バッテリーやエンジンにストレスがかかり寿命が縮まってしまう

 新型コロナのまん延対策などで、自動車に乗る機会が増えたという人も多いかもしれない。データを見ても、収束後も自動車での移動をできるだけしたいという人は増えてもいる。確かに不要不急ではなく、電車やバスで移動する用事というのはある。密ではない、クルマというのは有効な手段だ。しかし、用事のなかには短距離というものも多く、これが自動車にとっては負担だったりするのだ。今回はいわゆるちょい乗りによるクルマへのストレスを見てみることにしよう。

1)バッテリー

 バッテリーというのは化学反応を利用して充放電をしている。そのため、ある程度走らないと反応が完全に起こらず、ストレスが増して寿命も縮まる。バッテリーメーカーによれば、できるなら10分以上は走ってほしいとのこと。

2)エンジン

 エンジンというのは、完全に暖まった状態がベストとなる。金属は熱で膨らむからで、設計的にも膨らみきったところで性能を決めている。それがちょい乗りでは、暖まりきる前に止まってしまうので、中途半端な状態のままとなってしまい、摩耗などのストレスがかかってしまう。また燃焼温度も完全に上がりきらないと、ススやカーボンが発生しやすくなる。

すぐにダメになるわけではなく数年経過したころに違いが出る

3)ミッション

 マニュアル、ATやCVTなどもフルードの温度は適温がある。低いと所定の性能が発揮されないのはエンジンと同じ。

4)オイル

 上のエンジンやミッションにも関係してくるのだが、適正な油温になってこそ、オイルの性能は発揮される。オイル自体にもダメージは大きくて、油温が中途半端にしか上昇しないとスラッジが発生しやすくなる。エンジンが常に止まったり、かかったりを続けるハイブリッド車のオイルが汚れやすいのと理由は同じだ。

5)触媒

 これは直接痛むわけではなく、性能が発揮されず、環境に悪いというのが正確なところ。触媒はある程度温まらないと排ガスの浄化機能が発揮されないのがネックで、各メーカーともエンジンにできるだけ近づけたり、最近ではグリルシャッターを装着するなど、早く温めるための工夫をしている。もちろんちょい乗りだと、暖まり切る前に止まってしまうので、触媒がもつ本来の性能が発揮できない。

 以上、触媒は別として、クルマやパーツにストレスがかかる4つの項目を紹介したが、すぐにダメになるわけではないのが注意したい点。じわじわと蓄積して、何年後、何万km後に違いとなって現れてくる。

 少しでも防止するためには、手間やガソリンをそれほど消費しない程度に、ちょっと遠回りするといい。止まったままで長時間暖機するのは暖まりきらないし、環境にも悪いので避けるようにしたい。