【AFP=時事】国際自然保護連合(IUCN)は9日、ガなどの幼虫に寄生するヒマラヤ(Himalaya)産の菌類で、「ヒマラヤのバイアグラ(Viagra)」とも呼ばれる「冬虫夏草」が、中国の伝統薬の需要の増加により絶滅の危機にひんしていると明らかにした。

 冬虫夏草の一種、シネンシストウチュウカソウ(Ophiocordyceps sinensis)は世界一高価なキノコで、チベット高原(Tibetan Plateau)にのみ分布し、現地コミュニティーの主要な収入源となっている。

 同種は標高3500メートル以上の草地で、冬は氷点下になるが永久凍土ではない場所でしか育たない。コウモリガの幼虫の体内で育ち、宿主の頭を突き破りキノコとして現れる。

 同種は何世紀もの間、中国の伝統薬では万能薬で媚薬(びやく)効果があるとして珍重されてきたが、1990年代から需要が急増した。

 IUCNによると、過剰採取により、過去15年で生息数は少なくとも30%減少し、IUCNは同種を「絶滅危惧II類」として、絶滅のおそれのある野生生物のリストに追加した。

 IUCN菌類保全委員会(Fungal Conservation Committee)のグレゴリー・ミュラー(Gregory Mueller)委員長は、キノコとキノコを収入源にしているコミュニティーの双方を守るために、持続可能な採取制限が必要だと述べた。

【翻訳編集】AFPBB News

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