森1号ヒーローインタビューで「うるさっ!」

■西武 9-5 オリックス(2日・メットライフ)

 西武の辻発彦監督は、零封負けを喫した1日のオリックス戦の試合後、脇腹に違和感を抱えながら2試合ぶりに出場したスパンジェンバークについて聞かれると、「大丈夫だと思う。それより重症なやつがいっぱいいるから」とボヤいていた。名指しはしなかったが、昨季は打率.329で首位打者に輝いたのに、今季は同日現在.231の不振にあえいでいた森、.133の低迷ぶりだった源田、同じく打率1割台だった木村、金子のことを言っていたのだろう。指揮官の発言に発奮したのか、翌2日の同カードでは“重症”組がそろって活躍した。

「うわっ! うるさっ!」。新型コロナウイルスの感染予防のため、西武の選手のヒーローインタビューは今のところリモートで行われている。この日お立ち台に呼ばれた森は、「放送席、放送席!」と叫ぶアナウンサーの声の音量が大き過ぎたようで、右耳にさしていたイヤホンをびっくりして引き抜いた。

 それでも機嫌は悪いはずがない。3番を任されている森は、3回に右中間席へ今季1号の同点ソロ。7回には逆方向の左中間を破る勝ち越し2点二塁打。8回には詰まりながら適時内野安打を放ち、4打数3安打4打点の固め打ちだ。「理想的な打ち方ができたのは、2本目(左中間二塁打)。逆方向に強い打球が出ることは、自分の調子のバロメーターなので。あとはたまたまですが、結果的に3本出たことが、調子を取り戻すきっかけになるんじゃないかな」とうなづいた。

源田も2安打、犠牲フライも、木村好走塁に指揮官「しめしめ」

 2番の源田も4打数2安打で、5回には貴重な勝ち越し中犠飛も打ち上げた。辻監督もこの日ばかりは「源田も森もモヤモヤとしていたけど、感じが良くなってきた」と納得顔である。さらに8回には、2死走者なしから右前打で一塁に出た8番・木村が、続く金子へのカウント1-2からの5球目にスタートを切り、打球が右翼手の定位置のやや右に飛んだのを見ると、そのままスピードを緩めず一気にホームイン。辻監督を「サイン通りで、しめしめといったところ。あえてあのカウントで走らせたが、まさかホームまで帰ってきてくれるとは」と大喜びさせた。

 理想的に打線がつながり、15安打9得点で快勝。しかし、なかなか完璧とはいかないもので、先週のソフトバンクとの6連戦で5本塁打を量産した4番・山川は、森らと入れ替わるように、2日現在オリックス相手の3試合では12打数ノーヒット5三振と急降下。先週まで今季打率.310を誇っていた中村も、オリックス戦3試合は9打数1安打で.263まで落とした。

 全員が好調のままシーズンを過ごすことは難しい。好不調の選手がお互いを助け合い、白星を拾っていける方が理想的というべきか。まだまだ不完全燃焼の“山賊打線”だがチームは3位をキープしている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)