Apple

次期iOS 14ではプライバシー保護がさらに強化され、すべてのアプリケーションによるトラッキング(追跡)にはユーザーの許可が必須となりました。OS 13ではトラッキングするアプリの検知に留まっていたことから、より踏み込んだ措置と言えます。

この仕様変更に対してヨーロッパの16ものデジタル広告グループが、アップルを批判していると報じられています。

Reuters報道によると、この批判はアップルがヨーロッパの法律で義務づけられている許可基準を採用していないという主張とのことです。すなわちEUではアプリはGDPR(一般データ保護規則)準拠のトラッキング許可を求める必要がありますが、これとは別にiOS 14の許可も要求されることになる。結果として計2回もの許可を求められたユーザーが、追跡を拒否するリスクが高まるというわけです。

アップルを批判する広告グループの一部は、FacebookやGoogleに支持されていると伝えられています。両社とも消費者のオンラインでの習慣や興味を取得し、それに基づくパーソナライズド広告を配信する企業群の中でも最大手であり、トラッキングをめぐってはアップルと対極に位置している存在です。

しかしアップルは、広告の有効性を匿名の集計データを使って測定でき、(許可を要求する)ポップアップを出さない無料ツールをすでに提供しているため、そもそも批判は当たらないという姿勢を打ち出しています。

同社のプライバシー技術者であるBrandon Van Ryswy氏も、開発者会議WWDCでの測定ツール説明ビデオで「ユーザーを追跡しないように設計されているため、追跡する許可を要求する必要はありません」と説明していました。

最近チェックした商品や興味あるアイテムなどを表示するパーソナライズド広告は人によっては便利と感じる一方で、強い抵抗を感じるユーザーも少なからずいるはず。今後はアップル製品ユーザーがアプリごとにトラッキングを細かく制御できるようになり、それに伴ってFacebookやGoogleなど広告大手もビジネスモデルの修正を迫られるのかもしれません。

Source:Reuters