元トライアスロン韓国代表の故チェ・スクヒョン選手(享年22、女性)に過度なパワハラを行った加害者と目される、慶州(キョンジュ)市庁トライアスロンチームの“チームドクター”には医師免許がなかったことが確認された。

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7月3日、韓国医師協会によると、パワハラの加害者とされる“チームドクター”は医師でないだけでなく、医療に関連する他の免許も持っていないことが確認された。

韓国医師協会は「医師ではない人をチームドクターと呼称するスポーツ界の慣行が根本的な誤りであり、それをそのまま引用することも間違っている」と指摘した。

若い選手の命を奪った悪行

去る6月26日に自ら命を絶った故チェ・スクヒョンは生前、慶州支庁トライアスロンチームの監督とチームドクターと呼ばれる人物、先輩2人などからの苛酷なパワハラとイジメに苦しめられた。彼らの嫌がらせは、被害者を極限状態に追い込むものだった。

彼らは故人がチームメンバーとの食事の席で炭酸飲料を注文したという理由だけで、20万ウォン(約2万円)相当のパンを食べさせたり、桃1つを監督に報告することなく食べたという理由で暴行したりした。また体重調整に失敗した場合、3日間も何も食事をさせなかったり、スリッパで頬を殴ったりと、あらゆる方法で故人を苦しめた。

現在、チームドクターと呼ばれた人物は自宅待機しているとされている。7月2日に慶州市体育会で人事委員会が開かれたが、チームドクターと呼ばれた人物は持病を理由に出席しなかった。

慶州体育会ヨ・ジュンギ会長は、「チームドクターは持病の癌が再発して出席することができないと通知したと聞いている」とし、「彼は医師免許や理学療法士の資格を持っておらず、合宿などをする際に個別に料金を支払う一時雇用の人間」と述べた。

監督とチームドクターと呼ばれる人物が故人を暴行し、お酒を飲む場面は、すでに公開された録音記録に含まれていた。彼らは飲酒しながらも、故人の頬を20回以上殴り、胸と腹を蹴り、頭を壁にぶつけたりした。

故チェ・スクヒョンは、彼らから受けた被害を世間に知らせようした。しかし司法当局や責任機関などに報告しても、加害者に対する処罰が遅々として進まず、最終的には自ら死を選ぶという極端な選択をしてしまった。

故人は最後の瞬間、母親に「あの人たちの罪を明らかにして」とメッセージを残した。