パゾッティ記者、ヴィンチ記者ともにミランでの本田は「失敗ではない」と高く評価

 マジョルカの日本代表MF久保建英に対し、ACミランがレンタルをオファーしたと報じられ、18歳のレフティーの去就が一層注目度を増している。

 近年のセリエAではMF本田圭佑(ボタフォゴ)がミランで10番を背負って3年半在籍したが、久保への評価を図る指標として、改めてイタリアでの“本田評”を訊いた。

 1993年に“キング・カズ”こと元日本代表FW三浦知良がジェノアと契約して以降、MF中田英寿、MF名波浩、MF中村俊輔、FW柳沢敦、MF小笠原満男、FW大黒将志、FW森本貴幸、DF長友佑都、本田、DF冨安健洋、DF吉田麻也と、これまで計12人の日本人選手がセリエAでプレーしてきた。

 イタリアでのキャリアはASローマでスクデッドを獲得した中田、ミランで10番を背負った本田、名門インテルに7年間在籍した長友の3人が抜く。過去にミランでプレーしたのは本田一人だが、現地では4年間で81試合9得点という数値、そしてマーケティングの観点からどのように評価されているのか。

 イタリア紙「ガゼッタ・デロ・スポルト」のマルコ・パゾッティ記者は、「本田は何枚かのユニフォームは売ったかもしれないが、ミランの経済バランスを大きく変えたわけではない」とマーケティング面の劇的な貢献はなかったとしつつ、選手としては評価していたという。

「本田は良い選手だった。私は高く評価する。残念だった。とてもプロ意識が高かったし、真面目な選手で、ベンチにいても沈黙を保っていた。プロとしては完璧な選手だった。私は彼に(本拠地)サン・シーロがブーイングをしたのが忘れられない。彼がブーイングを受けるなら、他にもっと受けなければならない選手たちがいたはずだ。それなのにみんなが彼のせいにした」

 本田は2015-16シーズン、本拠地パレルモ戦で途中交代した際にスタンドからブーイングを浴びせられるなどした。しかし、パゾッティ記者は、本田が“スケープゴート”にされていた感覚を覚えたと主張している。

 一方、イタリアのテレビ局「7ゴールドTV」でミラン番を務めるパオロ・ヴィンチ記者もミランにとって本田は「失敗ではなかった」としている。

「僕の評価は6.5(※10段階評価で10が最高)だ。以前のミランと違って、ビッグプレーヤーがあまり本田の周りにいなかった。もしいたら、本田はもっと活躍できたはずだ。(CSKAモスクワを契約満了となったところを)コストゼロで連れてきたから失敗ではなかった。ミランはマーケティングのために日本人は必要ない。本田も技術的な理由で移籍した」

 ミラン界隈では日本人選手への評価は決して悪くないが、果たして久保の移籍実現にまで発展するのだろうか。(倉石千種 / Chigusa Kuraishi)