国土交通省は「第38回 国土幹線道路部会」で、高速道路の料金所のETC専用化について議論した。接触や飛沫で感染するとされている新型コロナウイルス対策を前提とした「新たな生活様式」の観点から、身体的距離の確保や電子決済の利用増などを進める考えだ。

 現在、ETC利用率は約93%にのぼる。ただ、ETC専用化にあたっては、現金などで支払っている利用者も安全に利用可能と言える環境整備が必要だ。具体的には、車載機器の購入にあたる助成の用意やETCパーソナルカードの保証金の大幅な引き下げなどを検討しているという。

 また、非ETC車が誤ってETCに進入することも想定される。その場合、別途で事後徴収することになる。考えられる手段としては、ナンバープレートを読み取り、運輸支局などに車籍照会し、請求先を特定、請求することになる。こうした仕組みを整備すると、料金徴収コストも踏まえた非ETC車への料金設定になる。つまり、ETC車より高速料金が高くなる可能性があるのだ。なお、二輪車や軽自動車は、高速道路会社から直接車籍照会ができず、弁護士照会制度を利用する必要があり、さらにコストと時間を要する懸念がある。

 ETC専用化は、これらの課題の整理や、解決策を慎重に検証しつつ進める必要がある。混乱を招かないよう、ETC利用率の高い路線などから段階的に導入し、徐々に拡大していく方針だ。