コンビニエンスストアを含めた全小売業で「レジ袋」が有料化されてから1週間が経った。当初は“うっかり”マイバッグを忘れたけれど、さすがにそろそろ慣れてきた……という方も多いのでは。1週間経っての現状を、流通アナリストの渡辺広明氏が取材した。

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 有料化が始まった7月1日は、東京都内のコンビニを視察して回りました。付き合いのあるコンビニオーナーからの情報を含めれば、初日の午前中に袋を買った人の割合は「20%」ほど。これは、朝ということもあり、菓子パンやペットボトル、あるいはタバコといった「かさばらない」買い物が多かったためです。これが昼の時間帯になると、温める必要がある弁当や麺類の購入が増え、専用の袋でないと収納しにくいことも手伝って、「60%」のお客様が袋を購入しました。また、某コンビニチェーンに所属し、都内に3店舗を所有するオーナーによると「初日は、割合にして35%くらいのお客さんが袋を買われた」といいます。

コンビニ有料化から1週間

 1週間経って、この数字はどう変わったのでしょうか。

 先のオーナーは「今は少し減って、25%くらいですかね」。購入者が多かった昼の割合も、有料化2日目からは45%ほどに下がり、そこからはずっと横ばいだそうです。袋の持参が定着しつつ、昼時の弁当でレジ袋を必要とする人はずっと袋を買い続けると決めた、といったパターンが見えてきます。

 他にも全国のコンビニオーナーに取材しましたが、だいたい、皆さん似たような数字を挙げます。コンビニに先駆けて有料化されていた食品ミニスーパー、あるいはコンビニ各社が行った事前の実験での数字も、レジ袋の購入割合は3〜4割。この数字から、大きくは外れていないわけです。

 ただし、関西地方のさるオーナーからは、

「うちは袋を買うお客様は20%ほど。エコバッグの普及率が高いのか、ケチなのか分かりませんが……」

 なんていう声も。あくまでこのオーナーの感想なので、関西全体の意見と解釈するのは難しいですが、地域ごとの傾向を細かく見ていけば、また違った特徴が分かるかもしれないと思いました。

カゴの貸し出し

 取材に応じたオーナーや従業員たちは、懸念されていたようなトラブルは起きていない、と口を揃えます。3大コンビニのお客様への対応は、セブン-イレブンは店側から「入れましょうか?」の声がけ、ローソンはお客様から要望があれば店員が、ファミリーマートは原則お客様が自分で袋詰めするオペレーションになっています。ところが、セブンやローソンの関係者たちも「ほとんど、お客さんが自分で入れます」と言います。「入れてください」と言われれば対応しますが、頼むお客様はめったにいないそう。高齢者など、袋詰めに手間取る方には店側から袋詰めを申し出るそうですが、こうしたオペレーションは試行錯誤しながら、変化していくでしょうね。

 高齢者といえば、こんなお店もあるようです。

「その店舗は土地柄、お年寄りのお客さんが多い。温めたお弁当を手ぶらで持って帰るのも難しい方がいるためでしょう、なんと買い物カゴを貸し出ししていました。借りたお客さんはそのカゴに入れて持ってゆき、後日、店に返すルールになっているみたいです」(さるチェーンの関係者)

 こうした特別な対応は、有料化からまだ間もないからこそ、でしょうね。

 先述のとおり、トラブルらしいトラブルはないと言いますが、「袋をいらないと言われると、ついつい箸やストローも渡し忘れてしまう」というウッカリ問題はあるようです。これは客として私がコンビニに行った時にも、体験しました。あとは袋がいると言われたときに、その代金を計上してしまうのを忘れてしまうこともあるそう。ちなみに、セブンは袋代が店の「売り上げ」に、ローソンとファミマは「雑収入」扱いになります。後者の場合は、袋のぶんはロイヤリティとして本部に収める必要がないのです。

 あとは「袋いりますか?」と聞くことで、代わりに「ポイントカードお持ちでしょうか?」と尋ねにくくなった、ということもあるようです。お客様を質問攻めにしてしまうわけですからね。これも、そう言われれば尋ねられなくなった気がしませんか? レジ袋の有無のやりとりと、お願いされた場合の袋詰め作業で、だいたい5〜15秒、接客時間は増えます。その分、どうしても他の作業はできなくなります。「揚げ物あげたてです」「おにぎりお安くなっています」といった店内での呼びかけ(山びこ接客といいます)ができなくなっている、とこぼすオーナーもいました。

 今後、さらに1カ月が経ったタイミングでポイントになりそうなのは、レジ袋を有料化したことで客単価が下がっていないか、という点です。当然、マイバッグ利用者はその大きさに合わせて大量買いは避けるようになりますから、朝は影響がなくても、「かさばる」購入が多い昼夜の単価が下がった、という声も聞きますし、手で持てるだけの量にセーブして買い物をするお客様も増えた、とも聞きました。レジ袋が必要になる熱い食べ物を嫌ってか、フライヤー商品(レジ脇のコンビニスナックのことだと思ってください)が売れなくなったという従業員の意見もあります。

 熱々を避けるという点では、“グラタン、ドリア熱々問題”が囁かれています。いわゆる普通の弁当は温めても手で持って帰れますが、この2つに関しては、レンジ温めの過程で蒸気が吹き出し、非常に熱くなる。袋がないと、とても持ち帰れないわけです。今の季節はあまり店頭に並んでいませんが、秋冬になり熱々メニューが増えてくると、レジ袋は売れるようになるかもしれません。

 客単価に関しては、影響を感じていないというコンビニ関係者もいます。この辺は1か月後に各社が出すであろう、月次売り上げに注目しています。

渡辺広明(わたなべ・ひろあき)
流通アナリスト。株式会社ローソンに22年間勤務し、店長、スーパーバイザー、バイヤーなどを経験。現在は商品開発・営業・マーケティング・顧問・コンサル業務など幅広く活動中。フジテレビ『FNN Live News α』レギュラーコメンテーター、デイリースポーツ紙にて「最新流通論」を連載中。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年7月8日 掲載