のラジオコントロール、集中ドアロックなどが標準装備されています。

 なお、7代目グロリアにもジャックニクラウス・バージョンが設定されました。

GT-Rでは異例の限定車とは!?

●GT-R 大坂なおみ選手 日産ブランドアンバサダー就任記念モデル

GT-R 大坂なおみ選手 日産ブランドアンバサダー就任記念モデル

 2018年9月に、日産はブランドアンバサダーとしてプロテニスプレイヤーの大坂なおみ選手を契約を結び、それを記念したGT-Rの特別仕様車「GT-R 大坂なおみ選手 日産ブランドアンバサダー就任記念モデル」(以下、「GT-R 大坂なおみバージョン」)を発売。

大坂なおみ選手本人の着想を取り入れた記念モデルとして、50台限定となっており、2019年1月11日から開催された「東京オートサロン2019」の日産ブースにて、実車の公開と価格の発表がおこなわれましたが、その時点ですでに50台を超える予約が入っている状態でした。

「GT-R 大坂なおみバージョン」の仕様は専用色を含む3色のボディカラーと、3色の専用インテリアが選べることと、カーボン製リヤスポイラー、ゴールド色のモデルナンバープレートになっていて、性能などはベースモデルの「GT-R Premium edition」から変更ありません。

 当時の価格は1260万4680円(消費税込)で、ベースモデルから90万円ほどのアップでした。

 なお、この企画は、大坂なおみ選手が日産車のなかで一番好きなモデルがGT-Rだったことから実現したといいます。

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 人名を冠した特別仕様車や限定車は、ほかにもスズキ「アルト 麻美バージョン」(小林麻美)、同じくスズキ「カルタス タチバージョン」(舘ひろし)がありますが、やはりイメージキャラクターを努めています。

 近年は、こうした特別仕様車は珍しくなってしまい、大坂なおみ選手のGT-Rは、かなりのレアモデルです。